2016年5月5日、神奈川県横浜市中区元町の横浜元町ショッピングストリートで子どもたちの安全・安心を願う「元町 安全・安心パレード」が開催された。このパレードは協同組合元町SS会が交通安全意識の高まりと無事故を願って毎年開催している。今年は神奈川県警加賀町警察署1日署長に北原照久氏、横浜市消防局 中消防署1日署長にお笑い芸人インパルス堤下敦さんを迎えて開催された。
そのパレードにTeam KAGAYAMAは2011年チーム発足以来6年連続で参加している。「”安全に走る・曲がる・止まる”はレースでも一般公道でも同じ。モータースポーツから伝えられる交通安全貢献がある」とチーム代表の加賀山就臣。「我々はプロのライダーとして走る・曲がる・止まる、を安全なレベルで伝えられることができると思うのでひとりでも多くのライダーたちに伝えたい」そして「一般の人たちに自分達のレーシングマシンを、自分達の闘っている世界を見て欲しい、知って欲しい」と言う。
そもそも何故このパレードに参加するようになったのか。チームを立ち上げたときのコンセプトとして「街から応援されるチーム」を掲げた。「野球でもサッカーでも地元の街から応援されるチームがあるように、思い切り街から応援されるレーシングチームがあってもいいじゃないか。生まれ育った地元(横浜市中区)に貢献できるイベントを模索しているときにこのパレードと出会った」と言う。
本来なら一般公道走行が許されない本物のレーシングマシンが神奈川県警加賀町警察署と元町ショッピングストリートの全面協力により白バイと共にメインストリートを走る。そこにはチーム発足当時からずっとTeam KAGAYAMAを支えてきた北村信氏の存在がある。
イベント委員長を勤めていた頃、当時の警察署長に怒られるのを覚悟で「地元・横浜の看板を背負って闘っているレーシングライダーがいる。その彼と白バイを一緒に走らせるパレードは如何だろうか?」と提案したところ「それは実に面白い企画ですね!」と快諾をもらった。そこからTeam KAGAYAMAと白バイのコラボレーションパレードが実現した。
北村信。横浜元町で創業したハンドバッグのキタムラの取締役である。加賀山とは地元で隣の中学の同学年、お互い名前は知っていたが会うことはなかった。2003年、加賀山がBSB参戦中に初めて対面、そして加賀山からチームを立ち上げについて相談をされたとき「地元(横浜)のみんなで手伝えるこはないか?」と考えた時からTeam KAGAYAMAのサポートが始まった。
北村氏は横浜開港を祝う一大イベント「横浜セントラルタウンフェスティバル」実行委員でもあり、2011年にはレッドブルF1マシンを元町で走らせた実績がある。実はこのF1マシン走行、Team KAGAYAMAのパレードを初めて行った年に担当署長が「これならF1もできるでしょう!」と実現の足がかりとなったと言う。
北村氏はどんなに忙しいときでも必ずTeam KAGAYAMAの応援に駆けつける。「チームの立ち上げ時から常に傍にいてくれて、すごく力になってくれてることに感謝しかない。自分ひとりでは出来なかった。信さんは地元の警察や消防を始め地域関係各所に強いパイプを持っているのでその人脈と尽力により様々なイベントに参加できるようになった。」と加賀山。
加賀山も北村氏も思いは一緒「二輪モータースポーツをもっとたくさんの人に知って欲しい」。その想いを実現させたのが「元町 安全・安心パレード」であり、プロ野球の始球式である。
2013年、横浜球場での横浜DeNAベイスターズのプロ野球始球式に加賀山が登場した。グランドにレーシングマシンで現れ、レーシングスーツで始球式を努めた。満員の客席からは割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こった。この始球式も北村氏が球団と交渉して実現させたものである。
加賀山就臣と北村信。お互いに尊敬し合い、同じ方向を向いて共に進んでいる。加賀山にとって大切な友人であり、強力なサポーターである。北村氏は「チーム発足当時金額面でのサポートは期待しないでくれ、でもそれ以外のサポートは何でも協力する」と言ったそうである。事実、何事にも代え難いサポートをしていると思う。
photo & text : koma