MFJランキング表彰式が今年から「MFJ MOTO AWARD」と名前を変え、去る12月18日東京都大手町・日経ホールで2016年度の表彰式を開催しました。全日本ロードレース、全日本モトクロス、全日本トライアル、全日本スノーモビル、全日本スーパーモト、全日本エンデューロ、各選手権シリーズの各カテゴリー上位3名が表彰されました。
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟会長杯の授与を事務局長:三原じゅん子参議院議員が行いました。「残念ながら日本は諸外国に比べてモータースポーツの文化が今ひとつ根付いていない。二輪、四輪問わずモータースポーツで頑張っている人を様々なカタチでしっかりとサポートしたい」とご挨拶。議員連盟会長杯は「2016 FIM TRIAL DES NATIONS」に「Team Japan」 として参戦、見事2位を獲得した小川友幸、黒山健一、藤波貴久、小谷徹氏(マネージャー)が表彰されました。
全日本ロードレースは
J-GP3クラス チャンピオン:徳留真紀、2位:栗原佳祐、3位:安村武志
J-GP3 Youth Cup:伊達悠太
ST600クラス チャンピオン:榎戸育寛、2位:チャランポン・パラマイ、3位:名越哲平
JSB1000クラス チャンピオン:中須賀克行、2位:津田拓也、3位:高橋巧
J-GP2クラス チャンピオン:浦本修充、2位:関口太郎、3位:水野涼
が表彰されました。おめでとうございます!
また、海外で活躍する日本人選手を称える「海外参戦功労賞」として
MotoGPルーキーズカップ チャンピオン:佐々木歩夢
アジアロードレース選手権 SS600クラス ランキング2位:小山知良
アジアロードレース選手権 AP250クラス ランキング2位:山本剛大
アジアロードレース選手権 アジアドリームカップ チャンピオン:中村大輝
アジアタレントカップ ランキング2位:小椋藍
が表彰されました。
ロードレース特別賞として
ルーキーオブザイヤー:水野涼
J-GP3クラス「CLUB PLUSONE」:松永真利代表
ST600クラス「Yamaha Thailand Racing Team」:Theerapong Opaskornkul氏
J-GP2クラス「Team KAGAYAMA」:加賀山就臣代表
JSB1000クラス「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」:吉川和多留監督
が受賞しました。
受賞された皆さま、改めまして本当におめでとうございます!
ここで、各クラスのチャンピオンに今年の振り返りと来季の抱負を聞いてみました。
先ずは前人未到の最高峰クラス5年連続、通算7度目のチャンピオンを獲得したYAMAHA FACTORY RACING TEAM:中須賀克行選手
「全戦優勝を掲げてその目標に向かって一戦一戦大事に、勝ちにこだわった闘いをしましたが、結果的には全戦優勝できず悔しい気持ちはあるけれど充実した一年でした。岡山で負けて“連勝記録ってこんなにあっけなく途切れるのか”と痛感。積み重ねることがいかに大切で大変なことなのか。それだけ大変なことをチームと一緒に頑張ってきたのかという事を確認できました。
一つのレースだけに勝つことと、チャンピオンを獲るために勝つことは違う。常に良いパフォーマンスを発揮させること、それを年間通して発揮させなければチャンピオンは獲れない。5年連続チャンピオンは誇りに思っていますし何にも恥じない記録だとおもっています。
来年はライバルチームも新型車輌になり、ますます迫ってくると思います。しかし来年も記録を作るべくチャレンジの年にしたいと思います。守るレースでは勝てない。記録にチャレンジ、優勝にチャレンジする一年にしたいと思います」
守るレースでは勝てない、チャレンジするからこそ勝てる、という中須賀の言葉には非常に重たい意味があると思います。2017年はヤマハが一番古いバイクになる、と聞いて意外でしたが確かにその通りですね。
続いてJ-GP2クラスチャンピオン:Team KAGAYAMA 浦本修充選手へのインタビューです。
「チーム/メーカーを移籍しての参戦。最初は不安と期待が入り乱れていました。事前テストでの感触が良かったので不安の中でも自信がつきました。“開幕戦から良いレースができるかも”という気持ちでシーズンを迎えました。前半は開幕4連勝と上手くリズムに乗れたのでそのまま連勝記録を続けたかったのですが、後半戦のもてぎで連勝記録がストップ、その後は確実にポイントを獲得してチャンピオンを獲ることができましたが、前半戦から最終戦に向けて成績が落ちてしまったのが反省点、今後の課題です。」
「鈴鹿8耐、Moto2ワイルドカード参戦、CEV(スペイン選手権)と、加賀山監督には様々なレースを経験させてもらいとても感謝しています。今年一年の活動を通して、ライダーとして、人間として、少し成長できたのではないか、と思います。
しかし、全日本ロードレースでチャンピオンを獲ったとは言え、それ以外のカテゴリでは全く納得のいくレースができず大いに反省しています。その反省を踏まえて、このシーズンオフは身体・メンタル面、走り方、などしっかりと鍛え直そうと思います。
来季の体制は決まっていませんが、J-GP2クラスチャンピオンに恥じない走りをして、もっともっと速く走れるようにしっかりと準備をしたいと思います」
今年大活躍を果たした浦本、来季がその実力を試される大切な年。Team KAGAYAMAd走ることは決まっているようですから、その環境の中で最大限のチカラを発揮して欲しいです。
続いて、混戦となったST600クラス。最終戦で逆転チャンピオン、チェッカーフラッグを受けても自分がチャンピオンだとは気付かず、S字コーナーでオフィシャルが持っている旗で自分がチャンピオンだと知り、そこから号泣しながらウィニングランをした榎戸育寛選手に話を伺いました。
「今年は調子の良いときと悪いときの差が激しく安定しませんでした。転倒が多くケガが耐えませんでした。ケガを押しての参戦だったSUGOでトップを走りながらも自らのミスで2位になったのが悔しかったですが、トップグループを走れる自信がつきました。今、振り返ると岡山の結果が最終戦に繋がったと思います。今までだったら無理して追いかけ回して転倒、というパターンだったかもしれませんが確実にポイントを取ることを選択しました。伊藤真一さんからも褒められました。岡山終了時点でトップまで16ポイント、さすがにチャンピオンまでは遠いですが、6ポイント差の2位は狙おう、と思いました。
そして迎えた鈴鹿。自分はSRS(Suzuka circuit Racing School)出身なので特別な想いがありました、応援してくれる方もたくさんいるのでシリーズチャンピオンよりも「1勝」したい、と言う気持ちが強かったです。決勝レースはタイヤに厳しく持久戦になると予想して前半は見てました。(チャンピオン最有力候補の)前田選手が転倒したのを見ましたが、その時点ではチャンピオンになれるとは思いませんでした。SUGOの経験からタイヤに優しいのはHonda車だと思っていたので前をいくチャランポン選手のペースが上がらないのをみてパスしようと思ったら名越選手に抜かれ「あれ?」と一瞬焦りましたが、前の二人の様子を後ろでみてラスト2周でイケると思いました。自分にはまだ余力が残っていましたので。最終ラップのシケインは自信を持ってズバッと切り込みました。ゴールしたときはまさか自分がチャンピオンだとは思いませんでした。2コーナー立ち上がってブラッグフラッグを見た時にペナルティ喰らった。。と焦りましたが、チャンピオンフラッグを見て「えっ?!チャンピオン?」と気付いてからは涙が止まりませんでした。
来季の体制は決まってませんが、今年の経験を活かし、良いときと悪いときの浮き沈みが少なく安定してパフォーマンスを発揮できるようにしたいと思います。
最後はJ-GP3クラスチャンピオン:徳留真紀選手のインタビューです。
「今年、4年振りにチャンピオンを獲得することができました。昨年までは自分の独自チームとしてPLUSONEにジョイントしていたので、チームの運営、マネジメントをしながらのレースとなり、走りだけに集中できる環境にありませんでした。今年はチームのメカニックとして元全日本ロードレースライダーの藤岡祐三氏がついてくれことが大きいです。チームがひとつになって走りに集中できました。藤岡氏と自分のペアで、速く走る(優勝する)=若手にとって刺激となりJ-GP3クラス全体の底上げになるモノサシになりたいと思いました。
最終戦鈴鹿で勝ってチャンピオンを決めたかったですが、チームのため、スタッフのため、応援していただいているスポンサーのため、必ずチャンピオンを獲る!という決意で鈴鹿入りしたので、(チャンピオンを)獲れて良かったです。勝ったのと同じくらい嬉しかったです。
来年の体制はまだ決まっていません。同じクラスで参戦するなら、連覇を目指し、もっとクオリティの高いレースをしたいです。違うクラスで参戦するなら、一年目だからという言い訳をせず、開幕戦から優勝争いに絡めるような展開を目指したいですし、その努力をしたいと思います。」
表彰されたライダーの皆さま、おめでとうございます!来年の活躍を期待しております。そしてみなさま、ケガをせず無事にシーズンを闘えますように祈念しています。
photo & text : koma