「MFJ MOTO AWARDS 2017」が東京都大手町・日経ホールで開催され、全日本ロードレース、全日本モトクロス、全日本トライアル、全日本スノーモビル、全日本スーパーモト、全日本エンデューロ、各選手権シリーズの各カテゴリー上位3名が表彰された。
自由民主党モータースポーツ振興議員連盟事務局長:三原じゅん子参議院議員がご挨拶。「自由民主党モータースポーツ振興議員連盟は“モータースポーツをもっともっと盛り上げて行こう”という単純な思いで作られた議員連盟です。ヨーロッパと比べると残念ながら日本は今ひとつ注目度が足りないな、と感じています。ライダーのみなさんがどれだけ凄い技術を身につけているのか、ということを日本はもとより世界に向けて発信して応援していくのが私たちの役割だと思っています。二輪、四輪問わずモータースポーツで頑張っている人を様々なカタチでしっかりとサポートていきたいと思います」とご挨拶。議員連盟会長杯は、MFJロードレースアカデミーから着実にステップアップをして、今シーズン見事ST600クラスチャンピオンに輝いた前田恵助に贈られた。
全日本ロードレースの表彰
J-GP3クラス チャンピオン:伊達悠太、2位:小室旭、3位:古市右京
J-GP3 Youth Cup:伊達悠太
ST600クラス チャンピオン:前田恵助、2位:國峰啄磨、3位:岡本裕生
J-GP2クラス チャンピオン:水野涼、2位:関口太郎、3位:生形秀之
JSB1000クラス チャンピオン:高橋巧、2位:津田拓也、3位:渡辺一馬
また、海外で活躍する日本人選手を称える「海外参戦功労賞」として
MotoGPルーキーズカップ チャンピオン:真崎一輝
アジアロードレース選手権 SS600クラス ランキング3位:羽田太河
アジアロードレース選手権 AP250クラス ランキング2位:小山知良
アジアロードレース選手権 SUZUKI ASIAN CHALLENGE 第3位:藤田哲弥
アジアタレントカップ ランキング2位:埜口遙希
FIMトライアル・デ・ナシオン 第3位:TEAM JAPAN(小川友幸、黒山健一、藤波貴久)
が表彰された。
ロードレース特別賞として
ルーキーオブザイヤー
J-GP3クラス:中島元気
ST600クラス:國峰啄磨
J-GP2クラス:岩戸亮介
JSB1000クラス:濱原颯道
ベストチーム
J-GP3クラス「BATTLE FACTORY」:永友正代表
ST600クラス「伊藤レーシング」:伊藤巧監督
J-GP2クラス「TEAM HARC-PRO」:本田光太郎監督
JSB1000クラス「MuSASHi RT HARC-PRO. Honda」:本田光太郎監督
が受賞した。
各クラスのチャンピオンに今年の振り返りと来季の抱負を聞いてみた。
最高峰クラス参戦9年目にして念願のシリーズチャンピオンに輝いた高橋巧。
「最終戦鈴鹿のインタビューで“時間が経てば(チャンピオンか獲得の)嬉しさを感じると思う”と言いましたが、現時点でもそれほど実感が沸いていません」と、意外なコメントから始まった。
「チャンピオンを獲ったことは事実として嬉しいのですが内容が内容だっただけに素直に喜ぶことができません。レースの闘い方しかり、優勝回数しかり、開幕からの2回の優勝が“中須賀選手が転倒したから”と思われたくないので、来年は誰もが認める実力で、レース内容も納得できる勝ち方でチャンピオンをもぎ取りたいと思います。」
新型CBR1000RRの開発も担ってきた高橋、マシン開発について尋ねてみると
「今年新型のCBR1000RRになり、海外のレースであまり成績を残せていないなかで自分がチャンピオンを獲れたことは嬉しく思います。自分を追い込むことができたことが今年の良い流れを作れたし、一歩前に踏み出せたと思います。レースで使うマシンに乗れる時間が増えたことで、マシン開発はもちろん、レース戦略を考えながら乗る事ができたことが今年の戦績に活きてきたと思います。」
とコメント。この表彰式の後すぐにスペインへテストで飛び立った高橋。全日本ロードレース2連覇に向けて早くも始動している。
2年目の今年は圧倒的に強かったJ-GP2クラスチャンピオン:水野涼。
「自分は最終戦を待たずに岡山大会でチャンピオンを決めたので最終戦ではあまり実感が沸きませんでしたが、今年いっぱいはチャンピオンとしての気持ちを楽しんで年が変わったらまた新たな気持ちに切り替えて挑戦していきたいと思います」
「年間を通してみればすごく良いシーズンだったと思っています。全日本ロードレースで以外にも鈴鹿8耐、Moto2のワイルドカード参戦など走る機会をたくさんいただけた事が自分にとってすごくプラスになりました。その結果が全日本の7戦5勝に繋がったかな、と思います」
「苦しんだ昨シーズン一年間の反省点、課題をベースに改善点をガラリと変えたことが大きいのではないかと思います。サスペンションを変更して戦闘力が格段に向上したマシンにすぐ自分が合わせることができて開幕から2連勝、これが今年の良い流れを作ったと思います。」
「来シーズンの体制はまだ決まっていませんが、チャンピオンとして臨むシーズンなのでいろんな場面で注目されると思います。その良い意味でのプレッシャーを感じながら、昨年のような気負いして結果ばかり求める空回りすることがないように、自分のやるべきことをしっかりとやれば結果はついてくると思うので来シーズンもしっかりと走りたいと思います。」
昨年の最終戦の悪夢を断ち切りST600クラスのチャンピオンに輝いた前田恵助。
「チャンピオンを獲った、という実感を最近になって感じてきました。(伊藤レーシング代表)伊藤さんから頼まれる仕事の量も質も向上してきたので“伊藤さんから認められてきたのかな”と嬉しく感じています。」
「今シーズンは鈴鹿8耐に参戦したり、初優勝飾った後のオートポリスで失敗、そこからまた巻き返しは図る中で苦しさも楽しさも味わいながらチャンピオンを獲ることができました。この様々な経験が自分にとってとても大きな糧となっていると思います。」
「最終戦鈴鹿は昨年の悪夢があるので“とにかくコケずにゴールしよう”、それしか考えていませんでした。ライダーなので決勝レースがスタートしたら勝ちに行こう、と思いましたがそこで力が入っている自分に気付き、とにかくコケずにゴールする、と心掛けました。」
「来シーズンの体制はまだ決まっていませんが、600cc(J-GP2クラス/ST600クラス)に乗るなら当然チャンピオンを狙っていきます。1,000ccに乗れるなら常に一ケタでゴールできるように上位陣に食らいついていきたいと思います。」
三原じゅん子参議院議員から自由民主党モータースポーツ振興議員連盟会長杯を授与されたが事前に聞いていなかったそうである。
「口から心臓が飛び出るのではないかと思うくらいめちゃくちゃ緊張しました。こんな素晴らしい賞をいただけたことはとても光栄です。そして、三原じゅん子さん、めちゃくちゃキレイでした!」
激戦のJ-GP3クラスを制した:伊達悠太。
「鈴鹿が終わって約1ヶ月経ち、周りの人たちから「チャンピオンおめでとう!」と声をかけられる機会が増えて、その度に「チャンピオンを獲ったんだ」という実感が沸いてきます。
「今シーズンはとても難しいシーズンでしたが、全日本ロードレース初優勝から年間最多優秀でチャンピオンを獲れたことは自分も成長できたのかな、と思います。但、ポールポジション獲得はゼロでしたし、タイム的にも伸び悩んだのでそこは来年に向けた課題、改善点だと思っています。」
「昨シーズンのレースは序盤トップ集団について行けたのに中盤から離されていく展開が多かったのですが、今シーズンはそのような展開が少なく、自分が前を引っ張っていく展開もできたし、レース展開を冷静に見られるようになりました。がむしゃらに抜くのではなく、考えながら作戦を立ててから抜くということもできてきたので、そう言う意味で成長できたと思っています。」
「来シーズンの体制は決まっていませんが、どこで走るにしても“チャンピオンとしての走り”をしっかりと魅せられるレースをしたいと思っています。」
2018年シーズンの概要が発表され、JSB1000クラスは年間13レースとなり、2レース制のサーキットが増える。ライダーも観戦するお客様もエキサイティングなバトルが観られることだろう。ライダーたちが織りなす人間ドラマをぜひサーキットの現場で観て欲しいと思う。
Photo & text :Toshiyuki KOMAI