2023年鈴鹿サーキットモータースポーツファン感謝デー
レースシーズン開幕を告げる毎年恒例の「鈴鹿サーキットモータースポーツファン感謝デー」が3月4日、5日に開催された。四輪・二輪のトップ選手が集うイベントで大勢のお客様が詰めかけた。
鈴鹿8耐のデモランでは2022年EWCチャンピオンチーム:F.C.C. TSR Honda Franceのジョシュ・フック、高橋巧、亀井雄大、水野涼、名越哲平、渡辺一樹、作本輝介、児玉勇太、伊藤和輝、日浦大治朗が参加した。ルマン式スタートで一斉にスタート。東コースを3周ラップした。
グランドスタンド前では亀井、水野、名越によるトークショーを開催。
ファン感謝デーらしいイベントが二輪・四輪の混走「WEC&EWC2022耐久チャンピオン」と題したデモラン。平川亮選手がドライブするTOYOTA GAZOO Racing(GR010)とジョシュ・フックが乗るF.C.C. TSR Honda Franceが走行した。
この日は気温が低く、ジョシュ・フックがマフラーからの排気で手を温めると言う普段では見られない光景があった。
午後には長島哲太が開発を手がけるMotoGPマシン:RC213Vのデモランが行われた。長島は昨年の鈴鹿8耐では圧倒的な強さを見せつけて優勝。そしてMotoGPにスポット参戦するなど活躍をした一年であった。若手育成にも力を入れ、自らチームを立ち上げST600クラスに参戦している。鈴鹿サーキットをMotoGPマシンが走るのはこのモータースポーツファン感謝デーでしか見ることができない貴重な機会である。
グランプリスクエアの特設ステージでは「トップライダートークライブ」が開催された。前人未到の最高峰クラス11度のチャンピオンを獲得した中須賀克行、チームメイトでJSB1000クラス2年目の岡本裕生、WEBK,BSBと世界を転戦して4年ぶりに全日本に復帰する高橋巧、F.C.C. TSR Honda Franceジョシュ・フック、そして高橋と共にBSBで2年間戦った水野涼が参加した。
話題はやはり中須賀の強さ。岡本は一年前の鈴鹿テストで初めて中須賀と一緒に走り「今までに経験したことのない速さで抜かれてビビった」とコメント。高橋と水野もイギリスで欠かさずチェック。月曜日朝の会話は「昨日観ました?また中須賀選手勝ちましたね」その後は暗黙の了解で頷いてたという。ジョシュ・フックも中須賀の強さを知っていて「できればJSB1000クラスに参戦して打ち破りたい。でも難しいけどね」とコメント。会場を沸かせた。
ブリヂストンブースではF.C.C. TSR Honda Franceの闘将:藤井正和総監督を迎えたステージを展開。二輪タイヤブランド「BATTLAX」が今年40周年を迎える。藤井監督もブリヂストンとは40年の付き合いがあると言う。その歴史について語った。
ある日タイヤを持った3人のブリヂストンの社員が「軽いタイヤを作ったのでぜひ履いて欲しい」と尋ねてきたのが始まり。「だけど軽いだけでグリップはしなかったね(笑)」。
しかしそれから開発が進み2006年の鈴鹿8耐で初優勝。これまでに3回の優勝を果たす。2016年からEWC参戦。この時も「ブリヂストンのタイヤ開発者が“藤井さん、EWCやってみない?”って急に言ってきたもんだからつい“うん、いいよ”って言っちゃった」。最初のレースも、EWC参戦も『人として付き合えるか、喧嘩できる相手か』でブリヂストンに決めたと言う。人と人との繋がりを大切にする藤井監督らしい話であった。
四輪では、ルマン24時間100周年を記念して往年の耐久マシンが勢揃いした。また、フェラーリのF1マシンF2012とF189が懐かしの甲高いF1サウンドを奏でていた。
二輪ファンも四輪ファンも思い切り楽しめる盛りだくさんのイベントを楽しんだお客様は今シーズンの開幕を楽しみにしていることだろう。全日本ロードレースの開幕戦は4月1日(土)モビリティリゾートもてぎで開幕する。
Photo & text:Toshiyuki KOMAI