コロナ禍でオンライン配信のみであった年間ランキング表彰式が4年ぶりに対面で「2023 MFJ MOTO AWARDS」として東京都港区・竹芝ポートシティ ポートホールで開催された。全日本ロードレース、全日本モトクロス、全日本トライアル、全日本スノーモビル、全日本スーパーモト、全日本エンデューロ、各カテゴリー上位3名が表彰された。
冒頭MFJ会長:鈴木哲夫氏から今年度の報告と来年度の方針説明があった。来年のトピックスとして電動オフロードバイクによる「FIM E-XPLORER WORLD CUP」が大阪万博記念公園で開催される。「男女混合のチームで戦うFIM E-XPLORER WORLD CUPは、これまでの世界大会とは全く異なる新しいタイプのチーム戦であるため、新たなファンの開拓、新たなスターライダーやチームの誕生が期待されます。」と期待を寄せる。
今シーズンからJSB1000クラスで化石由来の原料を一切使用していないカーボンニュートラル燃料を世界で初めて導入したり、モトクロスで電動バイク参戦を導入するなど持続可能なモータースポーツに向けた活動を本格化させている。
全日本ロードレースの表彰。
J-GP3クラスのチャンピオンは3年連続の尾野弘樹。ランキング2位:彌榮郡、3位:若松怜。
ST600クラスのチャンピオンは全戦表彰台を獲得した阿部恵斗。今年急成長した西村硝がランキング2位。3位:井手翔太。
最終戦まで混戦だったST1000クラスは渡辺一馬が3年連続でチャンピオン。ランキング2位:荒川晃大、3位:國峰啄磨。
そして最高峰 JSB1000クラスは12回目のチャンピオンを獲得した中須賀克行。絶対王者中須賀に唯一勝った岡本裕生がランキング2位、最終戦で2連勝を飾った水野涼が3位。
中須賀が「この場に戻ってこられて本当に光栄です。来年も、ライダー全員で、素晴らしいレースをして全日本ロードレース全体を盛り上げていきたいと思います。引き続き応援を何卒よろしくお願いいたします。」と挨拶。
中須賀は全12戦中9勝と圧倒的な強さを魅せて前人未到の12回目のチャンピオンを決めた。しかし今年はその絶対王者に牙を剥く若手ライダーが出現した。ひとりは中須賀のチームメイトの岡本裕生。
第3戦SUGOのレース1で中須賀に勝利して連勝記録を止めた。SUGO以外でも中須賀と接戦を演じ「自分には無い走らせ方、自分よりも速いところは裕生の走りを盗んでいる」と中須賀に言わした。岡本も変わった。昨年までは「中須賀さんは凄いです。自分はまだまだ足元にも及びません」と言っていたが今年に入り初めて「勝ちたいです」とコメントした。最終戦鈴鹿では中須賀を追い詰めた。
もう一人は水野涼。イギリス選手権(BSB)参戦を経て3年ぶりに全日本復帰。SUGOレース1で3位表彰台獲得。鈴鹿8耐後のもてぎでは一時中須賀の前を走る好走で2位表彰台、オートポリス、岡山でも表彰台に登る。そして最終戦では中須賀、岡本と三つ巴のバトルを演じて最高峰クラス初優勝、レース2も優勝と2連勝を飾った。
来シーズン、打倒中須賀で挑んでくる若手ライダーが増えてくることを期待したい。
ロードレース以外の表彰は以下の通り。
全日本モトクロス:IA-1クラスチャンピオン Jay Wilson
全日本トライアル:国際A級スーパークラスチャンピオン:小川友幸
全日本スーパーモト:S1 PRO チャンピオン 日浦大治朗
全日本エンデューロ:インターナショナルAクラスチャンピオン 馬場亮太
全日本スノーモビル:SX-Proクラスチャンピオン 佐々木雅規
世界選手権参戦功労賞としてFIM Grand Prix World Championship Moto3 classで世界ランキング2位の佐々木歩夢が受賞した。
2024年シーズンもライダーたちが織りなす人間ドラマをぜひサーキットの現場で観て欲しいと思う。
Photo & text : Toshiyuki KOMAI