東京都世田谷区・株式会社リバークレイン本社で「ウェビック チームノリック ヤマハ 2018年チーム体制」発表会が開催された。
「世界で通用する日本人ライダーを育てたい」故・阿部典史選手の強い要望により2006年に設立されてから今年で12年目を迎える。チーム設立当初から参加していた野左根航汰はヤマハのユースチームを経てファクトリーチーム:YAMAHA FACTORY RACING TEAMで活躍している。
チームノリックをサポートしている「ウェビック」(株式会社リバークレイン)も今年7シーズン目を迎える。
昨年は最高峰クラスのJSB1000クラスへ参戦をしたが今年はチームのポリシー「世界を走れる若いライダーを育てる」に立ち返り14歳と12歳と、大幅に若いライダーを起用した。
全日本ロードレースでは阿部恵斗(あべ けいと)が14歳でJ-GP2クラスへデビュー。2013年にウェビック チームノリック ヤマハJr.に加入、2015年から地方選手権にデビュー。まだ小学生だった当時の発表会では直前に骨折して松葉杖をついての会見参加であった。
2017年にチームに加入した青田魁(あおた かい)はまだ12歳の小学生。筑波ロードレース選手権に参戦。そして故・阿部典史選手の息子、阿部真生騎(あべ まいき)は筑波ロードレース選手権J-GP3クラスに挑戦する。阿部は今年1月に鎖骨を骨折、さらに2月にも同じ場所を骨折するというデビュー前から話題満載で登場した。
阿部恵斗(14歳):J-GP2クラス
「いままで乗っていたバイクとは重さもライン取りも全然違うので最初は戸惑ったけど、開幕戦モテギに間に合うように練習しています。筑波サーキットやもてぎは走ったことがありますが、それ以外のコースは走ったことがないので不安はありますが、そんなことは言ってられないので限られた時間(事前テスト)の中でコースを攻略して上位陣に食らいついて行きたいです。」「恐らく自分がJ-GP2クラスで最年少参戦となると思うので、周りの先輩達に臆することなく積極的に攻めていきたいです。自分の限界を超えられるように努力して筑波ともてぎでは上位進出を狙っていきたいです」尊敬するライダーはノリックこと阿部典史選手とバレンティーノ・ロッシ、将来の夢はMotoGPチャンピオンという阿部。筑波選手権からいきなり全日本ロードレースへのデビューであるが、走りのセンスと度胸を見込まれての参戦、若いチカラに期待したい。
青田魁(12歳):筑波ロードレース選手権S80クラス他
「今年から筑波ロードレース選手権S80クラスに参戦します。2年前からキッズバイクに乗り始めて、去年本格的に各地を転戦しました。筑波サーキットを走るのは初めてですが表彰台にたくさん乗れるように頑張ります。将来の目標は全日本チャンピオンです」尊敬するライダーはノリックとマーベリック・ピニャーレスと言う青田。まだあどけなさは残るが昨年SUGO西コースのKIDSクラスコースレコードを記録して優勝する速さを持つ。
阿部真生騎(14歳):筑波ロードレース選手権J-GP3クラス
「去年からバイクに乗り始めた全くの初心者ですが、6月の筑波ロードレース選手権で上位進出できるように頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。」とコメント。昨年の11月に産まれて初めてバイクに乗ったという阿部真生騎。きっかけはお母さまからの「バイクに乗ってみれば?」のひとことだったという。それまでバイクに興味は無かったが、乗ってみたらその楽しさに惹き込まれたそうである。人生初骨折を今年の1月に負った。さらに2月にも同じ場所を骨折、それでも「バイクを止めたいとは全く思わなかった」と阿部。お父さんは誰もが知るノリックこと阿部典史選手「やがてはお父さんと同じ部隊(世界GP)に立って活躍したいです」と将来の夢を語った。
阿部光雄監督
「昨年は上和田拓海にチームノリックから脱皮してワークス系のチームに入れたいと思ってJSB1000クラスに参戦しました。今年は本来の目的「MotoGPライダーになれる、勝てるライダーを育てる」というチームポリシーに原点回帰して一気に若いライダーを起用しました。
阿部恵斗はまだ14歳。この若さでJ-GP2クラスに参戦させるのは荷が重いかな、とは思いましたが3年計画を見据えて、今年はまず慣れること、勉強に専念して、来年は勝てるライダーに、そして再来年にチャンピオン獲得、4年後にはMoto2へ行けるように育てていきたいと思います。
青田魁はまだ小学生。足もとどかないような状態でバイクに乗っていますが非常にセンスが良い。長い目で育てていきたい。恵斗の後ろを追いかけて世界の舞台で走れるようなライダーになって欲しいです。
阿部真生騎は皆さんご存知のノリックの息子です。2017年の11月にバイクに初めて乗った初心者です。でも非常に元気があり、今年に入って2度も骨折していますがバイクを止めたいとは言わずその楽しさにのめり込んでいます。6月の筑波選手権参戦に向けて3月中旬くらいからしっかりとトレーニングを行いたいと思います。
この若い3人のライダーの応援を何卒よろしくお願いいたします。」
信濃孝喜 株式会社リバークレイン代表取締役社長
「チームノリックの「若いライダーを育成する」というビジョンに共感してサポート開始から今年で7年目を迎えます。今年は「将来のMotoGPライダーを目指して若いライダーを育てる」というチーム設立当初の目的に立ち返り、改めて若いライダーをサポートします。
ライダーのステップアップの道筋環境が大きく変わり、サポート当初阿部監督と話していた“チームノリックから国内ワークス系チーム、そして世界へ”は今となっては難しくなっています。しかし、アジアロード選手権からMoto2へ、そのMoto2クラスにNTSさまやテルルさまのように日本企業の参画も増えて世界への道筋を考えやすい環境になってきています。阿部恵斗は子供の頃からチームノリックで鍛錬してきて、世界への道筋の兆しが見えてきたこのタイミングでJ-GP2クラスへの参戦は好機かな、と思い参戦を決めました。
チームノリックが今まで培ってきた人脈やノウハウを活かして子どもたちの夢を叶えて上げられるように全力でサポートしていきますので、みなさまにも暖かい目で見守って欲しいと思います。」
チーム設立当初から一貫して「世界で通用するライダーを育成したい」という目標に向けてブレずに活動をしているチームノリック。そして、その姿勢に共感してサポートを続けているリバークレイン。この良好な関係を継続してほしいし、ノリックのような世界中から愛され、活躍するライダーが一人でも多く輩出されることを願っている。
Photo & text : Toshiyuki KOMAI