野左根航汰、今季7勝目を挙げる。2位に清成龍一、3位に渡辺一樹。
野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM))が最高峰クラスで鈴鹿初優勝を飾り、今季7勝目。2位に清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)3位に渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング))
決勝日も雲が多めながら晴天。今シーズン雨が降らなかったウィークは初めてだ。だが風が冷たく気温も路面温度も前日に比べると低かった。
ホールショットは清成が奪う。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、野左根と続いて1コーナーに進入する。オープニングラップはそのまま清成が制する。以下、中須賀、野左根、渡辺一樹、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)、岩田悟(Team ATJ)、生形秀之(エスパルスドリームレーシング・ITEC)の上位10台。
清成は金曜日と予選で転倒、2台のマシンを大破させてしまったが、チームが懸命にマシンを組み直した。マシンに合わせこむ走りができる清成だからこその走りだろう。清成はオープニングラップから2分06秒258と上位陣で最も速いタイムでラップ、3周目までヤマハファクトリー2台を引き連れてトップを周回する。
4周目の2コーナー、野左根はアウトから中須賀をパス、2番手に浮上すると前を走る清成を追撃する。S字でテールを捕らえるとシケインで抜き去りトップに浮上する。5周目のダンロップコーナー、清成が僅かに膨らんだ隙を逃さず中須賀がインを突いて2番手に浮上。ヤマハファクトリーワン・ツーとなる。
レース1で中須賀、野左根と遜色のないラップタイムで周回、価値のある3位表彰台を獲得した渡辺一樹。2周目に2分6秒107をマークすると5周目のシケイン進入で清成をパス、3番手に浮上する。レース1と同じ展開を狙うが路面コンディションの変化からか、昨日ほどペースが上がらない。たがそれは他の上位陣も同じ。野左根、中須賀も2分5秒台ではなく6秒台でラップする。ただ、同じ固めのタイヤを履いている清成と比べると渡辺の方がタイムの落ち幅が大きい。清成は昨日とほぼ同じタイムなのに渡辺は約1秒落ちている。8周目のバックストレートで清成にかわされ、4番手にドロップダウンしてしまう。
野左根の背後から時折鼻先を入れてプレッシャーを与えていた中須賀。しかし、なんと8周目のシケインでフロントから切れ込んで転倒!すぐにコース復帰するが上位争いから離脱してしまう。
これで単独トップに立った野左根。2番手清成、3番手渡辺一樹はそれぞれ単独走行を続ける。前戦もてぎでマシンが炎上、廃車となりイチからマシンを造り直している水野はまだ本来の速さを取り戻せずにいる。少しずつ改善してはいるが今までのフィーリングと変わってしまい合わせきれずにいるようだ。その水野は単独で4番手を走行する。
その後方では濱原、渡辺一馬、加賀山による5番手争いが展開される。8周目の時点で0.64秒の中に3台がひしめく。9周目に渡辺一馬が濱原をかわして5番手に浮上すると、徐々にその間隔が開いていき、単独走行となる。
単独トップ走行の野佐根は2分6秒台前半のラップタイムで周回を重ねそのままチェッカー!苦手意識があったという鈴鹿で最高峰クラスで初優勝を飾る。これで8戦7勝という圧倒的な強さを持って堂々のチャンピオン獲得である。2位に清成、3位に渡辺一樹、4位に水野、5位に渡辺一馬、6位濱原、7位加賀山、8位岩田悟、9位関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)、10位にスポット参戦した今野由寛(Moto Map SUPPLY)の上位10台であった。
新型コロナウイルスの感染拡大を影響を大きく受けた今年の全日本ロードレース選手権。レース開催数が大幅に減り、さらには台風の影響で貴重な岡山大会が中止となってしまった。緊急事態宣言により各チームともテストをする時間を取れずマシン開発にも影響を及ぼした。無観客にはならなかったがパドックへの一般のお客様の入場制限をかけたりといつもとは違う様相を呈した。
新型コロナウイルスに感染し亡くなられた方々のご冥福、感染された方々の早期回復と皆様の健康をお祈りすると共に感染拡大防止に尽力している医療従事者の方々に感謝申し上げます。
一日も早い終息を願うと共にウィズコロナの時代でも感染防止に努めながらたくさんのお客様と一緒に全日本ロードレース観戦ができるとこと祈念しています。
全日本ロードレース最終戦 鈴鹿レース2の上位10位は以下の通り
優勝:#3 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#17 清成龍一 Keihin Honda Dream SI Racing
3位:#5 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
4位:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
5位:#33渡辺一馬 Keihin Honda Dream SI Racing
6位:72 濱原颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
7位:#71 加賀山就臣 Team KAGAYAMA
8位:#36 岩田悟 Team ATJ
9位:#44 関口太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
10位:#21今野由寛 Moto Map SUPPLY
Photo & text : Toshiyuki KOMAI
「スタートからトップで逃げ切りたかったのですが清成選手に前に出られてしまいました。ペースが速くてこれは抜けるペースではないと判断しました。トップに立ってからもう一度逃げ切ろうと考えましたがやはり中須賀選手がついてきました。一度ペースを落としてから2分5秒台にペースを上げたところでシケインで突っ込み過ぎてしまいました。そしたら後ろで中須賀選手が転倒したのが確認できました。自分は柔らかめのタイヤを履いていたのでどこまでタイヤが保つか不安はありました。さらに路面コンディションが昨日よりも悪くラスト2周では前に進みづらい状況でした。後続にこれ以上詰められたら厳しいな、と思いながらもあの差をキープながら上手くコントロールして優勝できたので良いレースだったと思います。」
「自分は転倒でバイクを2台壊してしまい、チームは懸命にバイクを造ってくれました。そのバイクのフィーリングはすごく良かったです。レース1からレース2に向けてほんの少しだけセッティングを変えたのでアベレージタイムが少し良くなりましたが、昨日のトップ3台には到底追いつけるタイムではないのですごく悔しいです。今回もラッキーで表彰台に登れて嬉しくは思いますがレースの内容はまだまだ詰めなくてはならない課題が多いです。」
「昨日と同じ3位ですが、内容が全く違いました。サイティングラップを走った時に“あれ?チームが土壇場でセッティングを変えた?”と思うくらいバイクのフィーリングが違いました。序盤のペースも上げられなかった、中盤の盛り返しもできなかった、後半はズルズル下がってしまった、と自分が想定していたレースができませんでした。悔しいというより情けないと言う気持ちです。“どんなコンディションでも強く・速く走るバイク”を目指して造ってきました。昨日のレース1ではカタチになってきたかな、と思ったのですが、他メーカーと比べてペースを上げられなかったのが課題として見えました。本来のマシンの性能を発揮できなかったのが残念です。」