今年開場60周年を迎える鈴鹿サーキット。毎年恒例のファン感謝デーが3月5日(土)、6日(日)に開催された。その翌日にファン感謝デーに参加したチーム・ライダーによる二輪合同テストが行われた。全日本ロードレース、鈴鹿8耐のカテゴリ混走で8チーム14人のライダーが走行した。
ホンダからはSDG Honda Racing、Honda Dream RT桜井ホンダ、Astemo Honda Dream SI Racing、TOHO Racing、F.C.C. TSR Honda Franceが参加した。午前と午後に1時間ずつ走行枠があったが1本目は前夜からの雨で路面はウエット。今年JSB1000クラスにステップアップした榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)が初っ端にコースインしたもののすぐに戻ってくる。各チーム1本目はコースコンディションの確認で終わる。
2本目はドライ。しかし気温も路面温度も上がらず冷たい風が吹き付けるコンディション。トップタイムは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)2分7秒321。ホンダ勢トップは日浦大治朗(Honda Dream RT桜井ホンダ)2分08秒734。日浦は今シーズンも鈴鹿ラウンドと鈴鹿8耐のスポット参戦だが、地元だけに鈴鹿を熟知しているアドバンテージはある。
「パッと乗りで2分10秒を切る8秒台というのは悪くないかな、と思っています。昨年7月のMFJグランプリ依頼、約8ヶ月ぶりに乗りましたので、先ず今日は自分の身体慣らしがメインです。そういう意味では良いテストになりました。
チームメイトの颯道選手も速いし僕もチームとして鈴鹿8耐に出るので、2人でどこまでバイクを良い状態に作り上げるのか、が課題になってくると思います。」
「今年は鈴鹿8耐が絶対あると思うので颯道と一緒に上を目指して頑張っていきたいと思います。あとは足を引っ張らないように転倒だけはしないように頑張りたいと思います。」
桜井ホンダで走る5年目のシーズンを迎える濱原颯道。身長190cm、体重80kg超と他のライダーよりも20kg位重い。当然タイヤへの負担も増える。大きな身体と体重差を自分の走りに活かすべく、常に走りについて考え、工夫して実践している。ここ数年の進化は目覚ましく、ランキングも一昨年3位、昨年2位と上昇している。常に上位争いに絡み優勝争いにも顔を出す。そして今年はゼッケン2番をつけて走る。しかし本人はゼッケン1番でないと意味はない、と常にトップを目指して戦いに挑んでいる。
「ゼッケン2番については特に思い入れはありません。“そういえば今までどのカテゴリでもランキング2位ってなったことないなぁ、、、くらいです(笑)自分にとって2番は負けていることなのでもっと上を目指さなければ意味はありません。」
「一昨年は新型CBRを乗りこなすことを目標に、昨年はホンダの中でのトップを目指すことを目標にして、共に達成できました。今年は“勝つ”ことを目標にしたいと思います。勝てるチャンスがあれば今まで以上にガンガンに攻めていきたいと思います。」
「大治朗選手も言ってましたが、約半年ぶりにロードバイクに乗るので自分自身のウォーミングアップのつもりで走りました。大治朗選手は鈴鹿では先生みたいな感じです。上位争いができる強敵なので、負けたくないですけど、教わることもいっぱいあります」
チームメイトでありながらライバルでもこの2人。切磋琢磨しながら上位を目指す2人の走りが楽しみである。
ハルクプロのエースとして臨む2シーズン目の名越哲平(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)今年からメインスポンサーがSDG 昭和電機グループに変更となりカラーリングも一新した。今シーズンは同じJSB1000クラスに榎戸育寛がステップアップしてきた。エースであり、チーム全体を牽引することも求められる名越。
「昨シーズン前半は特にタイヤの使い方に悩まされ上手く回らなかったのですが、鈴鹿8耐テストあたりからタイヤの潰し方を掴めました。それからは徐々に上向いて行き、毎戦毎戦成長を感じられるようになりました。今年はその延長線上で、チーム一丸となってそ良いところは伸ばし、改善点は修正することを進めたいと思います。」
「今年は先ずは“優勝”を目標に戦いたいです。マシンはこれから2022年仕様になるのですが、去年のマシンと比較しながら進めて行くのが非常に楽しみではあります。と同時に自分が今何をすべきかと言うことをしっかりと判断しなくてはならないとおもいます。」
「今年榎戸選手が同じカテゴリーから走りますが絶対に負けてはいけない相手だと思っています。2台で走ることによりデータ量も増えますので今後のマシン開発にもプラスに働くと思います。仲悪くなる必要はありませんが(笑)お互いに切磋琢磨しながらさらに上を目指したいと思います」
「今までは自分が勝ちたい、と言う思いだけで走っていましたが、今年はチームの柱として、エースと呼ばれる以上はチーム全体の士気を上げられるように、他の後輩たちを引っ張っていけるようなライダーにならなくてはいけない、と思っています。」
わずか一年で人間的にも成長が感じられる名越。甘いマスクとは裏腹にアグレッシブな走りに期待したい。
JSB1000ルーキーの榎戸育寛についてはルーキー編で紹介します。
Photo & text:Toshiyuki KOMAI