今年開場60周年を迎える鈴鹿サーキット。毎年恒例のファン感謝デーが3月5日（土）、6日（日）に開催された。その翌日にファン感謝デーに参加したチーム・ライダーによる二輪合同テストが行われた。全日本ロードレース、鈴鹿8耐のカテゴリ混走で8チーム14人のライダーが走行した。
今年JSB1000クラスに3人のルーキーがデビューする。ホンダの榎戸育寛（SDG Motor Sports RT HARC-PRO.）、作本輝介（Astemo Honda Dream SI Racing）、ヤマハの岡本裕生（YAMAHA FACTORY RACING TEAM）。岡本はいきなりファクトリーチーム入りだ。ほぼ全員がJSBマシン初体験。その違いに戸惑いながらも黙々と走り込んでいた。
榎戸は2016年ST600クラスチャンピオン獲得後J-GP2クラスへステップアップ。さらに2020年からST1000クラスに参戦。1,000cc３年目の今シーズンは開発を含めてST仕様のマシンにブリヂストンタイヤを装着して臨む。
「マシンはST仕様です。そういう意味ではタイヤはブリヂストンに変わりましたがマシン自体は昨年から変わっていません。」
「ブリヂストンは凄く良い印象はありますが、まだ“潰して曲がる”乗り方ができていません。ST仕様にブリヂストンを履いているマシンは他にないと思うので、どこまでパフォーマンスを上げらるか、が自分の課題だと思います。」
「一年先にJSBを走っている名越選手をはじめ、同世代のライダーがたくさんいるので、その中で“あいつ、頑張ってるな”とみんなから応援されるような走りを見せたいと思います。」
2020年からST1000クラスを走る作本輝介。昨年はチームメイトの渡辺一馬とチャンピオン争いに絡む実力を見せた。伊藤真一監督からスロースターターと称される通り昨年序盤の遅れが響いた。中盤以降2勝を挙げるがあと一歩及ばなかった。
「一番レベルの高いクラス、そして自分が一番走りたかったクラスですので今年JSB1000クラスを走れることを凄く嬉しく思いますし、周りの方々に感謝しています。」
「ブリヂストンタイヤはJ-GP2クラス以来3年ぶりです。まだ乗りこなすまでには至っていませんが、チームと一緒に仕上げていきたいと思います」
「自分のイメージ通りには走れませんでした。チームと話し合いながら、自分がマシンに合わせていかないといけないですし、マシンも自分の走りに合った方向性を見つけて開幕までに仕上げたいです。」
「1年通してしっかり結果を出すのはもちろんですけどホンダ勢の中でトップになることを目標にしたいです」
2018年、2020年とST600クラスチャンピオン獲得、2021年からST1000クラスに参戦。そして1000ccクラス2年目にしてワークスチーム入りを果たした岡本裕生。恵まれた環境に置かれたわけだがその分プレッシャーも大きいだろう。チームメイトは絶対王者の中須賀克行だ。盗めるものはどんどん盗んで自らの糧としてほしい。
「自分が思ったより全然難しいバイクで誰でも簡単に乗れるバイクじゃないな、と痛感しました。焦りはそんなにないですけど、早く慣れなきゃいけないなと思います。開幕までテスト少なく、限られた時間の中でしっかり慣れて、バトルできるぐらいまで仕上げなくてはいけないので、1回1回のテストを大事にしたいと思います」
「やはり中須賀選手は凄いです。今日、一度だけ1コーナー進入を後ろから見たのですが恐ろしかったです。でも（中須賀を）越えるのも自分の役目だと思っているので盗めるところは盗んでもっと自分を磨いていこうと思います。」
「このような素晴らしい環境に置いていただいたので、その期待を裏切らないように、キチンと考えてライダーとして一回りも二回りも成長できたらと思います。そして初年度から結果を出せるように精一杯努力をしたいと思います」
若手の成長・育成が急務となっている全日本ロードレース。最高峰クラスに3人のルーキーが走るのは久しぶりだ。しかも全員その実力は高い。大きな山である中須賀を筆頭に百戦錬磨の猛者どもがいるJSB1000クラスで彼らがどんな走りを見せるのか楽しみである。
Photo & text：Toshiyuki KOMAI
