開幕戦レース1。中須賀克行がポール・トゥ・ウィン!2位:渡辺一樹、3位:濱原颯道
2022シーズン開幕戦のレース1は序盤からトップに立ちレースをコントロールした中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)がポール・トゥ・ウィン。幸先の良いスタートを切った。2位には渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)、3位に濱原颯道(Honda Dream RT桜井ホンダ)が上位表彰台。この3人は初日から変わらずこの位置にいる。
朝10時から始まった公式予選。太陽が出ているとは言えとにかく寒い。序盤に中須賀が1分48秒2をマーク。渡辺が48秒9で2番手につけると濱原が48秒8をマークして2番手に浮上。中須賀が1分47秒964とこのウィークで初めて47秒台に入れた。終盤に渡辺が渾身のアタックで47秒940、リーダーボードのトップに立つ。しかしすかさず中須賀が47秒777のトップタイムを叩き出す。セカンドタイムも中須賀でダブルポールポジションを獲得した。2番手に渡辺、3番手に濱原。やはりこの3人で上位を争った。4番手は亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)、亀井も自己ベストの48秒987。5番手に岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と続く。
午後の決勝レース1の前には陽が隠れてさらに寒く感じる。スタート直前にエンジンストールしたマシンが出たためスタートディレイ、約30分遅れの14時55分に再スタートが切られた。周回数は1周減算の14周。
ホールショットは渡辺が奪う。しかし2コーナー立ち上がりのクロスラインから中須賀がトップを奪う。3コーナー進入で濱原のインから亀井が3番手を奪うが膨らんだため4コーナー進入で濱原、作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)に抜かれて5番手に後退。
オープニングラップは中須賀が制する。2番手渡辺、3番手濱原、90度コーナーで作本をパスした亀井が4番手、作本が5番手、6番手岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、7番手岩田悟(Team ATJ)、8番手榎戸育寛(SDG Honda Racing)、9番手柳川明(KRP SANYOUKOUGYO RSITOH)、10番手中富伸一(Waveinn R)の上位10台。
中須賀、渡辺、濱原の3台は4周目に1分48秒台に入れて4番手以下を引き離し、5周目には3秒571の差をつける。
スタートディレイの進行がバタついた関係でタイヤが冷えた中須賀は熱を入れることに集中した。特に左コーナーは慎重に走行した。対する渡辺と濱原は積極的に走行する。序盤は上位3台が接近戦を展開する。
2シーズンぶりにフル参戦する渡辺一樹。チームはもちろんヨシムラ。今シーズンはTeam KAGAYAMAにチーム運営を委託、監督に加賀山就臣が就任した。チーム名もYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINと新体制でのスタートを切った。事前テストから中須賀に肉薄するタイムを刻み、レースウィークに入っても僅差で追っている。「EWCの経験からアウトラップのスピードを高めるための車体作りがメリットとして出てるのかなと思う」と14周のレース1はスピード勝負と捉えて序盤から果敢に攻めて行った。
濱原も序盤から攻めた。大きな体格を活かしてスタートからタイヤに熱を入れられることをアドバンテージと捉えた。今年はプッシュすることを目標にすると言う。ホンダでトップに立った去年はランキング2位だった。今年は「順位よりもとにかく前に行かなくてはと言う気持ちが強い」と言う。その言葉通り序盤にチャンスがあるとみるやプッシュ、5周目には予選と同じ1分48秒846をマークした。
タイヤが温まってくると中須賀はペースを上げる。中盤以降48秒台前半を連発、10周めに48秒248のファステストラップを刻むと10周目に2番手渡辺との差を約1秒に広げる。その後も手綱を緩めることなく速いラップを刻みそのままトップチェッカー!今シーズン最初の勝利を手にした。
「中須賀選手のスパートに反応したつもりでしたが追いつくことができませんでした」と言う渡辺は2位表彰台。
濱原は「序盤ついていけるだけついていき、後半どこまでついていけるかを考えて走りました」と3位表彰台を獲得。「まだサシで勝負できるような状態じゃなかった」と悔しがる。
本田技研工業鈴鹿製作所の社員で構成するHonda Suzuka Racing Team(Honda Suzuka Racing Teamについてはこちら)。亀井が部長を務める。今シーズンは新たに投入したオリジナルのスイングアームがマッチしているという。予選で自己ベストをマークして臨んだ決勝だが、燃料満タンの重たい状態でのセットが出ていなかったので序盤の先頭グループについて行けなかったのが悔しい、と4位でチェッカー。
ヤマハファクトリー入りしたルーキーの岡本裕生。ウィークに入ってからの温度の低さに苦戦していた。序盤にタイヤの熱入れができず5周の間に4回ほどハイサイドを喰らいそうになったと言う。5周終了時点でトップ中須賀から5秒459離されてしまった。しかし終盤に毎ラップを上げ、前を走る亀井に徐々に迫り、2秒以上あった差を1秒差にまで詰めて初戦を5位でフィニッシュした。
優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見
「先ずはレースディレイに関してしっかりと安全な判断をいただいたMFJの亀谷さんに感謝したいです。スタート直後、一樹選手がいいペースで開けていたので“ここで前に出られたら追い抜くのに時間がかかる”と思ったので多少無理してでも1コーナーで入って前に出ました。その後は(タイヤに熱が入りにくい)左コーナーでは慎重に走りました。タイヤが温まってからはプッシュしたのですが思ったより一樹選手が離れず、お互いにキツいのは同じだからどこまで粘れるかが勝負になると思いました。タイヤを最後まで保たせることができたのでよかったです。ここまで寒いとコントロールが難しくなってきます。もう少し暖かければ違ったセッティングで臨めるのですが、明日は周回数が多いのでそこも考えてしっかりレースをしたいと思います」
2位:渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)記者会見
「全日本を走るのは1年ぶりなので、自分がレースコントロールをするというよりはどんなレースができるのか、現状把握が必要だと思っていました。先頭でサイティングラップを走れたので自分のペースでタイヤを温めることができました。ウォームアップ性の良いマシンなのでスタートが決まれば序盤のアドバンテージになるかなと思ったのですが、中須賀さんが切れ込んできました(笑)最後まで付いていければ良かったのですが終盤に引き離されてしまいました。ですが、中須賀さんの後ろを走っていたからこそ得られた情報がたくさんあるので明日のレース2に活かしたいと思います」
3位:濱原颯道(Honda Dream RT桜井ホンダ)記者会見
「タイヤはかなり冷えていましたが、サイティングラップで左の接地感があったので抜くなら1コーナーだ、と思っていたら中須賀さんが行っちゃいました。自分がやろうと思ったのになぁ(笑)と思ったのですがそれくらいいける自信はありました。中須賀選手の後ろで走っていていろいろと勉強になりました。タイヤが減ってきてからはタイム差が開いてしまいました。明日のレース2までにどこまで詰められるかわかりませんが、明日はもう少し喰らい付いていきたいと思います。」
全日本ロードレース開幕戦 もてぎ 決勝レース1上位10位は以下の通り。
優勝:中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2:渡辺一樹 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
3:濱原颯道 Honda Dream RT桜井ホンダ
4:亀井雄大 Honda Suzuka Racing Team
5:岡本裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
6:作本輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
7:岩田悟 Team ATJ
8:榎戸育寛 SDG Motor Sports RT HARC-PRO.
9:津田一磨 BabyFace Powered by YOSHIMURA
10:柳川明 KRP SANYOUKOUGYO RSITOH
Photo & text:Toshiyuki KOMAI