コロナ禍もあり5年ぶりに「ハルク・プロ 感謝の夕べ」が東京都・ホテルエミシア東京立川で開催され、大勢のお客様が駆けつけた。
2024年、ハルク・プロは通算100勝を達成。さらにST1000クラスの國井勇輝が全日本及びアジアロードレースでダブルタイトル獲得と手応えのあったシーズンであった。
「1985年にチームを立ち上げてから全クラスを通じて今年100勝目を挙げることができました。これもひとえにずっと応援をいただいている皆さまのおかげだと思って本当に感謝しております。ありがとうございます。」と本田重樹会長から会場に集まったお客様に長年のサポートへの感謝の挨拶。
今シーズンは國井の年だったと言っても過言ではないだろう。そしてその活躍が認められて来季は世界の舞台「Moto2」にステップアップする。最近では見られなくなった「国内から世界へ」の道筋を見せてくれた好例である。「全日本ST1000クラスとアジアASB1000クラスで見事(笑)ダブルチャンピオンを獲得することができました。そこに至るまでにはたくさんの方々・スポンサーの皆さまからの支援、チームの手厚いサポートがありました。本当に感謝していいます。ありがとうございました。
そして来シーズンは青山博一監督率いる「IDEMITSU Honda Team Asia」からMoto2クラス参戦が決まりました。この3年間ハルク・プロで学んだことをしっかりと活かして頑張りたいと思いますので引き続き今後とも応援のほど何卒よろしくお願いいたします。」自ら「見事に」と発言した際には会場は爆笑の渦。こんな穏やかな人柄が國井の人気の理由だ。
続いてSDG株式会社 柏木健作 代表取締役社長CEOからのご挨拶。
「5年ぶりの感謝の夕べにて皆さまとご一緒できることを大変嬉しく思います。ハルク・プロ本田重樹会長をはじめご来場の皆さまには大変お世話になりましてありがとうございました。また弊社製品をたくさんの皆さまにもご使用いただきましたこと、この場をお借りして御礼申し上げます。
私が本田重樹会長と初めてお目にかかったのは1990年、そこから26年のお付き合いです。2014年からチームタイトルスポンサーをさせていただき11年目。今年弊社の会社名を昭和電機株式会社からSDG株式会社に変更、チーム名も少しかっこよくなったかなと思います。そのおかげかレースの成績も良く、弊社の売り上げにも良い影響が出ました。
今シーズン入る前に本田会長に國井選手に全日本とアジアのダブルエントリーさせませんか?と打診したところ“それは厳しいです”との回答でした。しかし“なんとかやりましょう!彼をもう一度世界の舞台に戻す、それも我々の使命ですよ”と説得しました。その結果がダブルタイトル、そして来季Moto2参戦に繋がり、とても嬉しく思います。
全日本の空洞化と呼ばれて久しいですが、まだまだ日本から世界に通じる道はあるんだ、と言うことを示せたのではないかと思います。全日本が、レース業界全体がもっと盛り上がって欲しいと祈念すると同時に我々にできるサポートをし続けるつもりです」
バイクレースをスポンサードしているお手本とも言えるSDG株式会社。頻繁なSNS投稿は常に新しい情報を届け、新たなファンを生み出し、リクルート活動にも好影響が出ているとのこと。柏木社長のバイクレースへの並々ならぬ熱い思い入れがあればこそのことだと思う。
さらに柏木社長から國井に金一封贈呈のサプライズ。これには國井も大喜び!
恒例の樽酒の鏡開き、そして本田技研工業株式会社二輪業統括部マーケティング企画部部長市川様の乾杯のご発声で宴会がスタート。
「1990年に1勝目を挙げてか足掛け34年目の今年100勝を達成することができました。これもひとえにみなさまからの熱い応援とサポートがあったからこそだと思います。ありがとうございました。」と本田光太郎社長から御礼のコメント。100勝の立役者であるライダーたちも駆けつけた。
ハルクプロ3勝目を挙げた小野真央。
小野の後に加入した青山博一。「小野さんには高速道路に置いて行かれたり(笑)鍛えられたので全日本チャンピオンを獲れたと思います。その後世界チャンピオンを獲れたのも自分の起点はハルクプロにあると思います」。
100勝中18勝と最多勝利の小西良輝は京都から駆けつけた。
2017年にハルクプロにJSB1000クラスチャンピオンをもたらした高橋巧。「優勝回数ではあまり貢献できませんでしたがチャンピオン獲れたことに自分は満足しています(笑)」
「自分もあまり優勝回数では貢献できませんでしたがこの3年間鈴鹿8耐で走らせていただき、昨年は表彰台に上がることができました。」と浦本修充。
「現役ライダーとして優勝できていないのですが、次の200勝に向けて少しでも貢献したいです」と名越哲平。
「数勝ですけど貢献できて嬉しいです。ハルクプロさんには色々な作法を教えてもらい今も役立っています」と赤ちゃんを抱いて登壇した榎戸育寛。
最後は國井勇輝。「3年目にして初優勝を飾ることができました。そして運良く自分が100勝目を挙げることができて感銘しています」。記念すべき100勝目は國井がハルクプロにプレゼントした。
続いて2025年の参戦体制が発表された。
JSB1000クラスはチーム名が「SDG Team HARC-PRO. Honda」に変わり名越哲平が継続参戦。
「来シーズンも継続参戦できて嬉しく思います。今シーズン学んだこと、悔しかったことをしっかりと来シーズンに結果として残せるようにチーム一丸となって優勝を目指して頑張りますので引き続きサポートをよろしくお願いします。」今シーズンのホンダワークスでの経験は今後の名越の糧になるだろう。つい最近結婚、新しい家族も増えて名越の意気込みはさらに上がる。
ST600クラスは2名体制。チーム名は「SDG Team HARC-PRO.」に変更。継続起用の濵田寛太に加え、小田喜阿門が新加入する。
「今シーズンは悔しい思いをたくさんしました。来シーズンに向けてやることはたくさんあるので結果を残せるようにトレーニングしていきます。引き続き応援よろしくお願いします。」と濵田寛太
「ヨーロッパのジュニアGPを走っていたのですが来季のシートが無く悔しい思いをしていたのですがSDG Team HARC-PRO.で走らせてもらえることになりました。國井選手のようにもう一度世界に戻れるように強い走りをしていけるように頑張りますので応援よろしくお願いします。」と小田喜阿門。
JP250クラスには赤間清が継続参戦。
「ハルクプロ在籍33年の赤間と申します。ですが先ほどすっかり忘れられてしまいました(笑)来シーズンは忘れないような走りをするように頑張って参りますので応援のほど何卒よろしくお願いいたします。」参戦発表の際に赤間が呼ばれずこのようなコメントとなった。
そして國井が抜けた後のASB1000クラスには今年のST600チャンピオン:阿部恵斗が新加入する。チーム名は「SDG HARC-PRO. Honda Philippines」
「来年ホンダ車に乗り換えてアジア選手権への新しい挑戦ということで、しっかり気を引き締めて頑張っていこうと思います。國井選手が今年チャンピオンを獲っているので、来年自分が獲れるように頑張ります。引き続き今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。」
ビンゴゲームでは豪華賞品が多数提供され大いに盛り上がったところで本田光太郎社長から中締めの挨拶。「今シーズンも無事にレース活動を終えられたのもひとえにみなさまからのご協力があったからこそだと心より御礼申し上げます。ありがとうございました。来シーズンもこの体制でシリーズチャンピオンを獲得すべく邁進していきますのでご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」
ハルク・プロのますますの活躍に期待がかかる。
Photo & text : Toshiyuki KOMAI