波乱の雨のレースを制したのは山口辰也！中須賀克行の連勝がストップ
全日本ロードレース第8戦、JSB1000クラス決勝レース2が岡山国際サーキットで開催されました。 前日までの好天から一転、太平洋上に発生した台風17号の影響で湿った南風が吹き込み、朝からどんよりとした曇り空。お昼前から雨が降ったり止んだりの不安定な天候となります。 JSB1000クラスのスタート進行時に再び雨が落ちだし、ウォーミングアップ走行の途中で赤旗掲示。全車ピットに戻ります。レースは2周減算の22周、ウェット宣言が出されました。 約30分遅れてサイティングラップ再開、この時には本降りの雨となります。
ホールショットは#1中須賀克行（YAMAHA FACTORY RACING TEAM）が奪います。しかし、2コーナーで#7野左根航汰（YAMALUBE RACING TEAM）が前に出ます。3番手に#634高橋巧（MuSASHi RT HARC-PRO.）、4番手山口辰也（TOHO Racing）、5番手に#090秋吉耕佑（au&テルル・Kohara RT）。
アトウッドカーブで中須賀が抜き返してトップ、ここでなんと秋吉が転倒してしまいます。その先、バックストレートエンド・第1ヘアピンで野左根が膨らみ、その隙に高橋がパス、その先のリボルバーで今度は中須賀が膨らんでしまい、高橋がトップに立ちます。
オープニングラップは#634高橋、#1中須賀、#7野左根、#104山口、#15藤田拓哉（YAMALUBE RACING TEAM）、＃85中富伸一（HiTMAN RC甲子園）、#72高橋裕紀（MORIWAKI RACING）、#14武石伸也（SYNCEDGE 4413 Racing）、#12津田拓也（ヨシムラ スズキ シェルアドバンス）、#71加賀山就臣（Team KAGAYAMA）の上位10台。
今年初めてのヘビーウェットレース、いつもと展開が違ってきます。2番手走行の#1中須賀の背後にピタリと#7野左根がつけ、5周目の第１コーナーで#７野左根が#1中須賀をパス、さらに#104山口も中須賀をパス、#1中須賀は4番手に落ちます。
その翌周、第1コーナーで#7野左根が膨らみ#104山口がインを突きますがクロスラインから第2コーナーで#7野左根が抜き返します。しかしバックストレートで#104山口が#7野左根を刺して2番手に浮上、3番手#7野左根、4番手#1中須賀、というオーダーです。ここで#7野左根が最終コーナーで転倒、戦列から離れます。
「後ろから見ていたら高橋選手より自分のオートバイの方が速いと思っていた」と言う#104山口は、11周目のホームストレートで#634高橋をパス、ついにトップに立ちます！
そしてここから#104山口の独走劇が始まります。 12周目のラップタイム、#104山口1分45秒142（ファステストラップ）、#634高橋1分50秒128、#1中須賀1分49秒053、なんと約5秒も後続のバイクより速いのです！その後も46秒台、45秒台を連発、後続との差をみるみるうちに広げていきます。
最終的には2位に35秒920の大差をつけて2009年以来の優勝！そして、#1中須賀の連勝記録を止めました。 記者会見で「中須賀選手の記録を止めたのが自分で良かったのかな？」と謙遜したコメント。市販キットマシンでワークス相手に闘い続けてきた山口は「チームに恩返しができて嬉しい」とチームへ感謝。普段あまり感情を顔に出さない山口ですが、この日の表彰台では喜びを隠せない表情でした。
2位には#634高橋、マシンのセットアップが決まらず不調が続いていましたが今シーズン初表彰台、3位に#1中須賀。ゴール後「久しぶりに負けた」悔しさから自然と涙がこぼれ落ちたそうです。反面「連勝のプレッシャーから解放された、最終戦では新生・中須賀克行を見せられる」とコメント。
レース1で表彰台を獲得した#12津田拓也（ヨシムラ スズキ シェルアドバンス）、#26渡辺一樹（Team GREEN）は、それぞれ14位、11位という結果でした。両者ともヘビーウェット用ではないレインタイヤをチョイス、転倒しないように走るのが精一杯だったそうです。
ブリヂストンの山田宏モーターサイクルレーシングマネージャーに伺うと、#104山口はソフト（フロント/リア）、#634高橋はフロント：ソフト、リア：ミディアム、#1中須賀はミディアム（フロント/リア）のレインタイヤを選択、今大会はタイヤ選択も大きな鍵となりました。
4位の#72高橋裕紀は6月のSUGOの転倒で左かかと粉砕骨折の大怪我から驚異の回復力で今大会が復帰戦。それをレース1：10位、レース2：4位という素晴らしい結果、5位入賞の#14武石は得意のウェットコンディションの中、量産（市販）のレインタイヤで快走、会場をおおいに盛り上げました。
全日本ロードレース第8戦岡山「SUPERBIKE RACE in OKAYAMA」決勝レース2の上位10位結果は以下の通りです。
優勝：#104 山口辰也 TOHO Racing
2位：#634 高橋巧 MuSASHi RT HARC-PRO
3位：#1 中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位：#72 高橋裕紀 MORIWAKI RACING
5位：#14 武石伸也 SYNCEDGE 4413 Racing
6位：#15 藤田拓哉 YAMALUBE RACING TEAM
7位：#86 中富伸一 HitMAN RC甲子園ヤマハ
8位：#34 近藤湧也 GBSﾚｰｼﾝｸﾞ Mochizuka YAMAHA
9位：#39 酒井大作 Team Motorrad39
10位：#32 今野由寛 Moto Map SUPPLY
photo & text : koma
Special thanks: Toshiya Onishi (photo)
