東京都世田谷区・株式会社リバークレイン本社で「ウェビック チームノリック ヤマハ 2017年チーム体制」発表会が開催された。
「世界で通用する日本人ライダーを育てたい」故・阿部典史選手の強い要望により2006年に設立されてから今年で12年目を迎える。チーム設立当初から参加していた野左根航汰はヤマハのユースチーム:YAMALUBE RACING TEAMを経て今年ファクトリーチーム:YAMAHA FACTORY RACING TEAMに加わった。
今年、ウェビック チームノリック ヤマハは、若い3人のライダーで闘う。
全日本ロードレースでは上和田拓海がJSB1000へステップアップ、タイ人ライダー:ケミン・クボがタイランドヤマハ チームノリックからJ-GP2クラスに参戦、阿部恵斗は筑波ロードレース選手権J-GP3クラスに挑戦する。
上和田拓海(20歳) ウェビック チームノリック ヤマハ:JSB1000クラス
「昨年のJ-GP2クラスの成績には満足していないのでもう1年やって結果を出してから(JSB1000クラスへ)ステップアップ、ということも考えたが、野左根航汰選手の背中をみて、ここでステップアップして結果を出してファクトリーチーム入りを目指すと言う道も間違いではない、と判断した。600ccで培ったコーナリングスピードの速さや、阿部さんに徹底的に鍛えられているモタード/ダートトラックのトレーニングの成果を出したい。JSB1000初年度は相当厳しいシーズンになるとは覚悟しているがその中でも毎戦トップ10には入る結果を残したい。スポンサーさま、応援してくれる人たちの眼に留まるような走りで評価をもらえるように頑張る。世界の舞台で走りたい、という目標は昔から変わっていないのでそこに向かうべく1戦1戦、確実に成長していきたい」全日本ロードレース3年目の上和田。顔つきが精悍になり、筋力も相当ついてきている。大人になった上和田の走りに期待ができる。
ケミン・クボ(17歳) タイランドヤマハ チームノリック:J-GP2クラス
「今年は全日本ロードレースJ-GP2クラスとアジアロード選手権SS600クラスの2カテゴリに挑戦する。J-GP2クラスは初めての挑戦だが、良い成績を残してチャンピオン獲得を狙いたい。アジアロード選手権ではシリーズランキング5位を目指したい。」筑波のテスト走行ですでに58“4のタイムを出しているとのこと。ハードトレーニングを積んでいるので自信はある、と心強いコメント。
阿部恵斗(13歳) ウェビック チームノリック ヤマハ:筑波ロードレース選手権J-GP3クラス
「今年ステップアップして廻りには速いライダーがたくさんいるけれど、その彼らをドンドン抜いてチャンピオンを獲りたいと思う。ライバルたちのマシンに比べれば非力な部分はあるけれど、そこはライダーである自分でカバーして走りたい。今年の目標は出るレース全て表彰台に昇りたい、そして将来はMotoGPにステップアップして世界のライダーたちと闘いたい」とコメント。会見時は緊張し過ぎて何を話したかよく覚えていない、という阿部はまだ若干13歳。あどけなさが残るかわいい表情の中に世界を目指す強い意志を感じた。
「チームノリックは、全日本ロードレースは今年2チーム体制で臨む。上和田拓海は今年JSB1000クラスへステップアップ、ほぼスタンダードのマシン(YZF-R1)で参戦するので相当厳しい展開が予想されるが、なんとか上位に食い込めるようにチーム一丸となってバックアップする。もう一つのチームはタイ人ライダー:ケミン・クボを起用してJ-GP2クラスにフル参戦する。昨年上和田が乗っていたマシンを使用する予定で、事前の練習走行ではタイムも速く(J-GP2クラスで)活躍できると期待している。さらにケミンはアジアロード選手権SS600にも参戦する。勝つのは相当難しいとは思うがかなりの活躍をすることと期待している。
阿部恵斗は10歳からチームに参加して4年目。筑波S80クラスからJ-GP3クラスに参戦。マシンはTZ125のフレームにYZ250のエンジンを積んだTZ250Fで臨む。非力なマシンで速いマシンに対抗することでコーナリングスピードが向上など人間(ライダー)の技術的、精神的成長をもたらし、将来に向けてとても有効的だと判断した。
3人とも若く可能性を秘めたライダー。将来MotoGPライダーになれるようにスキルの向上を図らせると同時に我々もできる限りのバックアップをしていく」
「ウェビックはチームノリックの「若いライダーを育成する」というビジョンに共感して2010年からをサポートしている。特にチームノリック出身の野左根航汰選手が今年ファクトリーチームに加入するなど、その成果は確実に出てきていると実感している。
上和田拓海は、才能のある若いライダーを見つけてきて幼少の頃から叩き込んで育て上げるというチームノリックのスタイルとは違い、ある程度自分で下地を作ってからチームに加入した、社会人で言えば中途入社のライダーだが、阿部監督の指導の下で徹底的に鍛えられ、研鑽してここ(JSB1000へステップアップ)まできたということを証明したライダーである。ハタチと若いライダーではあるが、成熟して活躍し、翔いてくれることを願ってサポートをしている。
阿部恵斗は上和田の中途入社に対して新卒の生え抜きで阿部監督が当初からずっと指導してきたライダー。その阿部監督の指導成果が華開いていくプロセスをみなさんにも長い目で見守って欲しい。
弊社(リバークレイン)は昨年からタイでビジネス展開を始めたタイミングと合ったのでタイランドヤマハとコラボレーションが実現できた。チームノリックは世界で通用するライダーを育てる、を目標にしているので日本だけに留まらずアジアを含めその他の地域まで広がりつつあるところまで来た。弊社のビジネス展開ともマッチングしている。弊社としてできる限りのサポートを行いチームノリックが継続して活動できるようにしたい」
チーム設立当初から一貫して「世界で通用するライダーを育成したい」という目標に向けてブレずに活動をしているチームノリック。そして、その姿勢に共感してサポートを続けているリバークレイン。この良好な関係を継続してほしいし、ノリックのような世界中から愛され、活躍するライダーが一人でも多く輩出されることを願っている。
Photo & text : koma
(走行写真は2016年シーズン)