本田重樹監督に「ホンモノらしくなってきた」と言わしめた高橋選手
大波乱の37回目の鈴鹿8時間耐久ロードレースはMuSASHi RT HARC-PRO.が2年連続優勝で幕を閉じた。チェッカーライダーはチームのエース、高橋巧選手である。高橋選手はこの日、4回目の走行であった。「最後のスティントは勝ちに行った」と本田重樹監督。チームの中で誰よりも夜の鈴鹿の走行経験が多い高橋選手で確実に勝利を獲るために敢えて4回目の走行となる高橋選手を起用した。高橋選手は後続との差が約1分離れているにもかかわらず2分13秒台のラップタイムで手綱を緩めること無くその期待に見事に応えた。
つい最近Racing Heroesで高橋選手について「大器晩成型の高橋選手の成長」と言うタイトルで寄稿した。本田監督に「ホンモノらしくなってきた」と言わしめた高橋選手、この鈴鹿8耐の走りはどうだったのか、本田監督に聞いてみたところ、「まだ世界に通用するライダーとなるには足りないものもある」と厳しい?言葉。しかし、「少なくとも日本のライダーの中ではトップライダーに相応しい走りができるようになってきた」と本田監督。手厳しいとも思えるその言葉の中に高橋選手の成長を待ち望んでいる本田監督の笑顔をみたような気がする。
「まず完走ありき、結果、優勝できればいいな」と思っている。
本田監督に鈴鹿8耐2連覇達成した感想を聞いてみた。大喜びしているかと思いきや意外にも淡々と喜びを感じているようであった。
「耐久レースである以上、先ずは完走。当たり前の事だが完走しなければ勝利は掴めない」
まず完走ありきだと言う。「今年は218周を目標にしたが、目標を立てたら絶対にクリアしようとしてルーティンも含めて全ての戦略を組み立てて挑戦していく。そこには派手さははないかもしれないが最小限の安全マージンを持って闘うのが我々のレーススタイル。それで結果優勝できればいいな、とはいつも思っている」
ハルクプロの鈴鹿8耐本格参戦の歴史は意外と新しく2004年から。11年間で優勝3回、2位1回、3位3回、表彰台の登壇率は64%にも昇る。ワークスチーム以外でこの表彰台登壇率は図抜けた数字ではないだろうか。「表彰台登壇率が高くなるとその先の勝利が近づいてくる」と本田監督。「2連覇を達成できたと言う事はハルクプロの8耐に対する考え方、コンセプトが間違えていなかったということを示せたかな」と言う。
続く
photo & text : koma