2022全日本ロード第3戦 オートポリス決勝レース1

2022/05/22

亀井雄大がJSB初ポール!レース1は優勝中須賀克行、2位:岡本裕生、3位:満身創痍の渡辺一樹

土曜日に予選・決勝レース1をワンデーで行う。ウェット路面での予選は亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)がJSB初ポールポジションを獲得!しかし決勝レースではトラブルからピットスタートに。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が安定の速さで今季5勝目を挙げる。2位に岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、3位に骨折を押しての出場:渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)。

予選日の朝、昨夜来の雨で路面はウェット。雨はポツポツ降る程度だがウェットパッチが残る微妙な路面。各車レインタイヤで出て行くが路面は次第に乾いていく。終盤にド肝を抜いたのは亀井。スリックタイヤで出て行った。トップ中須賀の1分57秒884を2秒以上上回る1分55秒665をマークしてJSB1000クラスで初ポールポジションを獲得した。セカンドラップタイムも亀井がトップ。今日のレース1と明日のレース2ダブルポールを決める。「中古のハードレインで走り出し、途中でソフトに替えたらあっという間に無くなり、再びタイヤ交換にピットインしたら“レインタイヤは無い”と(笑)。そこでスリックに履き替えて出て行きました。怪我の功名です。ポールは取れましたが決勝では中須賀選手、渡辺選手が出てくるのは見えているのでスタートを決めてできるだけ自分のペースで飛ばして少しでも差を広げておきたいです」

2番手は中須賀、3番手に津田一磨(BabyFace Powered by YOSHIMURA)、4番手に渡辺一樹(ヨシムラSERT Motul)、5番手に岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と続く。

決勝レースが始まる頃には青空がのぞくほど天候は回復。路面は完全ドライ。気温も路面温度も上がってきた。13時50分にスタート。
ここで亀井がピットに戻る衝撃的な映像が飛び込んでくる。ホールショットは中須賀が奪う。10番グリッドの岩田悟(Team ATJ)がロケットスタートを決めて2番手で1コーナーに進入する。岡本、渡辺と続くが3コーナーで岡本、渡辺が岩田をパスする。第2ヘアピンで濱原が岩田をパス4番手に浮上。オープニングラップは中須賀が制し、岡本、渡辺、濱原、岩田、作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、國峰啄磨(TOHO Racing)、津田、名越哲平(SDG Honda Racing)、榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)の上位10台。

中須賀は3周目には1分48秒台に入れる。その後もコンスタントに48秒台で周回して後続との差を広げる。スーパーフォーミュラライトの直後、しかも晴れて路面温度が上がり路面コンディションがガラリと変わってしまった。「昨日のロングランで得たフィーリングとは全く違いました。もう少しペースを上げることもできましたが後半タイヤがキツくなるのは見えていたので後ろとの間合いを図りながら集中して走りました」

2周目のホームストレートで渡辺が岡本をパス、2番手に浮上する。しかしその翌周のホームストレートで岡本が抜き返し2番手に戻る。岡本はこの周に1分48秒736のファステストラップを叩き出す。中須賀を追いかけたい二人だが、実は手負の状態だった。

渡辺は先週のSUGO事前テストで転倒。腰椎の横突起と呼ばれる骨を骨折していた。SNSでは“大丈夫です、来週のレースに向けて準備中”とコメントしていたが、ライダーたるもの、自らのケガは公表しない。今は仰向けで寝られない状態だという。じっとしていれば痛みはないが動かすと痛みが走る。

レース中も痛みが少ない姿勢を探しながら走っていたと言う。レース後半は次第にマシンを抑え込むことが難しくなり挙動が大きくなっていった。最後に岡本に仕掛けようとペースを上げたが第2ヘアピンで抑えきれずにオーバーラン。そこで足をついたりUターンする動作で痛みがさらに広がる。4位との差を広げていたので3位でコース復帰、そのまま3位表彰台を獲得した。

ゴール後、一人ではマシンから降りられず、加賀山監督の肩を借りないと歩けないほどの痛みを堪えてのレース。よくこの状態で走っていた、と周囲も驚く光景であった。レース後、関口太郎のチームに帯同している鍼灸師に鍼で治療を受けていた。加賀山が関口に依頼した。痛みがわかるライダー同士、チームの垣根を超えた連帯感である。

岡本は予選のアウトラップの最終コーナーで白線に乗ってしまいハイサイドを喫する。アドレナリンが出ていたのかその時は痛みをそんなに感じなかったが後から痛みが出てきて決勝レース中はシフトダウンに影響が出たと言う。シフトダウンのタイミングが遅くなり、その分ブレーキを早く踏まなくてはならずタイムロスに繋がった。外足の踏ん張りも効かなかったと言う。

「自分の持ちタイムがあれば今日のアベレージタイムも上げられたと思うのですが、JSBでオートポリスを走ったのが初めてだったのでロングランをやる余裕もなく一発のタイムを出すことはできてもアベレージを刻めませんでした」3周目に1分48秒736のファステストラップを刻むがレース中は49秒中盤から後半。中須賀は48秒後半で周回。約1秒のタイム差で徐々に広がってしまった。岡本は悔しい2位表彰台を獲得する。

タイヤマネジメントしながらも高いアベレージタイムで周回した中須賀は2位に約6秒もの差をつけてトップチェッカー!開幕から5連勝を飾る。

ポールポジションを獲得した亀井、ウォームアップラップ中にエラーメッセージが出たため急遽ピットイン、対策を施しピットスタートするも周回遅れとなってしまう。だが後ろから追い上げながらのレースラップはレース終盤に49秒6をマークして悪くはなかった。「渡辺選手や岡本選手と絡めたら49秒前半でラップできたと思います。明日は気持ちを切り替えて再びポールからいいレースができるように序盤から自分のペースで走りたいと思います」

優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見

「地元っていうこともあって緊張しましたが、しっかりスタートから集中して落ち着いて走ることができました。スタートしてからは鈴鹿の2&4とは違ってフォーミュラライツ決勝直後のレースだったのでコンディションが違いました。ラップタイムを上げすぎずにタイヤをマネジメントしながら最後までしっかりアベレージを刻むことができました。コンディション変化にも対応できて地元でしっかり一勝することできて非常に良かったなと思います。」

2位:岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見

「自分はJSBでオートポリス走るのが初めてだったのですが、セッションごとに着実にタイムを上げられて、身につくことは多かったと思います。ですが予選オープニングラップに最終コーナーの白線を踏んでしまって、結構スピードが高いところで転倒してしまいました。グリッドに並べて最後までレースができたのは本当チームのおかげだと感謝しています。今日も良いレースができたとは言えなかったのですが、明日までにチームと話し合い、自分の体調も万全にして今日よりは確実に良いレースができるようにしたいと思います。」

3位:渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)記者会見

「まずこのグリッドにつけたこと、レースウィークに戦闘力のあるバイクを用意してくれたチームに感謝したいです。ですが苦しい部分もあって、タイヤの磨耗とともに人間の押さえが効かなくて、バイクが暴れる場面が多くありました。最後もうひと頑張りして岡本選手に仕掛けてペースを上げようとしたのですが抑えが利かなくて、第2ヘアピンでオーバーランしてしまいました。表彰台落としたかなと思いましたが表彰台はキープできて、最低限の仕事はできたかな、という感じです。」

全日本ロードレース第3戦 オートポリス 決勝レース1上位10位は以下の通り。

優勝:中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2:岡本裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3:渡辺一樹 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
4:濱原颯道 Honda Dream RT桜井ホンダ
5:名越哲平 SDG Honda Racing
6:作本輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
7:岩田悟 Team ATJ
8:榎戸育寛 SDG Motor Sports RT HARC-PRO.
9:國峰啄磨 TOHO Racing
10:柳川明 will-raiseracingRS-ITOH

Photo & text:Toshiyuki KOMAI