三者三様の序盤。引き出しの多さで中須賀克行の勝ち。
全日本ロードレース第２戦NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース：公式予選と決勝レース１が開催された。ポールポジションは中須賀克行（YAMAHA FACTORY RACING TEAM ）セカンドタイムも中須賀でダブルポールポジションを獲得した。
午後に行われた決勝レース１は、中須賀が優勝、2位：岡本裕生（YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2）、３位：名越哲平（SDG Honda Racing）。開幕からこの3人以外表彰台に乗っていない。
季節を先取りした暑さだった昨日から一転、土曜日は一気に気温が下がった。加えて風が非常に強く吹いてライダーたちを苦しめた。公式予選はAグループが朝8:45にスタート。３周目に中須賀がこのウィーク初の5秒台に入れる2’05.965でトップに立つ。その後さらに2’05.520までタイムを詰めた。2番手に水野涼（Astemo Honda Dream SI Racing）2’06.246、3番手に日浦大治朗（Honda Dream RT桜井ホンダ）2’06.287。
Bグループは9:30にスタート。岡本裕生（YAMAHA FACTORY RACING TEAM2）が2’06.000でトップ立つ。終盤に津田拓也（AutoRace Ube Racing Team）2’06.097をマーク。フロントロー獲得か、と思われた矢先に名越が2’05.534と中須賀からわずか0.014秒差を叩き出す。中須賀も「抜かれたかと思った」と言うほどの天晴れなタイム。
レース１のポールポジション：中須賀、2番グリッド：津田、3番グリッド：岡本、のフロントロー。
レース２のポールポジション：中須賀、2番グリッド：岡本、3番グリッド：水野、のフロントローとなった。
中須賀はもっと上のタイムを狙っていた。しかし風の強さに阻まれてしまい悔しそうだった。「ホームストレートとバックストレートでは追い風、S字から逆バンクにかけての東コースは向かい風、とにかく風が強くて走りにくかった。だけど開幕戦では岡本選手にダブルポールを持っていかれて悔しかったのでここでポールを取れて嬉しい」とコメント。
土曜日の午後3時、14周の決勝レース1スタート！ホールショットは中須賀が奪う。名越、岡本、津田と続いて1コーナーに進入する。2コーナーで岡本が名越のインから2番手に浮上するとターン7で中須賀のインを突きトップ浮上！オープニングラップを制する。中須賀、名越、津田、水野、日浦、岩田、亀井、作本、渥美心（S-PULSE DREAM RACING ITEC）と続く。
2周目の130Rで名越が中須賀をパス、2番手に浮上する。しかしすかさず３周目のシケインで中須賀が名越を抜き返す。
序盤、この３人は三者三様の考えで走っていた。
中須賀は、スタートが決まったので序盤から前に出て自分のペースで走りたかった。強い向かい風の中でS字の上り区間を誰かの後について走ったのではタイヤを消耗する。自分でペースを作りながら走りたかった。
しかしオープニングラップからその予定が狂う。岡本がトップに立ち、しかも2分5秒台に入れるハイペースを刻んだ。「自分だって予選の時に2回しか入れていない5秒台で走行するもんだから着いて行くのに必死だった」と中須賀。
一方の岡本。過去のレースでは序盤に集団の中でペースを乱されることが多かったので、スタートが決まって良い位置につけた今日は一気に前に出ようと考えた。「序盤にペースを上げるのも自分の課題でしたし、ペースを乱されるのも嫌だったので自分が前に出てコントロールしたいなと考えました」中須賀だから抜くと言う意識はなかった。「中須賀さんはいつでも抜きに来ると言うのはわかっていました」
今回の名越はトップ2台に食らいついた。2分5秒台から6秒前半のラップタイムにも離されることなく着いていった。予選から柔らかめのタイヤを履いていた。「タイヤの影響が大きいと思います。でもこんなラップタイムで周回するんだ」とトップ２台のペースの速さに驚き半ば半べそ状態で走っていたと言う。
トップ3台は2分6秒台のハイペースで周回を重ねる。折り返しを迎える8周目には4番手の水野との差を6秒289にまで広げる。水野は2周目に5秒台に入れる2分5秒953をマーク、その後も6秒前半のタイムでトップ３台に食らいついていたが電気系統の不具合によりペースを上げることができず徐々にその差は広がり、日浦大治朗（Honda Dream RT桜井ホンダ）にぴたりとつけられ10周目にかわされてしまう。
トップ3台に動きが出たのは11周目。スプーンのひとつ目で中須賀が岡本のインを突く、岡本はクロスラインから抜き返すがスプーン二つ目で再びクロスライン。中須賀がついにトップに立つ。岡本も食らいつくが立ち上がりでリアタイヤが暴れる。さらに中須賀は終盤の12周目に2分5秒605を叩き出す。恐るべき底力。「タイヤを使い切ってやろう、とギアを一段上げました」と中須賀。その影響か13周目のターン7でリアタイヤが大きく2度3度と流れた。「そこまでしないと勝てないと思った」と最後まで勝利にこだわり開幕3連勝を飾る。
その場その場の状況で違った対応を瞬時に頭の中で組み立てられる引き出しの数の違いが出たレースであった。
2位は岡本。「中須賀さんに抜かれても着いて行く準備はできていたつもりでしたがタイムの上げ幅が想像以上でした。自分にはそこまでの余力は残っていなくて完敗です。でも今までとは違うレース展開ができたのでまたひとつ勉強になりました」
3位は名越。「わかってはいましたが中盤から終盤にタイヤが厳しくなりました。でもこのタイヤでなかったら序盤にトップ2台に食らいつくことはできなかったと思います。タイヤマネジメントを含め今後の課題が見つかったレースでした」
4位は日浦。スポット参戦ながらやはり鈴鹿は速い。5位には津田が入った。「昨日の段階では7秒（台のラップタイム）レースだと思っていたのですが蓋を開けてみれば6秒台、しかも名越選手までついて行く。これは計算外でした。。」
全日本ロードレース第2戦鈴鹿 決勝レース１ 上位10位の結果は以下の通り
優勝：中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位：岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位：名越 哲平 SDG Honda Racing
4位：日浦 大治朗 Honda Dream RT桜井ホンダ
5位：津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team
6位：作本 輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
7位：水野 涼 Astemo Honda Dream SI Racing
8位：渥美 心 S-PULSE DREAM RACING ITEC
9位：國峰啄磨 TOHO Racing
10位：岩田 悟 Team ATJ
Photo & text：Toshiyuki KOMAI
