全日本ロードレース第2戦鈴鹿 決勝レース2

2023/04/24

中須賀克行、自身も気付かぬ通算80勝目。名越の躍進、終盤までレースをリード。

全日本ロードレース第2戦NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース:決勝レース2が開催された。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が開幕4連勝を飾り、自身も気付かなかったJSB1000クラス通算80勝目を達成した。名越哲平(SDG Honda Racing)が13周まで中須賀を押さえてレースをリード、岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2)にかわされるも3位表彰台を獲得した。

穏やかな晴天の中、16周のレース2がスタート。3列目:7番グリッドの名越がロケットスタートを決めてホールショットを奪う!水野涼(Astemo Honda Dream SI Racing)、岡本、中須賀と続いて1コーナーに進入、2コーナー立ち上がりで中須賀が岡本をパス、津田拓也(オートレース宇部 Racing Team)も岡本に襲いかかるが押さえる。オープニングラップは名越が制する。水野、中須賀、岡本、12番グリッドだった作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)が5番手までジャンプアップ、津田、日浦大治朗(Honda Dream RT桜井ホンダ)、渥美心(S-PULSE DREAM RACING ITEC)、岩田悟(Team ATJ)、國峰啄磨(TOHO Racing)の上位10台。

2周目の最終シケイン、水野が名越のインに飛び込みトップ浮上。しかし1コーナーでアウトに膨らんだ隙に名越がトップを奪い返す。3周目のバックストレートで中須賀が水野をパス、2番手に上がり名越の背後につける。4周目の130R、岡本が水野をかわして3番手に浮上。名越、中須賀、岡本、やはりこの3人がトップグループを形成する。水野は2分6秒台から7秒台にダウン、対して作本は4周目に2’06.634の自己ベストを刻むと5周目にかわして4番手に浮上する。

5周目から13周目までトップ3台は順位の変動はなく接近戦を演じていたが戦略が違っていた。

トップを走る名越。柔らかめのタイヤを履いていたこともあり序盤から飛ばすと早めにタレてくるのがわかっていたので2分6秒中盤のタイムを心掛けていた。今までトップでレースをコントロールしたことがなかったが自分のペースで、自分のラインで走れたことでタイヤマネジメントもある程度できたと言う。

中須賀は後ろから様子を伺いながらどうやったら勝てるか、勝負のポイントを考えながら走っていた。タイヤマネジメントをしていたつもりだったが、名越と速い場所・遅い場所が違って走りのリズムをうまく掴めず思っていた以上にタイヤを使っていた。

岡本はスタートで中須賀の前に出られたら昨日同様にペースコントロールをしようと思っていたが、中須賀の先行を許した。後ろからタイミングを図っていたが前半セクションは岡本が速くて追いつくが、後半セクションで離されることを繰り返して行くうちに自らの余力を失ってしまった。

レースが動いたのは14周目。1コーナー立ち上がりで僅かに膨らんだ名越のミスを逃さずインを突いて中須賀がトップに浮上。ここからさらにペースを上げ、この周に2’05.950のファステストラップを刻む。昨日に引き続き終盤に5秒台に入れるとは凄いとしか言いようがない。そのまま2位以下との差を広げてトップチェッカー!今季開幕4連勝を飾る。

ここで名越VS岡本のバトルが始まる。14周目のヘアピンで岡本が名越のインを刺すが突っ込み過ぎて膨らむ、岡本はその先のMCシケインで再びインを突いて2番手に浮上。しかし名越は諦めない。バックストレートで312km/hの最高速から130Rで岡本を抜き返す。今度は岡本。15周目のヘアピンでキッチリ名越のインを突いて綺麗にパス、2番手に返り咲く。まだバトルは終わらない。続くスプーンのひとつ目で名越がインを刺すがクロスラインで岡本が前。続くバックストレートでスリップから前に出ようとするが抜けない。これで勝負あり、岡本が2位、名越が3位でチェッカーを受ける。

セカンドグループは日浦を先頭に作本、水野、津田で展開をしていた。しかし日浦がファイナルラップに電気トラブルで失速、リタイヤを余儀なくされる。水野が作本をシケインで刺して4位でチェッカー、5位に作本、6位津田で決着した。

ウィークの入りは調子よかった水野。昨日のレース1では電気系トラブルで徐々に順位を落とし、レース2でも一時トップを走りながらも4位チェッカーと悔しい結果となった。

「昨日に比べたら普通にレースできました。ですが問題なのは前にホンダ(名越)がいることです。ホンダでイチバン、ヤマハファクトリーを倒すが自分の目標なのでこの位置に甘んじることはできません。今日、後ろから動きを見てマシンの造り方の違いがわかりました。次戦SUGOまでにしっかりと準備をしたいと思います」と悔しいながらも前を向いて次に備える。

中須賀の今季4勝目は奇しくもJSB1000クラス通算80勝目を達成。しかし当の本人は「知らなかった」と言うくらい記録を意識して走ってはいない。常々「ただひたすら目の前の1勝を目指してしっかり準備をする。その1勝1勝の積み重ねが連勝でありチャンピオンです」と言っている。そこが中須賀の強さだ。

優勝 中須賀克行記者会見:勝ち切れる戦略を考えながら走っていました

「朝と決勝ではコンディションが変わっていました。特に路面温度が高くなり、タフなレースになりました。タイヤも恐らく厳しくなると思ったのでどうすれば自分がしっかり勝ち切れるかっていう戦略を立てながら走りました。名越選手と速い場所、遅い場所が違ったので思ってたいた以上にタイヤを使っていました。前に出てからプッシュし始めると何回も転びそうになりましたがしっかり冷静に最後まで走り切れたことが勝利に繋がったかなと思います」

2位 岡本裕生記者会見:完全に戦略ミスです

「本当はもっと早く前に出たかったのですが中須賀選手と速いところ・遅いところが違い自分のペースで走ることができませんでした。このウィークで初めて長い間中須賀選手の後ろを走っていたのですが、タイヤマネジメント、前に出るタイムミング、勝負を仕掛けるポイントなど、改めて凄いなと感じました。今回は完全に自分の戦略ミスです。次戦SUGOではもっと近づけるようにします」

3位 名越哲平記者会見コメント:同じ3位ですが今までとは違う意味があると思っています

「昨日は後ろにいるだけで何もできませんでした。今日はスタートが決まり序盤から自分のペースで走ることができました。自分には引き出しもレースをコントロールできる力もないので毎周毎周自分の最大限の走りをしました。抜かれたら抜き返すプランでしたが、思っていた以上にタイヤを使ってしまい抜かれた後に離される一方でした。ですが今までとは違うレース展開ができたので開幕戦からは確実に成長していると思います。同じ3位ですがそれまでの3位とは違う意味があると思っています」

全日本ロードレース第2戦NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース 決勝レース2 上位10位の結果は以下の通り

優勝:中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位:名越 哲平 SDG Honda Racing
4位:水野 涼 Astemo HondaDream SI Racing
5位:作本 輝介 Astemo HondaDream SIRacing
6位:津田拓也 オートレース宇部 Racing Team
7位:渥美心 S-PULSE DREAM RACING ITEC
8位:岩田悟 Team ATJ
9位:國峰啄磨 TOHO Racing
10位:清成龍一 TOHO Racing

Photo & text:Toshiyuki KOMA

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