全日本ロードレース第3戦SUGO 決勝レース1

2023/05/21

中須賀克行の連勝記録が止まる。破ったのは岡本裕生。JSB1000初優勝!

史上最強と言われる中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)の連勝記録が27で止まった。破ったのはチームメイトの岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2)。JSB1000クラス初優勝を飾った。3位に水野涼(Astemo Honda Dream SI Racing)。全日本復帰初表彰台を獲得した。

曇りの天気予報が外れ、朝の公式予選は雨となった。ポールポジションは中須賀。2番グリッドに星野知也(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)不安定な天候ではその強さを示す。3番グリッドは岡本。4番グリッドに亀井雄大(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)、5番グリッドに水野涼であった。

決勝レースの頃には曇り、ところどころウェットパッチがあるもののドライで22周の決勝レース1がスタートした。

ホールショットは星野が奪う。中須賀、岡本、亀井、水野と続いて1コーナーに進入する。バックストレートで中須賀、岡本が星野の両脇からパス、中須賀がオープニングラップを制する。以下、岡本、水野、亀井、星野、津田拓也、清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、名越哲平(SDG Honda Racing)、伊藤和樹(Honda Dream RT桜井ホンダ)、秋吉耕佑(MurayamaUnso.Honda Dream.K.W)の上位10台。

2周目の馬の背、岡本が中須賀のインを突いてトップに浮上、しかしクロスラインから立ち上がりで中須賀が抜き返す。岡本は序盤から中須賀を攻める。しかし3周目のシケインでギアをニュートラルに入れてしまう痛恨のミス、水野に先行を許して3番手にドロップダウン。だが岡本は慌てなかった「自分の持ちタイムがあれば後半に追いつける自信がありました。だから落ち着いていつもの走りを心がけました」

思惑通り6周目の1コーナーで水野をパス、2番手に浮上する。だがその間に中須賀は約2秒前方にいた。

残り10周、岡本のペースが良い。中須賀よりもコンマ3〜4秒速いタイムで中須賀との差を1秒にまで縮めてきた。そして15周目には1’26″290のファステストラップをマーク、中須賀の背中が近くなってきた。

しかし中須賀は巧みなブロックラインと深いブレーキングで岡本をテールにはつかせるが抜かせない。岡本もそれはわかっていた。パッシングポイントは1コーナーか馬の背と決めていた。村山運送シケインでは中須賀のブレーキングの強さには勝てないと思っていた。

そして20周目のホームストレート、スリップから抜けた岡本は中須賀の横に並び同じタイミンングでブレーキング、1コーナーでインに飛び込む。僅かに膨らみクロスラインから立ち上がりで抜き返そうとする中須賀を2コーナーでしっかりブロック、ついにトップに浮上する!

「中須賀さんと勝負するなら1コーナーか4コーナーと決めていました。中須賀さんのブレーキングは本当に強い。後ろについた状態からのブレーキングではまだ抜くことができません。だから今回スリップを活用して横に並んで中須さんと同じタイミングでブレーキをかけて、同じタイミングで緩めました。」
あのスピードの中で中須賀がブレーキをかけるのが見えたと言う。恐るべし動体視力と集中力だ。

中須賀は岡本のテールに食らいつくが岡本は26秒中盤のタイムで逃げる。中須賀は27秒前半。そのまま岡本がトップチェッカー!JSB1000クラス初優勝を飾る。前人未到の記録を保持するデッカイ山:中須賀克行を遂に超えた。

「今日の裕生は速かった。自分も100%の走りで挑んだがさらに上をいくタイムで走った裕生の勝ち。心から祝福したい」と負けを認めた。

「中須賀さんを連勝記録を止めるのは自分、と決めていました。だから自分が去年怪我で入院した岡山の病院で”中須賀さん絶対に転ばないで”と祈っていました。
中須賀さんのブレーキは本当に強いです。1コーナーで横に並んだ時は” 中須賀さんがかけるまで我慢しました。」と岡本。

3位には水野涼。「全日本復帰して初の表彰台ですのでホッとしています。ですが、ヤマハとの差が大きいのも事実。勝つために戻ってきたので残りの期間でさらに詰めていきたいと思います」

4位に亀井、5位に清成が入った。

絶対王者の中須賀がついに敗れた。「俺を超えていけ。だけど容易く超えさせはしないけどな」と常々言ってきた。そのために徹底的に自らを追い込みフィジカル・メンタルを鍛えてきた。最近の中須賀は岡本に自分の全てを曝け出し技を教えているように見える。悔しい思いと嬉しい思いが交錯していることだろう。連勝記録という重圧から解放された中須賀の強い走りをレース2で魅せてほしい。

全日本ロードレース第3戦スーパーバイクレースin SUGO 決勝レース1 上位10位の結果は以下の通り

優勝:岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
2位:中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3位:水野 涼 Astemo Honda Dream SI Racing
4位:亀井雄大 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
5位:清成龍一 TOHO Racing
6位:名越 哲平 SDG Honda Racing
7位:伊藤 和樹 Honda Dream RT桜井ホンダ
8位:秋吉 耕佑 MurayamaUnso.Honda Dream.K.W
9位:岩田 悟 Team ATJ
10位:Andi Farid lzdihar  Honda Asia-Drean Racing SHOWA

Photo & text:Toshiyuki KOMAI