岡本裕生と中須賀克行の息を呑む一騎討ち。僅差で制したのは中須賀。3位に津田拓也！
全日本ロードレース第6戦オートポリスで公式予選と決勝レース１が開催された。レース１のポールポジションは岡本裕生（YAMAHA FACTORY RACING TEAM）1’47.323。47秒台に入れた！2番手は中須賀克行（YAMAHA FACTORY RACING TEAM ）1’47.342。岡本は事前テストでも昨日のART合同走行でも中須賀を上回るタイム。「こんなタイム差はレースではひっくり返されます」と言うがここまで中須賀を抑えた後輩はいない。3番手に津田拓也（AutoRace Ube Racing Team）1’48.054。津田も鈴鹿8耐から調子を上げている。
レース2のグリッドはセカンドタイムで決まる。ポールポジションは中須賀克行、1’47.707。2番グリッドは岡本裕生、1’47.949。3番グリッドは津田拓也、1’48.443。
土曜日の午後2時20分、15周の決勝レース1スタート！しかし直後のホームストレート上で新庄雅浩（Team TATARA aprilia）と秋吉耕佑（MurayamaUnso.Honda Dream.K.W）が接触・転倒したため赤旗中断、15分後に減算無しの15周でリスタートがアナウンスされる。
仕切り直しの再スタート。ホールショットは岡本が奪う。中須賀、岩田悟（Team ATJ）、水野涼（Astemo Honda Dream SI Racing）、清成龍一（TOHO Racing）、津田拓也と続いて1コーナーに進入する。3コーナーで水野、津田が順位を一つずつ上げる。
オープニングラップは岡本が制し、中須賀、水野、津田、清成、作本輝介（Astemo Honda Dream SI Racing）、亀井雄大（YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN）、伊藤和輝（Honda Dream RT桜井ホンダ）、秋吉耕佑の上位10台。
事前の予想通り岡本と中須賀、この2台がアタマひとつもふたつも抜きん出る。２周目には1分48秒台に入れて中須賀は1’48.220のファステストをマークする。3番手以降は49秒・50秒台。みるみるその差は広がる
「一発のタイムもアベレージタイムも僅差なのでバチバチのバトルになると思う」と言っていた中須賀の言葉通りトップ２台はフロントタイヤとリアタイヤが接触せんばかりの超接近戦を繰り広げる。
「今の自分にはスリップから抜けて1コーナーで抜くことくらいしかないけど中須賀さんはどこでも抜いてきます」「中須賀さんは動じませんね。たくさんの引き出しの中からその時の状況に応じた走りをしてきます」と岡本。
残り6周、1コーナーで再び中須賀がトップを奪う。今までならここでスパートをかけて後続を引き離すところだが岡本は離れない。ピタリと背後につけて逆に中須賀にプレッシャーをかける。
「後半はタイヤが厳しくなりズリズリと行くことが多くなりました。しかしマネジメントしている余裕はなく背後からくる裕生をブロックしました」
鬼気迫る走り、まさにこのふたりのバトルだった。岡本もタイヤは厳しかった。「後ろから見ていて中須賀さんもキツそうだなと思いました」
残り２周、会場内を釘付けにしたバトルが始まる。14周目の1コーナー、なんとアウト側から岡本がパス、リアタイヤが暴れるほどのフルブレーキング。第２ヘアピン、インに飛び込もうとした中須賀だったがリアがスライド、止まりきれずアウトに膨らむ、クロスラインで岡本はトップをキープ。中須賀のこんなシーンは珍しい。それほど余裕のないレース展開をしている。
上りセクションの右コーナー、コンパクトなラインの中須賀は岡本のインにねじ込むが岡本がブロック、接触しかけて中須賀は瞬間的にマシンを起こす。
そしてファイナルコーナースタンド前の右コーナーで中須賀がインに飛び込む。立ち上がりでは2人ともリアがスライド。最終コーナー進入では岡本のフロントタイヤが中須賀のリアに触れそうになるくらい限界ギリギリのところでのバトル。
「中須賀さんがここで来るのは予想していました。ですのでいつもよりも１本内側のラインで締めたつもりでしたが、そこに入ってきました」と脱帽の岡本。
「1コーナー進入は裕生が速い。抜くならここだろうと決めてました」と中須賀。
これで勝負あり。ファイナルラップ、岡本が懸命にプッシュするも中須賀のキレイなブロックラインに阻まれ抜くことができない。先ほど抜かれたファイナルコーナースタンド前の右コーナーでアウトから被せようとするが中須賀のインベタラインを崩すことができずそのままチェッカー。その差はわずか0.045秒。手に汗握るクリーンファイトであった。
3番手争いは津田と水野涼。2人とも1分49秒台の安定したタイムで周回を重ねる。現状ではヤマハファクトリーに挑める実力を持っているのはこの二人だろう。鈴鹿8耐以来上り調子の津田、前戦もてぎで堂々のトップ争いをした水野。共に表彰台は渡さないと言う気持ちで走っている。
10周目まではほぼ同じラップタイムだったが10周目以降水野のペースが上がらず50秒台。その差が徐々に広がり津田が２戦連続で3位表彰台を獲得した。
「他と違うことをしないとヤマハさんには追いつけません。それでも高い壁です。今回はヤマハに次ぐ位置のトップを目指しました。」と津田。
「ガソリンが軽くなってきてからフロントの切れ込みとチャタが激しく、何度か転倒しそうになりました。10周目以降タイムが伸びなかったのはその影響です。前戦が良いバトルができただけに悔しいです」と水野。
その後方の5番手争いは終盤に伊藤和輝（Honda Dream RT桜井ホンダ）が亀井雄大（YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN）をかわして5番手でフィニッシュした。「48秒３（予選タイム）を出せるマシンを作ってくれたのに今回のレースは人間（ライダー）の問題です。」と意気消沈気味の亀井であった。
全日本ロードレース第6戦オートポリス 決勝レース１ 上位10位の結果は以下の通り
優勝：中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位：岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位：津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team
4位：水野 涼 Astemo Honda Dream SI Racing
5位：伊藤和輝 Honda Dream RT桜井ホンダ
6位：亀井雄大 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
7位：作本 輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
8位：名越 哲平 SDG Honda Racing
9位：清成 龍一 TOHO Racing
10位：児玉 勇太 Team KODAMA
Photo & text：Toshiyuki KOMAI
