全日本ロードレース第7戦岡山  決勝レース

2023/09/25

勝って12度目のチャンピオンを決めた中須賀克行!

全日本ロードレース第7戦の決勝レースが岡山国際サーキットで開催された。昨日に引き続き朝から爽やかな晴天、絶好のレース観戦日和となった。

13:45、24周の決勝レースがスタート。ホールショットは中須賀が奪う。津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)、水野涼(Astemo Honda Dream SI Racing)と続いて1コーナーに進入する。しかし1コーナー立ち上がりでイン側から岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM2)が2台を抜いて2番手でモーターサイクルシケインに進入する。

オープニングラップは 中須賀が制し、以下、岡本、水野、津田、亀井雄大(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)、清成龍一(TOHO Racing)、伊藤和樹(Honda Dream RT桜井ホンダ)、作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、名越哲平(SDG Honda Racing)、秋吉耕佑(Murayama Unso.Honda Dream.K.W)の上位10台。

やはりトップ2台のヤマハはスタート直後から抜け出し、オープニングラップから3番手以下に1秒1の差をつける。1分31秒フラットから前半の驚異的なラップタイムで周回する。

序盤は後ろから様子を見てラスト5周くらいからスパートをかける戦略が多い中須賀だがここ数戦は序盤からトップに立つ展開をしている。それだけ岡本が速く中須賀と言えども前に出させると抜くのが難しい。

「スタート直後からフルプッシュでした。裕生が“いつでも抜けるぞ”と言わんばかりにピタリと付いてきました。」

一方の岡本。「中須賀さんの速さは十分わかっていたので後ろから仕掛けるチャンスをうかがっていましたがその隙をなかなか見せてくれません」追いつくことはできるが抜けるところまでいけないもどかしさを感じていた。

中須賀は10周目に1’31″040に入れてファステストを刻むが、岡本は終盤の21周目に1’31″036をマークしてファステストラップを塗り替えた。

「テストから一発のタイムもアベレージもほぼ同じタイム。決勝は裕生との一騎討ち、しかも厳しいレース展開になるだろうと予想していました」と中須賀。

そして迎えたファイナルラップ。テール・トゥ・ノーズで1コーナーに進入するが中須賀が抑える。アトウッドの立ち上がりで岡本は中須賀のさらにイン側からリアを揺らしながら立ち上がりバックストレートでスリップに入るも前に出られず。ハイパーコーナーで僅かにラインが膨らみこれで勝負がついた。

中須賀が今季9勝目のトップチェッカー!同時に前人未到の12回目のシリーズチャンピオン獲得となった。

「お互い手の内を知っているのでとても難しいレース展開でした。ここで来るだろう、と言うポイントではブレーキングを遅らせたり、ラインを変えたりしていたのですがそれでも離れませんでした。そんな中で冷静さを失わずキッチリと自分のペースを刻めたことが勝因のひとつだと思います。加えてスタートが決まったこと。序盤に裕生の前に出られたことが良かったです」

「勝ってチャンピオンを決める。カッコイイ獲り方ができたのは良かったです。これで少しは肩の荷が降りたので最終戦はさらに思い切ったレース展開でお客様に喜んでもらえるレースをしたいと思います」

「中須賀さんがどんなレース展開をするのか読めなかったので後ろから様子をうかがっていました。少しペースを緩めるかなとも思ったのですがとんでもない、序盤からスパートして24周フルプッシュでした。」

「自分にあとコンマ2秒くらいの持ちタイムがあればオートポリスみたいにラインを変えたりクロスラインを利用したりと、違う戦略を立てられたのですが今回は付いていくのが精一杯でめちゃくちゃ悔しいです。

でもJSBで初めての岡山で中須賀さんと遜色のない一発・アベレージタイムを刻めて、負けはしたけどしっかりついていけるレースができたことはポジティブに捉えていますし自分が成長できたかな、と感じています」

3番手水野は1分31秒後半のラップタイムで単独走行。4番手津田・5番手亀井が32秒台前半なのでその差は1秒以上開いている。しかし、トップ2台に追いつくことはできずそのまま3位でチェッカー。

「事前テストから前の二人との差が大きく現状では表彰台争いが現実的でした。ですが自身としても得意とするサーキットで、好感触で進める事ができて決勝まで走り切りました。レースも想定通りのペースで、自分達のベストを尽くしたレースになりましたね。順位こそは残念ですがラスト4周でベスト更新と課題だったペース維持の向上も改善が図れて満足のレースでした」

もてぎでは中須賀とのバトルで2位表彰台を獲得している水野。最終戦でもう一度追い詰めるレースを期待したい。

7周目の第1ヘアピンで亀井が津田のインに飛び込み4番手に浮上。後半戦に入り、亀井自信がマシンにアジャスト、さらにチームも亀井が望むセッティングを取り入れることで徐々に上向きになってきている。昨日の予選でもホンダ時代にマークしたタイムを更新している。

「事前テストまでは正直なところ水野選手と戦える状況ではなく苦戦していました。しかしレースウィークに入ってから大幅に進化しました。スイングアーム交換もそのひとつですがそれだけではありません。チームが複合的にマシンバランスを良くしてもらったことに感謝しています。」

一方の津田、実は事前テストからバランスを取るのが難しくタイムが伸び悩んでいた。金曜日は確認に徹して打開策を探ったがこれだ!と言うものが見つからず。予選3番手の好結果は「一発のタイムなので気合いで攻めました。ですがアベレージが上がらず厳しいレースになるだろうな、とは予感していました」

終盤、清成がペースを上げてきて「清成さんに抜かれるかと焦りましたがここも気合いでなんとか抑え切りました」

中須賀克行が12度目のチャンピオンを獲得した。「強すぎて面白くない」と言う人もいる。しかし思い出して欲しい。中須賀がワークス入りする前のサテライトチーム所属時代、ダンロップタイヤの時代に2年連続でチャンピオンを獲得しているのだ。

「無い物ねだりしても仕方ない。今ある条件の中でどうやったら勝てるか。それしか考えていませんでした」

そう、中須賀の勝利への執着心・負けず嫌いは人一倍強い。もちろんワークスと言う体制が大きく寄与していることは確かだ。だがこのマシンに乗れば誰でもチャンピオンになれるかと言えば違う。

これだけ速いのに「裕生の走りを見てると自分には無い部分がたくさんあって勉強になる」と、さらに速くなろうと努力している。それこそが中須賀克行の本髄であり、12回もチャンピオンを獲る原動力となっている。

残すところあと2戦。中須賀のハイレベルなバトルに期待したい。

全日本ロードレース第7戦岡山 決勝レース 上位10位の結果は以下の通り

優勝:中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位:水野 涼 Astemo Honda Dream SI Racing
4位:亀井 雄大 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
5位:津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team
6位:清成 龍一 TOHO Racing
7位:伊藤 和輝 Honda Dream RT桜井ホンダ
8位:名越 哲平 SDG Honda Racing
9位:秋吉 耕佑 MurayamaUnso.Honda Dream.K.W
10位:関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE

Photo & text:Toshiyuki KOMAI