14:10から予定されていた公式予選がキャンセルとなった。13:15にスタートした四輪の決勝レースで雨が落ち始め、雪も混じる。スピンも相次ぎセーフティカーが入る荒れた展開となった。14時くらいには太陽が顔を出すが予選の直前にキャンセルのアナウンスが流れた。天候コンディション悪化による安全性を考慮した結果だと言う。
金曜日に行われたART合同走行の総合順位で予選グリッドが決定され、長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)がポールポジション獲得となった。
走ってポールを決めたかった長島。
「正直、今は複雑な心境です。そして何より寒い中14時まで待っていてくれたお客様に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。
自分はみなさんが抱いているダンロップタイヤのネガティブなイメージを払拭するために開発を決意しました。そのために残りのライダー人生を賭ける覚悟で臨んでいます。まだ始まったばかりでどこまで体現できるかわかりませんが、少なくともこの低い路面温度においては高いパフォーマンスを発揮できることを見せられたと思っています。ダメなタイヤだったら昨日のタイム(2’05”626)は出ていないと言うことは理解していただきたいです。
だから今日も走ってしっかりとポールポジションを獲りたかったです。今回は鈴鹿8耐のポールポジションタイム(2’04”934)更新を狙っていました。昨日はトラブルもあり詰めきれませんでしたが今日、本気のアタックで行こうと思っていました。
安全性を担保できないと言うことも理解できます。雪も降ってくるようなこの低い路面温度で走った結果、転倒して怪我を負って明日の決勝に出られない。万が一のことを考えたというのは正しいですし尊重すべきだと思います。」
と、複雑な胸の内を語った。
「気持ちを切り替えて明日は、トップライダーたちとガチバトルを展開して今日の分もお客様に満足して帰ってもらえたらと思っています。」
この低い路面温度にタイヤが対応できなかったのかと言うとそうではない。
ダンロップは、低温でも発揮できるタイヤを用意していて予選走行は可能であった。これは昨日の長島のタイムを見ても頷ける。
ブリヂストンもEWCで実績のある路面温度の低い時でも対応できるタイヤを用意していた。(ルマン24時間レースでは、路面温度が日中に50度近くまで上がり、夜中から明け方にかけて0度近くになることもある)だが、このタイヤを履くと全日本ロードでは普段のパフォーマンス(タイム)が出ない。さらに「風が強いとタイヤの温度がすぐに下がってしまいます。特に今日のように寒くて風が強いとなおさらです」と言う。
この時期にレースを開催するとはこう言うことなのかもしれない。明日も今日と同じ時間帯。同じ寒さが予想されている。明日は決勝レースが開催されることを祈りたい。
ご来場いただいたお客様へのファンサービスとして予選の時間帯を使ってグランドスタンド前でライダートークショーが開催された。
全日本ロードレース第1戦NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース 決勝レースグリッド 上位10位の結果は以下の通り
1:#30 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI 2’05.626
2:#3 水野 涼 DUCATI Team KAGAYAMA 2’06.072
3:#2 岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2 2’06.471
4:#1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2’06.513
5:#13 渥美 心 YOSHIMURA SERT Motul 2’06.673
6:#35 渡辺 一樹 TOHO Racing 2’07.051
7:#33 高橋 巧 日本郵便Honda Dream TP 2’07.389
8:#20 日浦 大治朗 Honda Dream RT桜井ホンダ 2’07.389
9:#5 亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team 2’07.429
10:#6 津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team 2’07.572
Photo & text:Toshiyuki KOMA