全日本ロードレース第2戦SUPERBIKE RACE in MOTEGIの公式予選。中須賀克行（YAMAHA FACTORY RACING TEAM）が自らが持つコースレコードをコンマ4秒も上回る1’46”447を叩き出してポールポジションを獲得。水野涼（DUCATI Team KAGAYAMA）もレコードブレイクタイムの1’46”692をマークして2番手。
中須賀は予選開始早々3周目にコースレコードを破る46秒872をマーク。水野が47秒フラットで続く。残り５分で中須賀がさらに上回る46秒447。最後に水野が意地を見せて46秒692をマーク。この二人、お互いに意識しているのか常に一緒に走行していた。中須賀が前を走れば翌周は水野が前。レース２のグリッドを決めるセカンドタイムベストは水野。レース２のポールポジションを獲得した。やはりこの二人が抜け出ている。
「コースレコードは意識していましたので更新できて良かったです。怪我を理由に負けたくなかったのでポールポジションを取れて良かったです。午後は路面温度も上昇して厳しいレースになると思いますがしっかりと走り切りたいと思います」
「昨日話した通りコースレコードを破りましたが中須賀さんはさらにその上を行ってしまい悔しいです。ですが、レース２では自分がポールポジションです。アベレージタイムも良いので決勝レースに向けて切り替えます」
気温も路面温度もこのウィークで一番高くなった午後14:25に15周の決勝レースがスタート。ホールショットは水野。中須賀と続いて1コーナーに進入するが外に膨らむ、そこに野左根航汰（Astemo Honda Dream SI Racing）鋭く入ってきて2コーナーをトップで立ち上がる。3コーナー進入、インから水野、アウトに野左根、真ん中の中須賀は行き場を失い野左根とラインが交錯、あわや接触の事態。その先の５コーナーでもアウトに膨らみ順位を６番手まで落とす。S字コーナーで名越哲平（SDG Honda Racing）、ホームストレートで長島哲太（DUNLOP Racing Team with YAHAGI）をパスして４番手まで回復する。
オープニングラップは野左根が制し、水野、岡本、中須賀、長島、津田拓也（AutoRace Ube Racing Team）、名越、高橋巧（日本郵便Honda Dream TP）、伊藤和樹（Honda Dream RT桜井ホンダ）、岩田悟（Team ATJ）の上位10台。
２周目のホームストレートで水野が野左根をパス、トップに浮上する。中須賀は3周目に岡本、野左根を捉えて2番手に浮上する。ここから水野VS中須賀のバトルが始まる。
「事前テストから水野選手の速さをみていたので前に出して逃げにかかれたら抜くのは難しいと思い、このレースでは最初に前に出ようと思っていました。ブレーキングで通せんぼはできるし」「しかし、スタート直後のわちゃわちゃで散らかってしまい順位を落としていました」中須賀は最初から前に出る作戦だったらしい。
水野は後ろに中須賀につかれても冷静であった。「7秒後半のペースで走っていたのでタイヤマネジメントはできていました。終盤にスパートをかけられる余力はありました。オープニングラップで野左根選手が来て４台のバトルになったので集団にしてもいいな、と考えて走っていました」
水野は7秒後半のタイムでもカリカリに上げていたわけではないと言っていたが、一年前のもてぎのファステストラップは1分48秒487。48秒後半から4９秒前半でラップしていた。それから比べると約１秒速い。中須賀に「近年には無いほどのハイアベレージだった」と言わしめるほど速かった。その元となったのは間違いなく水野の存在だ。昨日のART合同走行でも47秒台でセミロングを周回、持ちタイムは水野に分があった。
水野がトップで引っ張る展開が11周まで続く。そして12周目のヘアピン、中須賀がインを刺してトップに浮上するとペースを上げて1分47秒324のファステストをマーク。水野もこれに呼応、47秒335で続く。
「抜かれた後もペースを上げられる余力はありました」しかし「抜くところまでの力は残っていなかったです」と水野。
中須賀がそのままトップでチェッカー！今シーズン2勝目を飾る。手負いの身体でどこまで保つかわからない、と言っていた中須賀だがレースでの引き出しの多さはピカイチ。オープニングラップこそ慌てて自爆したが、その後は冷静にレース運びを展開、さすがの強さであった。
3位は岡本。昨日はトラブルが出てまともに走れず「今日の予選ではタイムを上げられましたが、中須賀さんと水野選手はさらに上げてきました。みんなより一日遅れています」という通り今ひとつ伸びなかった。しかし決勝レースでは47秒台でラップしており遜色のない走りを見せたが、終盤離されてしまった。
事前の予想通り、やはりヤマハファクトリー２台とDUCATIの水野が抜きん出て速い。明日もこの３台のバトルになるだろう。JSBクラス初ポールポジションの水野がどんなスタートを見せるのか、楽しみである。
全日本ロードレース第2戦SUPERBIKE. RACE in MOTEGI 決勝レース1 上位10位の結果は以下の通り
１：#1 中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2：#3 水野涼 DUCATI Team KAGAYAMA
3：#2 岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4：#32 野左根航汰 Astemo Honda Dream SI Racing
5：#6 津田拓也 AutoRace Ube Racing Team
6：#30 長島哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI
7：#4 名越哲平 SDG Honda Racing
8：#33 高橋 巧 日本郵便Honda Dream TP
9：#10 岩田悟 Team ATJ
10：#40 榎戸育寛 TOHO Racing
Photo & text：Toshiyuki KOMAI
