混戦を制した尾野弘樹、今季2連勝!

2024/06/17

全日本ロードレース第4戦が茨城県筑波サーキットで開催された。今年も予選と決勝を一日で行うワンデー開催となった。前夜からの雨は朝方には上がり、ところどころウェットパッチが残るもののドライで予選開始。序盤は1分00秒台の攻防。三谷然(P.MU 7C GALESPEED)が真っ先に入れると、若松怜(JAPAN POST docomo business TP)、高杉奈緒子(TEAM NAOKO KTM)、スポット参戦の池上聖竜(MotoUP Racing)、尾野弘樹(P.MU 7C GALESPEED)と次々にリーダーボードのトップに立つ。

中盤には今年からブリヂストンタイヤにスイッチした岡崎静夏(日本郵便Honda Dream TP)がトップに立つ。しかしすぐさま若松が1分を切る59秒966をマーク。赤旗中断後高杉も59秒台に入れる。終盤に三谷が59秒837でトップに立つが1コーナーで転倒を喫する。激しいタイム合戦を最後に制したのは尾野。残り1分で59秒783をマーク。

2戦連続のポールポジションを獲得。このウィークに入りマシンのセットアップがうまく進まなかった。前日のART特別走行では総合5番手。前戦SUGOで圧倒的な速さを見せた尾野とは思えない順位だ。

「正直土曜日まではこの位置にいることは無理だろうと思っていました。日曜日の朝にセットを思い切って振ったのが当たりました」

転倒したものの速さを見せた三谷が2番手、高杉が3番手のフロントロー。若松:4番手、5番手に岡崎静夏。

朝までの雨が嘘のように晴れ渡った筑波サーキットは気温30度を超える暑さとなった。13時25分、25周の決勝レーススタート!

ホールショットは尾野が奪う。高杉、池上、若松と続く。第1ヘアピン立ち上がりで高杉が失速、一気に11番手まで順位を落とす。オープニングラップは尾野が制し、池上、若松、荻原羚(WJ-FACTORY)、三谷、木内尚汰(Team Plusone)、武中駿(Team Shun and ZERO)、大田隼人(MARUMAE DreamKitakyushu CPARIS)、飯高新悟(KIJIMA KISS RACING CLUB)松島璃空(BREASTO B-TRIBE RACING)の上位10台。

3周目の第1ヘアピンで池上が尾野をかわしてトップに立つ。スポット参戦の池上はピレリタイヤ、尾野はダンロップ、若松はブリヂストン。「いつも戦っている若松選手、木内選手にタイヤメーカーが違う池上選手が加わり、どんな展開になるのか読めませんでした」と尾野。

トップ3台の背後には三谷、萩原、木内、武中が4番手争いを展開、そこに11番手までドロップした高杉が追いつき7台の先頭集団となる。

若松は6周目の1コーナーで尾野を捉えて2番手に浮上、その勢いで7周目の1コーナーでトップに浮上する。「大きな集団になるとわかっていたので常に上位にいることを意識しました」と若松。

尾野も同じ考え。「集団の中にいると他者の転倒に巻き込まれるリスクやワンミスでポジションダウンするのでできれば先頭で引っ張りたいと考えていました」

8周目の第2ヘアピンで若松のインを刺すとバックストレートのスリップから抜けて池上をパス、トップに浮上する。

先頭集団は10台にまで膨らみ、混戦となる。若松は尾野に何度も仕掛けるがすぐに抜き返される。「後ろから尾野選手の走りを見て得意・不得意を把握していたのですが、逆に自分の弱点を見抜かれてしまい抜いてもすぐに抜き返されてしまいました」

「自分の前に顔を出してきたのは若松選手だけでした。若松選手とのバトルでお互いの強いところ、弱いところを見せて戦いましたが正直厳しいかなと思う部分が多かったです」残り4周で尾野はスパートをかける。若松もピタリと張り付き背後から顔をのぞかせ、ラスト2周の第2ヘアピンでインを刺すがクロスラインで抜かされる。

そして迎えたファイナルラップ。トップ尾野、ぴたりと背後に若松。しかしCXコーナー立ち上がりでグラベルにはみ出す痛恨のミス。これで尾野が今季2連勝、昨年に続き筑波2連勝を飾る。2位は悔しい若松。だが今シーズンは「最低限でも全戦表彰台」を目標に掲げ現時点でもランキングトップをキープしている。


三谷、高杉と4番手争いをしていた武中が21周目の第1ヘアピンで池上のインを刺して3番手に浮上。今シーズンは筑波大会のスポット参戦のみ。筑波をホームとする武中にとって嬉しい表彰台であった。

J-GP3クラスの次戦は9月のオートポリスと約3ヶ月後となる全日本ロードレース第5戦 筑波 決勝レース上位10位は以下の通り。

優勝:尾野弘樹 P.MU 7C GALESPEED
2位:若松怜 JAPAN POST docomo business TP
3位:武中駿 Team Shun and ZERO
4位:池上聖竜 MotoUP Racing
5位:松島璃空 BREASTO B-TRIBE RACING
6位:高杉奈緒子 TEAM NAOKO KTM
7位:三谷然 P.MU 7C GALESPEED Team PLUSONE
8位:荻原 羚大 WJ-FACTORY
9位:大田隼人 MARUMAE DreamKitakyushu CPARIS
10位:木内尚汰 Team Plusone

Photo & text:Toshiyuki KOMAI