YART-YAMAHA速し!公式予選/トップ10トライアルを制する。DUCATI Team KAGAYAMA水野凉、わずかコンマ1秒差で悔しい2番グリッド

2024/07/23

YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Teamが速い!事前テストでは3人全員が2分5秒台に入れて一発の速さを見せてきた。レースウィークに入ってもその速さは変わらず各セッションでトップタイムをマークする。

金曜日に行われた公式予選、Q1でライダーブルーのニッコロ・カネパは2:05.741で2番手につける。この時のトップタイムは水野涼2:05.615。初めての耐久仕様マシン、初めての鈴鹿8耐でここまで詰めてきた。「ここまで来られたのはマシンのポテンシャルの高さがあるから。まだまだ詰めたいところはあるので伸び代はあります」

Q1のライダーイエロー。YART-YAMAHAのマービンフリッツが2:05.252をマーク、場内を沸かせる。注目の現役MotoGPライダーヨハン・ザルコのアタック。しかしアタックラップ中に赤旗が掲示されタイヤの美味しいところを使えず2:06.084の2番手。3番手に羽田太河(Astemo Honda Dream SI Racing)が2:06.743でつける。

Q1のライダーレッド。カレル・ハニカ(YART-YAMAHA )が2:05.192の最速タイムをマーク。公式予選でも3人が5秒台に入れた。國井勇輝(SDG Team HARC-PRO.Honda)もこのウィークに入り初めて5秒台に入れる2:05.942で2番手。そして名越哲平が魅せた。ホンダワークスから初めての参戦、しかし事前テストを含め今ひとつタイムが伸びなかったがこの大事な公式予選で2:05.980と一気に5秒台に入れた。「少し柔らかめのタイヤでアタックしました。ホンダワークスチームで走ることの喜びと重圧を感じています」

Q1は赤旗が2回発生しセッション中断が発生したためQ2は当初の予定より23分遅れの15:53ライダーブルーの走行となる。夕方の時間となり路面温度も下がってくるのでタイムを出しやすいと思ったのだがQ1で新品タイヤを入れたチームが多かったらしくQ2は決勝を見据えた走行をするチームがほとんどであった。

そんな中光ったのがハフィス・シャーリン(DUCATI Team KAGAYAMA)。Q1では2:08.062であったが、Q2では一気に2:05.936と5秒台に入れた。これにより一気に平均タイムを向上させ2番手につける。

そしてもう一人、Q2でタイムアップを果たしたのが野左根航汰(Astemo Honda Dream SI Racing)。Q1ではマリオ・アジ(SDG Team HARC-PRO.Honda)との接触転倒でタイムが伸びなかったがQ2で2:05.923をマークした。

公式予選は上位2人のライダーがマークしたタイムの平均値で競われる。Q1、Q2を経て総合トップに立ったのがYART-YAMAHA。平均タイム2:05.222。2番手DUCATI Team KAGAYAMAが食い込む。2:05.776。この2チームが5秒台。3番手にTeam HRC with 日本郵便:2:06.032。4番手はYoshimura SERT Motul 2:06.207。5番手にAstemo Honda Dream SI Racing 2:06.215。

土曜日は午前中にエキシビジョンレースが開催され、鈴鹿8耐のタイムスケジュールは14:15のフリー走行から。午前中は鈴鹿サーキット主催のイベントやサポートメーカーのトークショーに出演するなど忙しく過ごすライダーが多い。ブリヂストンブースには5チームが登壇した。DUCATI Team KAGAYAMA、Yoshimura SERT Motul、Team HRC、F.C.C. TSR Honda France、YART-YAMAHA。メーカーの垣根を超えてこれだけのチームが登壇するのはブリヂストンならではであろう。

14:15からのフリー走行。開始30分後に水野涼が区間タイム最速を連発して2分5秒485をマーク。昨日の公式予選を上回るタイム。ポールポジション獲得を狙っていることが伺える。しかし終了10分前、ピットが慌ただしくなる。リア周りの確認を進め、そのまま走行はせずにTOP10トライアルを迎えた。

トップ10トライアルは鈴鹿8耐だけに適用されるグリッド決定方法。計時予選上位10位のチームから2人のライダーが1周のタイムアタックを行い、速いライダーのタイムでポールポジションから10番グリッドまでを決める。たった1周のタイムアタックで前日の計時予選順位が入れ替わることも多い。

公式予選上位10位〜6位までのチームが先行してタイムアタック、続いて5位〜1位のチームが走行する。公式予選8番手のマーカス・ライターベルガー(BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM)が2:05.971の5秒台に入れる好走、10位〜6位グループのトップに立つ。

そしてポールポジションを決める公式予選5位〜1位グループの走行。

3年連続優勝が懸かったTeam HRC高橋巧のタイムアタック。各セクションをうまくまとめてポールポジションには興味が無いと言っていながら2:05.621をマーク、ホンダワークスのエースらしい貫禄を見せた。

マービン・フリッツがコースイン。場内の注目が一気に高まる。セクター毎に赤マーク(最速タイム)を表示させ、第3セクターではコンマ6秒上回った。「これは4秒台か?!」と思われたが僅かに届かず2:05.130。昨年長島哲太がマークした5秒3を上回った。

二人目のライダー走行。注目のヨハン・ザルコのアタック。始めての鈴鹿、初めてのブリヂストンタイヤ、そして初めてのトップ10トライアルで2:05.531をマーク。自身のベストタイム並びにチームベストをマークした。この辺りのまとめ方はさすがMotoGPライダー。トップ10トライアルも気に入ったようで「MotoGPの予選に比べたら全然疲れないし、このシステムは面白い」とコメント。Team HRCはこの時点で暫定2位。

そしてもう一人の注目ライダー、水野涼のアタック。フリー走行では5秒4を叩き出しポールポジションへの執着心を感じさせた。そのタイムは、2:05.248!自己ベスト・チームベストだがYART-YAMAHAにわずかコンマ118秒足らず。しかしTeam HRCを逆転して2番グリッドにつける。

この時点でYART-YAMAHAのポールポジションが確定した。残すは公式予選トップタイムをマークしたカレル・ハニカのアタック。タイムに注目が集まったがNIPPOコーナーで転倒。マシンは激しくタテ回転してフェンスを直撃するショッキングな映像が映し出された。しかしライダーは無事で歩いてピットへ戻って行った。「2分4秒台を狙えるマシンでしたので攻めました。しかしアグレッシブに行き過ぎて転倒してしまいました。チームには申し訳なく思います」

YART-YAMAHAの速さが際立つ今年の鈴鹿8耐、ピット回数は8回なのか、7回なのか。Team HRCは7回だろう、Yoshimura SERT Motulも 7回だと想像される。そして初めてワークスマシン:パニガーレV4Rを鈴鹿8耐で走らせるDUCATI Team KAGAYAMAのピット回数は。

見どころ満載の決勝レースは明日11:30にスタートする。

18日東海地方は梅雨明け危険な暑さがサーキットを襲う。湿度も高くライダーにとって過酷な鈴鹿8耐となりそうだ。

トップ10トライアルの結果は以下の通り

ポールポジション:YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team 2:05.130
2: DUCATI Team KAGAYAMA 2:05.248
3 :Team HRC with 日本郵便 2:05.532
4 :BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM 2:05. 971
5 :Yoshimura SERT Motul 2:06.097
6 :SDG Team HARC-PRO.Honda 2:06.286
7:AutoRace Ube Racing Team 2:06.562
8:F.C.C. TSR Honda France 2:06.836
9 :Astemo Honda Dream SI Racing 2:07.165
10:Honda Dream RT SAKURAI HONDA 2:07.453

text:Toshiyuki KOMAI

photo by :水谷たかひと