#634 高橋巧(MuSASHi RT HARC-PRO.)がぶっちぎりと言っても過言ではない独走で開幕2連勝!2位には#5 野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、3位にはカワサキへ移籍後初の表彰台、#23 渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)#1 中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)は2戦連続の転倒リタイア。SUGOラウンドは雨に翻弄されたレースとなった。
梅雨の時期を避けて5月にしたと言われている「SUGO SUPERBIKE 120miles ENDURANCE RACE」。しかしこのレースウィークは雨に祟られた。公式予選が予定されていた土曜日は雨・強風に加えて濃霧のため午前中に行われたJ-GP3クラスの予選以降のプログラムが中止、日曜日の朝に行われることになった。
雨は上がると言う天気予報に反して日曜日も朝から雨。但、霧はかかっていなかったため予定通りJSB1000クラスの公式予選が行われた。開始早々、#1 中須賀が4コーナーで転倒する。中須賀は急いでピットに戻りTカーで予選を走る。この予選では転倒が相次ぎ、二度の赤旗中断となった。
金曜日のドライコンディションでトップタイムの中須賀は雨の予選でも37秒台に入れる1’37″835でリーダーボードのトップに立つ。予選終了間際、さらにタイムを縮めて1’37″347、これでポールポジション決定か、と思われたところに、開幕戦のウィナー:#634 高橋が来た!37秒台を連発、渾身のラストアタックは1’37″287!逆転のポールポジションを獲得する。その差100分の54秒!
MotoGP「Team SUZUKI ECSTAR」のアレックス・リンスの代役としてスペイングランプリにスポット参戦。金曜日のドライコンディションでは2番手タイムを出して好調さをアピールした#12 津田拓也(ヨシムラスズキMOTULレーシング)が1’38″019のタイムで予選3番手を獲得した。
13:30、ルマン式で52周の決勝レースがスタート!
ホールショットを決めたのは#634 高橋。#12 津田も絶妙なスタートで2番手、#1 中須賀は3番手で第1コーナーに進入するが2コーナーで#71 加賀山にかわされ4番手にダウン。しかしバックストレッチで中須賀が加賀山のインから馬の背に進入、3番手を奪い返す。
オープニングラップは高橋が制する。しかも2番手以下が1分50秒〜51秒のラップタイムに対して高橋は1分47秒185。1周目で3秒235引き離す!2番手中須賀、3番手津田、以下#71 加賀山、#5 野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、#104 山口辰也(Honda Dream Racing)、#94 浦本修充(Team KAGAYAMA)、#50 濱原颯道(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、#23 渡辺、#72 清成龍一(MORIWAKI MOTUL RACING)の上位10台。
ここSUGOは初優勝した験の良いサーキット、しかも雨が得意の加賀山、3周目に入るホームストレートで津田のインサイドからパス、3番手で1コーナーに進入するも転倒。幸いケガは無かったがそのままリタイアとなってしまう。これで3番手に上がった野左根が津田をパス、3周目は#634 高橋→#5 野左根→#12 津田→#104 山口→#94 浦本→#50 濱原のオーダー。
4周目、浦本が津田をパス、3番手走行の野左根を追う。6周目に浦本が野左根をパスするも、8周目に野左根が奪い返す。この2台は39秒台でラップ、9周目に野左根は38秒台に入れる1分38秒634、対する浦本も 1分38秒678と拮抗したバトルが続く。
8周目、山口がSPアウトで痛恨の転倒、戦列を離れてしまう。さらに9周目の馬の背で#72 清成龍一(MORIWAKI MOTUL RACING)が転倒、なんとかピットまで戻ってきた。
高橋の勢いが止まらない。2周目に1分38秒台に入れると、5周目には37秒台に入れて早くも独走態勢を築く。そのハイペースについて行けたのは中須賀だけ。8周目に1分37秒815の自己ベストタイムを出すものの高橋との差は10秒以上開いている。高橋はその後も37秒台を連発、完全に独走となる。
11周目のSPアウト、ここで中須賀がまさかの転倒。金曜日に「まずは完走」と控えめの言動であったがその眼は闘志に輝いていた。しかし朝の公式予選でも転倒した中須賀、どうもこのところ流れが良くないようである。
17周目、津田がピットイン。予定よりも約10周早い。ヘルメットのシールドが曇って前が見えなかった津田。「15周は走らないともう一度ピットインが必要になる」とこのタイミングで入ってきた。ここでさらに不運が津田を襲う。コース上に転倒したマシンが残ったためセーフティーカー(SC)が入ったため、ピットロード出口のシグナルは赤。そこで約2周のロスを余儀なくされる。
レースの折り返しの26周終了時点からピットインが相次ぐ。トップ独走の高橋は28周目にピットイン、タイヤ交換せずに給油のみ、なんと7秒でピットアウト。後続との差をさらに広げる。その後も39秒台から38秒台の安定したラップタイムで快走を続け、終わってみれば1分9秒もの大差をつけてぶっちぎりのポール・トゥ・ウィン!開幕2連勝を飾った。
序盤の#94 浦本とのバトルを制した野左根は単独2番手走行を続ける。27周目にピットイン、タイヤ交換と給油を13秒で終わらせてコースへ送り出す。その後も安定した走行を続け2位フィニッシュを飾る。
#23 渡辺(Kawasaki Team GREEN)がジワジワと順位を上げてくる。予選12番手からスタート、オープニングラップは3つ順位を上げて9番手で通過。その後も8位、7位、6位、と順位を上げ、12周目に1分39秒466の自己ベストタイムを出すとその後も39秒台を連発、18周目には濱原に次ぐ4番手まで順位を上げる。27周目にピットイン。#50濱原の後ろで走行を続けながらレース終盤の47周目に39秒台に入れてスパートをかけ、濱原をパス、最後に表彰台3位を獲得した。
雨のレースだったらシングルフィニッシュを目標にしていたと言う#50 濱原、序盤は慎重に入ったが9周目には38秒台も見える1分39秒199の自己ベストタイム、その後も39秒台で周回して18周目には3位表彰台圏内を走行する。28周目にピットイン、チームはタイヤ交換無しを選択、5番手でコース復帰する。ピットインをしていなかった2台がいなくなったことで3番手に浮上、表彰台圏内を走行していたが残り8周あたりからタイヤが厳しくなってきてペースを上げられず最後に#23渡辺にかわされ4位でフィニッシュした。
雨に翻弄された第2戦SUGOはMuSASHi RT HARC-PRO.高橋が大差をつける独走の優勝であった。これで開幕2連勝、新型CBR1000RRのポテンシャルの高さをみせている。2位にはヤマハファクトリーの野佐根、3位には今シーズンカワサキに移籍した渡辺が初表彰台獲得。
セミ耐久レースは今大会まで。次戦もてぎはスプリントレースとなる。好調の高橋がリードするのか、中須賀が逆襲するのか、ヨシムラスズキMOTULレーシングの2台の活躍、渡辺一馬の走り、EWCと掛け持ち参戦している若きファクトリーライダー:野左根の走りは、キット車で闘いを挑む山口辰也の走りは、、今年の全日本ロードレースは目が離せない
photo & text : koma
全日本ロードレース第3戦「SUGO SUPERBIKE 120miles ENDURANCE RACE」決勝レース上位10位結果は以下の通り。
優勝:#634 MuSASHi RT HARC-PRO. 高橋 巧
2位:#5 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 野左根航汰
3位:# 23 Kawasaki Team GREEN 渡辺 一馬#
4位:#50 ヨシムラスズキMOTULレーシング 濱原 颯道
5位:#94 Team KAGAYAMA 浦本修充
6位:#9 YAMALUBE RACING TEAM 藤田 拓哉
7位:#79 TEAM SuP Dream Honda 伊藤真一
8位:#090 au & テルル・Kohara RT 秋吉耕佑
9位:#18 GBSレーシング YAMAHA 近藤湧也
10位:#12 ヨシムラスズキMOTULレーシング 津田 拓也