2018全日本ロードレース第4戦 SUGO 決勝レース2

2018/06/20

中須賀克行と高橋巧、お互い一歩も引かぬ激闘。制したのは中須賀。高橋は悔しい2位。3位に野左根航汰。

全日本ロードレース第4戦「SUGO Super Bike Race」決勝レース2は壮絶なトップ争いとなった。「なんとか勝てた」。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)にそう言わしめるほど高橋巧(Team HRC)が追い詰めた。お互いに一歩も引かないハイレベルなバトルを制したのは中須賀、これで今シーズン7戦中6勝を挙げる。高橋は悔しい2位。3位にはレース1に続き連続で野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が入る。

ドライコンディションであるが6月とは思えない寒さのスポーツランドSUGO。レース2は午前中のレースで赤旗が続いたため、40分遅れてスタートした。

ホールショットは高橋巧が奪う。高橋裕紀(MORIWAKI MOTUL RACING)も絶妙なスタートを切り2番手、続いて津田拓也(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)、ポールポジションの中須賀はフロントをウィリーさせてしまい5番手で1コーナーに侵入する。予選10番グリッドの加賀山就臣(Team KAGAYAMA)が得意のスタートで5番手に浮上、予選8番グリッドの野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)はスタート後の集団に飲まれて10番手で1コーナーに進入する。

ハイポイントコーナー進入で中須賀が津田をパスして3番手に浮上。オープニングラップは高橋巧が制し、高橋裕紀、中須賀、津田、渡辺一馬、、清成龍一(MORIWAKI MOTUL RACING)、野左根、星野知也(TONE RT SYNCEDGE443)、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)上位10台。

2周目の1コーナーで中須賀が高橋裕紀をかわして2番手浮上、高橋巧を追う。2人は早くも2週目に1分27秒台に入れる。5週目、中須賀は26秒台に入れて0.048秒差にまで迫ると6週目のシケインで高橋巧をパスしてトップを奪う。「(高橋)巧選手の序盤の上げ方が早かった」「今日はタイヤ的に中盤以降に仕掛けるのは厳しいと思ったので早めに仕掛けた」と中須賀。いつもならここでペースを上げて後続を引き離して独走→優勝、のパターンであったが今日は違った。お互いにファステストラップを更新しながら周回を重ね、高橋が離れない。むしろその差を縮めていく。8週目の差:0.5秒、12週目:0.3秒、13週目:0.2秒。

先頭争いの後方でも激しいバトルが展開されていた。
3週目、渡辺一馬、野左根、加賀山、渡辺一樹、水野の5台による5位争いを展開。この中から野左根が抜け出して4番手を走る津田に仕掛ける。5週目の馬の背コーナーで津田をかわして4番手に浮上。この時野左根はトップ2台と同じ1分27秒台で周回、6週目には1分27秒293のベストタイムを刻む。さらに7週目のコントロールラインを3番手の高橋裕紀と0.07秒差で通過、馬の背コーナーでパスして3番手に浮上する。

そこに津田が追いつき野左根、高橋裕紀、津田による3番手争い。9週目、津田は高橋裕紀に0.1秒差まで迫る、他方野左根は1分26秒台に入れてこの集団から抜け出していく。10週目の1コーナー、津田が高橋裕紀をかわして4番手浮上。その後野左根、津田は単独走行となる。

その後方では渡辺一馬、水野、渡辺一樹による6番手争いが展開される。7週目、水野が渡辺一馬をかわして6番手、しかし9週目渡辺一樹が一気に2人を抜いて6番手に浮上する。13週目、渡辺一馬が水野をかわして7番手、渡辺一樹、渡辺一馬、水野の順となる。

中須賀と高橋巧のトップ争いが超接近戦になる。14週目のラップタイム、中須賀:1分26秒928、高橋:1分26秒909、100分の2秒しか変わらない。15週目、その差は0.111秒。高橋は中須賀の背後からプレッシャーをかけ続ける。しかし17周目の1コーナーで高橋が止まりきれずオーバーラン。すぐにコース復帰するが差が開いてしまう。だが今年の高橋はここで諦めない。「3コーナーに中須賀選手が見えた。転倒ギリギリのところまで攻めて追いつけなかったら自分のミスだと思って走った」という高橋。18周目、昨日中須賀が記録したコースレコードを更新する1分26秒553、そして21周目に1分26秒490のファステストラップをマークする。19周目:0.923秒差、20周目:0.59秒、22周目:0.3秒差まで迫る。「自分は集中して良いペースで走っていた。しかし巧選手はそれ以上のタイムで追い上げてきた。最後までもつれるだろう」と中須賀は思ったそうである。

しかし、23周目のバックストレート、スリップを抜けた高橋がもの凄いスピードで馬の背コーナーに進入、止まりきれずにグラベルまで飛び出してしまう。これで勝負はついた。そのまま中須賀がトップでチェッカー!レース1、レース2共にポール・トゥ・ウィンを飾る。これで今シーズン7戦中6勝。

2位に高橋巧、3位は単独走行を続けていた野左根。野左根もレース1、レース2共に3位表彰台を獲得した。

中須賀と高橋巧、お互いに一歩も譲らない意地の張り合いのバトル「今日の巧選手は乗れていた。最初から最後までフルにプッシュした。そうしないと追いつかれてしまう。お互いに100%以上を発揮した良いレースだった」との中須賀のコメントの通り白熱のバトルであった。

「苦しい展開でした。序盤から巧選手が速くて調子が良さそうでした。刺すとしたら1コーナーのブレーキングかバックストレートだと思っていたのでそこのブレーキングはしっかりと奥まで突っ込むようにしていました。自分もプッシュしてペースを上げているのにそれ以上のタイムで追いついてきたました。プレッシャーになりましたがここで負けるわけにはいかない。冷静に自分のラップタイムを維持する走り方を心掛けて走りました。なんとか勝てたと言う感じですが、次戦も良い勝負ができるようにバイクをまとめていきたいと思います。」今日は中須賀も追い詰められた。しかし「それがレース、勝負だから当たり前の事」と、悲観することなく次戦に向けてモチベーションを上げている。

「中須賀選手に“隙”がありませんでした。“どこで抜くんだよ?”と言う感じでした。中須賀選手の後ろで走りを見ながら自分の速いところ、遅いところを知って、抜きどころを考えていました。ストレートは自分の方が走っていたのでバックストレートで上手く抜いて止まってくれれば、、と思いましたが止まりきれず飛び出してしまいました。以前はブレーキング勝負さえもできる位置にいませんでしたが、少しずつ前進していると感じています。でもまだまだ追い越すには足りません。中須賀選手の後ろで走ってみて自分がまだ詰め切れていないことが明確になりました。次のレースでも勝負できるように取り組んでいきたいと思います」と高橋巧。

「スタート直後の1コーナーで自分の居場所がなく順位を落としてしまい、そこから追い上げるというレース1と同じ展開で悔しいです。中須賀選手と高橋巧選手に全く近づけませんでした。序盤はトップ2台と同じペースで走れたのですがタイヤがタレてきてから自分のペースが落ちました。後半に向けて持ち直すことはできましたが1分26秒台のラップを想定していたのでアベレージも悪かったです。今日のレースは自分の実力を100%発揮してこの結果なので力不足を痛感しましたが、次のレースでは二人に勝負できるように頑張りたいと思います」と野左根。

次戦は約2ヶ月のインターバルが開く8月にツインリンクもてぎで開催される。次戦もレベルの高い白熱のバトルを期待したい。

全日本ロードレース第4戦「SUGO Super Bike Race」決勝レース2 上位10位の結果は以下の通り。

優勝:#21 中須賀 克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#1 高橋巧 Team HRC
3位:#5 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:#12 津田拓也 ヨシムラスズキMOTULレーシング
5位:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
6位:#72 高橋裕紀 MORIWAKI MOTUL RACING
7位:#11 渡辺 一馬Kawasaki Team GREEN
8位:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
9位:#23 清成龍一 MORIWAKI MOTUL RACING
10位:#090 秋吉耕佑 au&テルル・Kohara RT

photo & text :Toshiyuki KOMAI