2018年全日本ロードレース最終戦鈴鹿 Race 1

2018/11/06

Race1:高橋巧、HRCワークスで初優勝!中須賀克行がシリーズチャンピオン奪還を決める!

全日本ロードレースにホンダが10年ぶりにワークス復活。今年の話題をさらったTeam HRCの高橋巧。しかしYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が前に立ちはだかり、ここまで未勝利だったが最終戦で嬉しい初優勝を飾った。

中須賀克行は2位に入り2年ぶりに8度目のシリーズチャンピオンを奪還した。

土曜日までは好天に恵まれたのに決勝当日は朝から雨。このウィークに入って初めてのウェットコンディション。各チーム慌ただしく雨対策を講じる。レース1は10周の超スプリント。ホールショットは「予選2列目からトップに立ったのはレース人生で初めてのこと」と言う渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)が奪う。高橋巧、津田拓也、野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)の順に1コーナーに進入する。ポールポジションの中須賀はスタートで出遅れた。

しかしヨシムラの2台が膨らむ隙に高橋巧と野左根がかわしていく。S字を高橋、野佐根、渡辺一樹、渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)、中須賀、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)の順で進入、逆バンクで中須賀が渡辺一馬をかわして4番手に浮上する。オープニングラップは高橋巧が制し、以下、野佐根、渡辺一樹、中須賀、加賀山、渡辺一馬、高橋裕紀(KYB MORIWAKI MOTUL RACING)、津田拓也(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、中富伸一(HiTMAN KOSHIEN YAMAHA)の上位10台

2周目のシケイン、中須賀が野佐根のインを突き2番手に浮上、高橋巧を追いかける。しかし、高橋巧のペースが速い。2周目2分16秒511、5周目にはファステストラップ2分16秒258をたたき出し16秒台で周回する。追う中須賀はベストラップが2分17秒842、16秒台にいれることができず、その差はどんどん広がる。

高橋が中須賀に対して8.251秒という大差をつけて今シーズン初優勝を飾る。「10年ぶりに復活したホンダワークスが未勝でシーズンを終えるわけにはいかない」そんな気持ちで臨んだ高橋巧、事前テストでのウェットでも決まっていて雨には自信があった。2位に中須賀が入りシリーズチャンピオンを獲得した。3位に野左根。

4位には渡辺一樹。レース終盤、野佐根よりも速いラップタイムで追い上げ、接近戦を展開するも僅か0.9秒及ばず。5位は高橋裕紀。先頭グループと遜色のない2分17秒台のラップタイムで予選10番グリッドから5位フィニッシュを果たす。

今シーズン圧倒的な速さを魅せてきた中須賀。決勝日の朝「何度(チャンピオンを)獲っても緊張するんだな」と思ったそうである、そのためか気負ってしまい走りが堅くなっていたという。しかし見事に2年ぶり、8度目のシリーズチャンピオンを決めた。特に嬉しかった勝利は8月のツインリンクもてぎだったと言う。鈴鹿8耐で負ったケガの痛みから「1分48秒台で走るのは3周が限界」の状態ながら「絶対に諦めない」と言う強い思いから得た勝利だった。

高橋巧(Team HRC)
事前のテストでドライもウェットも良い感触でした。ウィークに入ってからも(2分)4秒台はいけるだろうと思っていましたが予選で4秒台に入れられたのは良かったです。決勝日の朝、起きたら雨が降っていて“今年最後にチャンスをくれたのかな”と思いました。決勝レースは最初から100%の力で飛ばしました。差が開いてからは転倒のリスクを減らして少しペースを落としました。今年、雨には自信がありましたのでレース運びもペースも良かったのでレース1の内容には満足しています。HRCが復活した年に1勝もできなかったらファンのみなさまにもホンダにも申し訳ないので1勝できて良かったです。

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
緊張からかスタートは気負っていたようです。スタートで出遅れたことでスイッチが入り逆に良かったです。1周目でトップグループに追いつけまして。雨では巧選手が速いのはわかっていたので逃がさないようにしていたのですがまさかスタートで出鼻をくじかれるとは思っていませんでした。勝てなかったのは悔しいですがキチンとチャンピオンを獲れました。多少守りに入った部分はありますがタイトルを獲得することが大切ですので良かったです。

野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
コンディションが難しく、高橋選手を追いかけたかったのですがペースが明らかに違いました。ジリジリと離されてしまい、ペースを上げようとした時にミスするなどスムーズに走れませんでした。後ろから明らかに自分より速いペースの渡辺一樹選手が追い上げてきましたが10周という周回数に救われた部分はあるかもしれません。レース2ではレース1の内容を反省してしっかりと攻略して取り組みたいと思います。

全日本ロードレース最終戦「第50回MFJグランプリ スーパーバイクレースin 鈴鹿」決勝レース1上位10位の結果は以下の通り。

優勝:#1 高橋巧 Team HRC
2位:#21 中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3位:#5 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
5位:#72 高橋裕紀 KYB MORIWAKI MOTUL RACING
6位:#11 渡辺一馬 Kawasaki Team GREEN
7位:#71 加賀山就臣 Team KAGAYAMA
8位:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
9位:#12 津田拓也 ヨシムラスズキMOTULレーシング
10位:#23 清成龍一 KYB MORIWAKI MOTUL RACING

photo & text :Toshiyuki KOMAI