2019全日本ロードレース開幕戦もてぎ 公式予選/レース1

2019/04/07

中須賀克行、驚異のコースレコード更新&レース1優勝。2位にTeam HRC高橋巧、3位野左根航汰

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が自身の持つコースレコードを破り、前人未到の46秒台に入れる1分46秒878をたたき出す!さらに決勝レース1で優勝、ポール・トゥ・ウィンを飾る。2位にTeam HRCの高橋巧、3位にヤマハワークスの野左根航汰が入る。

事前テストからコースレコード(1分48秒460)を破る兆しは見えていた。昨日のART合同走行で高橋巧、中須賀克行、野左根航汰が1分47秒台に入れて非公式ながら既にレコードを更新していた。そして今日、誰もが目を疑う46秒台をたたき出したのが中須賀克行であった。しかも、予選5番手の渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)までがコースレコードを更新するタイムであった。

1:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)1分46秒878
2:高橋巧(Team HRC)1分47秒055
3:野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)1分47秒439
4:渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)1分48秒271
5:渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)1分48秒396

レース2のグリッドは各ライダーのセカンドラップタイムで決定される。上位5台はレース1と同じグリッドとなった。

公式予選が終わってからわずか3時間半後の午後1時40分、23周による決勝レース1がスタート!

ホールショットは中須賀が奪う。絶妙なスタートを切った渡辺一樹が2番手、昨年からスタートが決まってきた高橋であるが今回は上手く決まらず3番手、予選8 番手の水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)がロケットスタートを決めて4番手で第1コーナーに進入する。予選3番グリッドの野左根はスタート失敗、大きく順位を落とす。オープニングラップは、中須賀、渡辺一樹、高橋、水野、野左根、渡辺一馬、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、加賀山就臣(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、岩戸亮介(Kawasaki Team GREEN)、津田一磨(Team Baby Face)の上位10台。

3周目の5コーナー入口で高橋が渡辺一樹をパス、2番手に浮上、野左根もS字区間で水野をパスして4番手に浮上する。野左根はさらに6周目のV字コーナーで渡辺一樹をパス、3番手に浮上する。

トップの中須賀と高橋、序盤はお互い「タイヤを温存させているのだろうな」と牽制し合っていた。9周目のS字コーナーで高橋が中須賀をパス、しかしS字の切り返しで中須賀は抜き返すがV字コーナーで高橋が再び前に出る。そのままコントロールラインを高橋が前で通過するが1コーナーでインに飛び込んだ中須賀が再度抜き返しトップに立つ。

その後中須賀と高橋は1分48秒2〜4のほぼ同じタイムで周回しながら一騎打ちを展開。17周目に中須賀が1分47秒860と47秒台に入れれば高橋も1秒47秒849と負けてはいない。高橋のこのタイムがファステストラップとなった。昨年までの高橋は中須賀に抜き返されるとそのまま差が開いていくことが多かったが、今日は離れない。むしろラップタイムペース的には中須賀を上回り超接近戦を展開する。

高橋の事前テストのロングランのアベレージラップタイムをみて中須賀は「1周につきコンマ3〜4秒(高橋選手が速い)。それで23周したら5-6秒差で負ける」と危機感を抱いたそうである。それをウィークを通じて修正した。予選を終えた段階では「決勝は1分47秒台で周回できる」と思ったそうである。高橋も同じく47秒で周回できると感じていたらしい。しかし中須賀は、路面コンディションの変化から「そのペースでは保たないので高橋選手の事前テストのアベレージタイムをキチンと刻む」ことへ軌道修正、最後の5周でスパートをかけることにした。

高橋もそこに反応、20周目には1分47秒966と47秒台に入れるが、21周目の90度コーナーで止まりきれずバランスを崩す。ブレーキに若干の問題を抱えていたようである。

そのまま中須賀がトップチェッカー!ポール・トゥ・ウィンを飾る。2位に高橋、3位に野左根と、ワークス勢が表彰台を占めた。

4位に渡辺一樹、5位:渡辺一馬、6位:水野涼、7位:秋吉、8位:加賀山、9位:Zaqhwan Zaidi(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)、10位:岩戸、の上位10位であった。

「予選の時と比べると路面温度も上昇し、風向きや強さも変わったので路面コンディションが変化していました。スタートの練習が上手く決まらずドキドキしながらクラッチミートしたのですが思ったほど周りが飛び出してこなかったのでホールショットを奪えました。序盤から先頭に立って逃げていこうと考えていたのでプラン通りではありましたが路面コンディションが変わったのでグリップ感を掴みにくく、リズムが作りにくかったです。それでも1分48秒前半から中盤のラップタイムで周回できました。高橋選手も中盤まで仕掛けてこなかったので“自分と同じ状況なんだろな”と思っていました。中盤で前に出られましたが後ろについたとき思ったよりリズムが悪そうだったので再び前に出る作戦に切り替えました。非常に接戦となると思ったのですがレースを引っ張って開幕戦から勝つことができて良かったです」と中須賀。

「去年スタートが決まっていたので序盤から前に出ようと思っていたのですが3番手に下がってしまいました。そのおかげでリズムが崩れたわけではありませんが、中須賀選手が言ったとおり路面コンディションが午前中より少し悪くなったのでペースを上げづらかったです。中須賀選手は後半に絶対ペースを上げるだろうな、と思っていたので後ろについていました。後半スパートをかけた時についていこうと思ったのですがマシン的にちょっとした問題を抱えてしまったので最後に離されてしまいました。明日はその問題を解決できると思うので、レース2はもっと面白いレースをしたいと思います。」と高橋巧。

「お二人が話したとおり路面コンディションが午前中から変わっていて、そのことに自分が一番影響されてしまったかな、と思っています。マシンのセットアップと言うより自分の力量の問題でペースを上げることができませんでした。スタートで失敗して7番手くらいまで落ちてしまいそこから挽回して1分48秒中盤から後半のラップタイムペースで走行しました。例年と比べれば速いペースなのですがトップ2人はそれよりも遥か上のペースで走っていたので追いつくことができませんでした。レース2は今回の反省を活かして3人でバトルができれば良いと思います。」と野左根。

全日本ロードレース開幕戦「SUPERBIKE RACE in MOTEGI」の決勝レース1上位10位は以下の通り。

優勝:#1 中須賀克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#13 高橋巧Team HRC
3位:#4 野左根航汰YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:#26 渡辺一樹ヨシムラスズキMOTULレーシング
5位:#23 渡辺一馬Kawasaki Team GREEN
6位:#634 水野涼MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
7位:#090 秋吉耕佑au・テルルMotoUP RT
8位:#12 加賀山就臣ヨシムラスズキMOTULレーシング
9位:#15 Zaqhwan Zaidi Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
10位:#64 岩戸亮介Kawasaki Team GREEN

Photo & text : Toshiyuki KOMAI