酷暑のSUGOを高橋巧が制する。これで4連勝達成。2位に中須賀克行、3位野左根航汰。
この勢いを止めることはできないのか。5月とは思えない酷暑のSUGOを高橋巧が制した。これで4戦連続優勝、しかもコースレコードを更新してのポール・トゥ・ウィン。2位に中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)。3位に野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
レース2決勝は気温35度、路面温度53度まで上昇、真夏を思わせる酷暑となった。25周のレースがスタート。ホールショットは高橋が奪う。予選4番手・5番手の渡辺一馬と岩戸亮介の2台のKawasaki Team GREENが絶妙なスタートを切り、2番手・3番手で1コーナーに進入する。野佐根5番手、中須賀6番手、その後ろにヨシムラスズキMOTULレーシングの渡辺一樹と加賀山就臣。
オープニングラップは高橋が制し、以下、渡辺一馬、岩戸、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、中須賀、野佐根、渡辺一樹、加賀山、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、前田恵助(YAMALUBE RACING TEAM)の上位10台。
高橋巧は2周目にファステストラップ1分26秒657をマーク、その後もこの路面温度の中で唯一26秒台で周回すると後続との差をみるみる広げて3周目には3秒ものマージンを築く。「最初の数周を1分36秒台で周回できていなったら厳しいレース展開になっていた」と言うようにこの序盤のスパートが効いた。
「高橋選手が最初からに逃げるのはわかっていたので序盤から背後に付けてプレッシャーをかけたかった」と言う中須賀だがウィリーしてスタート出遅れ、オープニングラップは5番手。渡辺一馬、水野、岩戸をかわし、さらに野佐根をパスして2位に浮上したのは19周目。さすがにこのタイミングでは勝負するには遅かった。しかし「楽して勝たせたくはなかった」と22周目に26秒台にいれると翌周に1分26秒799のベストタイムをマークして高橋にプレッシャーをかける。これに高橋が反応、再び26秒台に入れて中須賀の追撃をかわす。中須賀は悔しい2位表彰台。
前戦鈴鹿での完敗を経てSUGOに向けてセットアップを変更したヤマハ、野佐根はそれが当たった。中須賀は今ひとつ合わずに伸び悩む。レース1では中須賀とのマッチレースを展開。野佐根の勝負強さがみえてきた。レース2でも中須賀を抑えて16周をラップ。19周目の1コーナーで抜かれるが20周目の馬の背で抜き返す。SPコーナーで中須賀に抜き返された後に勝負を仕掛けてシケインに飛び込む。しかし止まりきれずに大きく膨らむと勝負はついた。「後半の中須賀選手のペースアップについて行けず、シケインの失敗の後に差を広げられてしまたったのが反省点」と悔しがる。野佐根は連続3位表彰台。
SUGOでは水野の勝負強さが際立った。4番手争いを水野、渡辺一馬、岩戸亮介、渡辺一樹の4台で展開、その集団を18周にわたって先頭で牽引する。レース終盤、レース1に続いて渡辺一馬と抜きつ抜かれつの一騎打ちを展開する。ファイナルラップ、渡辺一馬のインから水野が1コーナーに飛び込む、クロスラインで渡辺一馬が前に出ると2台並んで3コーナーに進入して水野が前、続く4コーナーも2台並んで立ち上がり渡辺一馬が前。最後の馬の背、水野がインから刺して抜き返すとそのまま4位でチェッカーを受けた。渡辺一馬は悔しい5位。6位に渡辺一樹。
一度もトップを譲ることなく高橋が独走でSUGOラウンド2連勝を飾る。厳しいコンディションの中「残りラップ数をみる余裕もないほど辛かった」と言う。ART合同走行、公式予選、レース1、レース2、全てのセッションでトップの完全勝利。これで前戦鈴鹿から自身初の4戦連続のポール・トゥ・ウィン。しかしこのままヤマハワークスが黙ってみているわけがない。「HY戦争ができるようにしっかりとマシンを造りこむ」と中須賀が言うように鈴鹿8耐を経て8月のもてぎで再びホンダワークスvsヤマハワークスのバトルが観られることだろう。
「路面温度も上がりコンディションも昨日と違ったのでかなり辛かったです。最初の数周、1分36秒台で周回できていなったら厳しいレース展開になっていたと思います。最後の中須賀選手のペースアップもプレッシャーでした。残りラップ数をみる余裕も無いなかで自分もペースを上げざるを得ず転びそうになりながらもなんとか26秒台入れました。本当に最後は辛かったです。」
「高橋選手は今回も逃げるだろうと思っていたので序盤から背後につけて勝機を狙うつもりでしたが、スタートでミスして集団の中に埋もれてしまい、そこから抜け出すのに時間がかかってしまいました。路面温度がかなり上がり他のみんなも厳しい条件だろうからこそ最初から背後につければ勝負できたのではないかな、と悔いが残るレースになりました。ですが、野佐根選手と良いバトルをしながら高橋選手と追いかけて、野佐根選手を抜いてからは(高橋選手を)楽に勝たせないためのプレッシャーをかけるためにラップタイムペースを上げました。結果、負けはしましたが少しでもプレッシャーをかけられたので良かったです。鈴鹿8耐を経てスプリントでもしっかり戦えるように、HY戦争ができるようにマシンを仕上げたいと思います。」
「昨日と比べて中須賀選手との差も開いてしまいましたので悔しい結果でした。自分もスタートが上手くいかずさらに1コーナー、2コーナーの位置取りが悪くて水野選手と接触してしまったりして遅れてしまいました。一度冷静になって一台ずつ抜いて行きました。自分も1分26秒台で周回したかったのですが27秒前半が精一杯でした。中須賀選手が背後についているのはわかっていました。仕掛けられても返せるように食らいついていたのですが、後半中須賀選手のペースアップについて行けず、最後のシケイン飛び込みで勝負に出たのですが止まりきれず終わってしまいました。」
全日本ロードレース第3戦「SUPER BIKE RACE in SUGO」の決勝レース2上位10位は以下の通り。
優勝:#13 高橋巧 Team HRC
2 : #1 中須賀克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3:#4 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
5:#11 渡辺一馬 Kawasaki Team GREEN
6:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
7:#64 岩戸亮介 Kawasaki Team GREEN
8:#75 前田恵助 YAMALUBE RACING TEAM
9:#090 秋吉耕佑 au・テルルMotoUP RT
10位:#44 関口太郎 Team ATJ
photo & text : Toshiyuki KOMAI