2019全日本ロードレース第4戦筑波 公式予選・決勝レース1

2019/06/22

難しいコンディションのレースを制した榎戸育寛、J-GP2クラス初優勝!

序盤からトップに立った榎戸育寛(SDG Mistresa RT HARC-PRO)がぶっちぎりの独走でJ-GP2クラス初優勝を飾った。2位には名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、4台による表彰台争いを制した作本輝介(Team髙武RSC)が3位。

全日本ロードレース第4戦筑波はJSB1000クラスを除く全クラスが2レース、土日で8レース開催される。この週末は不安定な天候で天気予報が毎日変わる。J-GP2クラスの公式予選は土曜日の朝9:15から行われた。青空がのぞくものの湿度が高く非常に蒸し暑い。ポールポジションは名越、57”188、2番手に岩崎哲朗(OGURA CLUTCH with RIDE IN)57”298、しかし予選終了間際にハイサイド転倒、マシンにダメージを負う。3番手に榎戸:57”425。

午前中のST600クラス予選から雨が降り出し、J-GP3クラスの決勝レースは土砂降りの雨となる。今シーズン初めてのウェットレース。J-GP2クラス決勝前には一度止んだ雨がレース直前に再び降り始める。決勝レース1がスタートした。

名越が上手いスタートを切るがさらに素晴らしいスタートを決めたのが榎戸、1コーナーをトップで進入する。2番手に名越、3番手に予選4番手の小谷咲斗(TEAM PLUSONE with TARO)。榎戸はそのままオープニングラップを制する。以下、名越、作本、小谷、岩崎、阿部恵斗(Webikeチームノリックヤマハ)、豊島怜(SpeedHeart DOGFIGHTR YAMAHA)、尾野弘樹(ミクニ テリーアンドカリー)徳留真紀(マルマエMTR)、井出翔太(HITMAN RC甲子園ヤマハ)、朝比奈正(アサヒナレーシン)グと続く。

「勝つためには序盤から飛び出すしかないと考えていた」という榎戸はオープニングラップを2番手の名越よりもコンマ6秒も速いタイムで周回、後続との差を広げる。6周目には唯一の1分2秒台に入れ、その後も2秒台を連発。11周目に1分2秒579のファステストラップを刻む。

序盤は名越とほぼ同じラップタイムで周回していた名越はその差を縮め始めて7周目に1分2秒987のベストタイムをマークして榎戸を追う。3番手の作本が遅れ始めて先頭争いは榎戸と名越の2台に絞られた。

その後方では作本、岩崎、小谷、阿部による3位争いがヒートアップしてくる。岩崎が8周目の1コーナーで作本をとらえて3番手に浮上、10周目には阿部が作本の一瞬のミスを逃さず1コーナーでかわして4番手、作本は5番手までポジションダウン。阿部が岩崎をかわしてこの集団のトップに立ち表彰台争いを展開する。

榎戸は唯一の1分2秒台のラップタイムペースで単独走行、オープニングラップから一度もトップを譲ることなく2位に9秒748もの大差をつけてJ-GP2クラス初優勝を飾る。序盤は榎戸との差を詰めてきた名越はリアタイヤのグリップ不足に悩まされてペースを上げられず悔しい2位。

4台パックの激しい3位争い。15周目、最終コーナーからピタリとつけていた作本がスリップからインに振って一気に岩崎、阿部をかわして3番手に浮上する。「意地で表彰台に昇ってやると考えていた」と作本。そのまま3位でチェッカーを受ける。4位に岩崎、5位に阿部、6位に小谷、7位:尾野、8位:徳留、9位:豊島、10位:井出、11位:朝比奈の順位であった。

全日本ロードレース選手権シリーズ第4戦in 筑波」の決勝レース1上位10位は以下の通り。

榎戸育寛記者会見コメント

「予選のアタック前にダンロップコーナーで転倒してしまい人間のダメージは少なかったのですがマシンにダメージが大きく、チームが懸命に修理してくれたことに先ずは感謝です。HP6(ハルクプロのGP2マシン)もブリヂストンタイヤも雨の走行は初めてで正直ぶっつけ本番に近くて正直若干の不安はありました。1周目からトップに立って自分のペースを守り続けて何とか20周走り切れて良かったです。

今までのレースはスタートからの序盤に飛ばせないことが原因で順位が上げられませんでした。雨のレースはリスクが伴いますが勝つためには1周目から飛ばすしかないな、と思っていました。優勝できたのは嬉しいのですがとても疲れました。」

名越哲平記者会見コメント

「今シーズン初めてのウェット路面で予選からコンディションがかなり変わってしまいました。事前テストから予選まで筑波をウェットで走ったことが無かったので不安要素はありましたがチームと相談してセッティングを決めてトライしました。しかしリアのグリップ不足からペースを上げることができずじわじわと離されていく展開となってしまいとても悔しいレースでした。筑波は明日もレースがあるので今日の反省点を活かして明日は表彰台の真ん中に立てるように頑張ります。」

作本輝介記者会見コメント

「スタートから前の二人に追いつくことができず最後までペースを上げられず苦しい展開になってしまいました。明日のコンディションは(ドライかウェットか)どちらに転ぶかわかりませんが巻き返せるように頑張ります。雨の筑波サーキットは走ったことが無かったので他のコースのウェットセットを参考にして詰めました。“最低でも表彰台に昇らなくては”と意地で走りました。」

優勝:#71 榎戸育寛 SDG Mistresa RT HARC-PRO
2位:#634 名越哲平 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
3位:#4 作本輝介 Team髙武RSC
4位:#70 岩崎哲朗 OGURA CLUTCH with RIDE IN
5位:#14 阿部恵斗 Webikeチームノリックヤマハ
6位:#22 小谷咲斗 TEAM PLUSONE with TARO
7位:#392 尾野弘樹 ミクニ テリーアンドカリー
8位:#36 徳留真紀 マルマエMTR
9位:#18 豊島怜 SpeedHeart DOGFIGHTR YAMAHA
10位:#19 井出翔太 HITMAN RC甲子園ヤマハ)
11位:#79 朝比奈正 アサヒナレーシング

Photo & text : Toshiyuki KOMAI