野左根航汰、笑顔無しの4連勝目。2位清成、3位は初表彰台の前田恵介。最終ラップにまさかのアクシデント。
まさかのアクシデントが最終ラップの最終コーナーで起こった。トップを走る中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)にチームメイトの野左根航汰が接触、中須賀は転倒リタイア、野佐根は4連勝目を達成。しかしその顔には笑顔は無く、うつむきながらウィニングランから帰ってきた。2位には好走した清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)、3位にはJSB1000クラスで初表彰台の前田恵助(YAMALUBE RACING TEAM)。
日曜日も爽やかな晴天。午後3時20分、18周の決勝レース2スタート!昨日に続き抜群のスタートを決めた清成がホールショットを決める。野佐根、中須賀、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)の順に1コーナーに進入する。上りセクションの右50Rで中須賀が野佐根をパス、2番手に上がる。
オープニングラップは清成が制する。以下、中須賀、野佐根、水野、濱原、渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)、柳川明(will raise racing RS-ITOH)、亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、前田、の上位10台。
2周目のジェットコースターストレートエンドの右コーナーで水野がフロントから切れ込んでまさかの転倒。早々に戦線を離脱してしまう。レース1終了時点でポイントランキング2位の位置にいるだけにこのノーポイントは痛い。
3周目の1コーナーで野佐根が中須賀のインから2番手を奪い返す。しかし翌周第2ヘアピンで中須賀が2番手を奪い返す。清成、中須賀、野佐根の3台が抜けだし、前日のレース1同様の展開となってきた。清成は10周目まで先頭グループを引っ張る。
その後ろでは濱原を先頭として、渡辺一馬、柳川の4位グループが形成された。そこにオープニングラップを10番手で通過した前田が追いつき、4台のパックとなった。前田は9周目のホームストレートで柳川をかわして6番手に浮上する。
レースが動いたのは11周目。ホームストレートで清成のスリップに入った野佐根が1 コーナーでトップを奪う。すると清成との差を広げ始めた。ここで野佐根に先行させてはならない中須賀は第2ヘアピンで清成をパスすると野佐根の背後につける。再び中須賀と野佐根の一騎打ちが始まる。
翌12周目の最終コーナー、コンパクトなラインで野佐根のインに飛び込んだ中須賀がトップを奪う。しかしその先のホームストレートでスリップに入った野佐根はレイトブレーキングで暴れるマシンを押さえ込んで1コーナーに進入、トップに立つ。ピタリと野佐根の背後につけた中須賀、昨日から何度もパッシングしている上りセクションの右50Rでインベタから野佐根をパス、トップを奪い返す。
先頭グループから約10秒後方のセカンドグループ。前田が速い。6番手まで上がると12周目に渡辺一馬をかわし、翌13周目に濱原をかわして4番手まで浮上、セカンドグループのトップに立つ。
中須賀と野佐根の一騎打ちは続く。16周目のホームストレート、再び野佐根がスリップから中須賀をパス、しかし僅かにアウトに膨らんだ野佐根のクロスラインから並んで2コーナーを立ち上がり3コーナーでインを取ると中須賀がトップに立つ。
17周目の最終コーナー、周回遅れのマシンに絡めて野佐根がインを伺う。しかし中須賀は巧にブロック。そしてファイナルラップに突入する。
ホームストレートで中須賀はイン側のラインを取り野佐根の進入をブロック、野佐根はアウトから被せるが中須賀が抑える。さらにクロスラインから第2コーナーを立ち上がり3コーナーの進入で仕掛けるがここも中須賀が抑える。後半の上りセクションも中須賀が抑えて最終コーナーへ向かう。
このまま中須賀の優勝かと思われたがここで野佐根は勝負を仕掛けて中須賀のインに飛び込みむ。しかしなんと中須賀と接触、中須賀は外にはじき出されて転倒してしまう。野佐根はそのままチェッカーとなり今季4勝目を挙げた。だがそこには喜びはなくただただうなだれてホームストレートへ戻ってきた。2位には清成、3位にJSB1000で初の表彰台を獲得した前田が入った。
※中須賀と野佐根はレース後に話し合い、二人の間では解決したと言う。ヤマハのホームページに中須賀のコメントが掲載されているので記載します。
「レース後、行き過ぎの行為は今後絶対にしてはいけないと、航汰にしっかりと話をしました。もちろん航汰も反省していたし、謝罪もあったので、これに関してはこれで終わりです。次のツインリンクもてぎでは、改めて2人でクリーンファイトして、ヤマハファン、レースファンを楽しませようと誓いました。痛めた右肩は、次のツインリンクもてぎまでには復活していると思います。次戦から、改めて応援をお願いします」 出典:ヤマハ発動機株式会社 レース情報
また、野佐根は東京へ戻る日に中須賀の家を訪ねて改めて謝罪した。現場で和解したにもかかわらず、わざわざ足を運んだ野佐根。今時の若者にしては珍しくしっかりとスジを通す姿は立派だ。そして「この件に関してはこれで終わり」とコメントを発した中須賀もチャンピオンらしい堂々とした姿勢だ。
尊敬する大先輩と弟のように可愛い後輩。信頼関係で結ばれたこの二人の間の事に関して外野がとやかく言うことではない。
次戦もガチの一騎打ちを期待したい。
(写真は中須賀選手の奥さまからお借りしました)
優勝:野佐根航汰コメント
「レースでは前に出たかったのですが、昨日とは違う問題が出てきてたりして調子があまり良くありませんでした。前に出ようとすると転倒しそうになったりしてペースを上げられませんでした。清成選手も中須賀選手も昨日よりワンランク速くなっていて付いていくだけでも昨日より余裕はありませんでした。最終ラップの1コーナーで前に出ようと思ったのですが最終コーナーの左で大きくスピンさせて失速してしまいました。最終ラップの最終コーナーしかチャンスは作れなかったのですが、強引に行き過ぎたと反省しています。中須賀選手と完全に接触して転倒させてしまい、本当に申し訳なく思っています。」
2位:清成龍一コメント
「SUGOに引き続き2位表彰台に立てたことを凄く嬉しく思います。金曜日の走行が無くなり、限られた時間の中でチーム、メカニックがマシンを仕上げてくれて、セッション毎に良くなっていきました。そのおかげでレースペースもバイクの感触も良くなりこの位置にいられるのかな、と思います。但、転倒者がいたからというのも事実で、まだまだ自分たちの実力だけでは表彰台は難しいと思います。バイクもタイヤも素晴らしいので次戦は自力で表彰台に上がれるように頑張ります。」
3位:前田恵助コメント
「上位4台より自分のペースは遅いのですが、諦めずについていこう、と思っていました。しかしスタートで出遅れて10番手まで落ちてしまいました。あとはただただ粘り強く自分のペースで走ってセカンドグループのトップに立とうと思っていました。今回はラッキーな表彰台かもしれませんが、自分の中ではレースはレースなので素直に初表彰台として喜びたいと思います。」
全日本ロードレース第3戦オートポリス レース2の上位10位は以下の通り
優勝:#3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#17清成 龍一 Keihin Honda Dream SI Racing
3位:#75 前田 恵助 YAMALUBE RACING TEAM
4位:#33 渡辺 一馬 Keihin Honda Dream SI Racing
5位:#72濱原 颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
6位:#25 亀井雄大 Honda Suzuka Racing Team
7位:#87柳川 明 will raise racing RS-ITOH
8位:#36岩田 悟 Team ATJ
9位:#13 津田 一磨 BabyFace POWERED by YOSHIMURA
10位:#44関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
Photo & text : Toshiyuki KOMAI