2020全日本ロードレース最終戦鈴鹿 公式予選&決勝レース1

2020/10/31

新チャンピオン誕生!野左根航汰!中須賀克行、今季初優勝!

野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)がチャンピオンを獲得した!レース1は中須賀克行が今シーズン初優勝を飾る! 3位には渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)

ついに越えるべき大きな山:中須賀を越えた。中須賀の10度目のシリーズチャンピオンを阻止して、来期はワールドスーパーバイク選手権にフル参戦する。今シーズンの野左根は速い。それは中須賀も認めるところ。但、中須賀も易々とは越えさせない。「鈴鹿では絶対に負けない」中須賀の意地をみた気がする。このレースウィーク、ここまで全てのセッションで野左根を上回っている。ライバルでもあり兄弟のような師弟関係。このふたりの絆が素晴らしいバトルを魅せた。

今大会も2レース制。公式予選のベストタイムがレース1のグリッド、セカンドタイムがレース2のグリッドとなる。午前中に行われた公式予選。中須賀が開始早々にこのウィーク誰も入れてなかった2分4秒台の2分04秒853に入れる。清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)2番手、野左根3番手のところで清成がシケインで転倒、タイヤバリアにマシンが食い込み赤旗中断となる。再開後に今度は渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)がデグナーで転倒。2度目の赤旗中断となる。

再開後、野左根も2分4秒台の2分04秒859に入れて2番手に浮上すると、中須賀が後続を振り切るかのようなダメ押しのタイムアップ、2分04秒128をマークして今季初のポールポジションを獲得。このタイムは中須賀の自己ベスト(2分04秒517)を更新した。2番グリッドに野左根、3番グリッドに調子が上向いている渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング))、4番グリッドに清成、5番グリッド水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)が食い込んできた。

レース2のポールポジションも中須賀。ダブルポールを決めた。4番グリッドまではレース1と同じ。 5番グリッドに渡辺一馬が入る。

午後3時、14周による決勝レース1スタート。ホールショットは中須賀が奪う。野左根が続き、セカンドロー5番グリッドの水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)が良いスタートを決めて3番手で1コーナーに進入する。その先の3コーナーで清成が水野のインから3番手を奪う。予選3番グリッドの渡辺一樹はスタートで出遅れ、6番手にポジションダウン。しかしS字、ダンロップコーナーで渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)、水野をかわして4番手で西コースへ向かう。

野左根はスプーン立ち上がりで中須賀の背後にピタリとつけると、裏ストレートでスリップから抜けて130Rで中須賀のインに飛び込みオープニングラップを制する。4番手の渡辺一樹は最終シケインで清成をパス3番手でコントロールラインを越える。野左根、中須賀、渡辺一樹、、清成、水野、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)、渡辺一馬、岩田悟(Team ATJ)、前田恵助(YAMALUBE RACING TEAM)の上位10台。

先頭グループは中須賀、野左根、渡辺一樹。2周目には2分5秒台に入れる。ヤマハファクトリーの2台が後続との差を広げていくパターンが多かったが、今回は違った。3番手走行の渡辺一樹のペースが速い。3周目に2分5秒486のファステストラップをたたき出すと野左根、中須賀のテールに追いつく。

野左根、中須賀、渡辺一樹のトップ3台は2分5秒台のラップタイムで周回を重ねる。清成は単独で4番手走行を続ける。

レースが動いたのは11周目の最終シケイン。クロスラインから野左根をパスしてトップに浮上する。序盤からトップに立っていつものパターンに持っていきたかったと言う中須賀。だが野左根の巧みな走りを前にしてなかなか抜くことができなかった。タイヤマネジメントしながら仕掛けどころを狙っていた。

勝ってチャンピオンを決めたい野左根は柔らかめのタイヤを履いていた。中須賀と同じ条件で勝つことを狙っていたが、自分が勝つためにどうすれば良いかを考え、大きな賭けに出た。野左根も序盤にトップに立ち後続との差を広げたかったが相手は中須賀。そう簡単にはいかない。

迎えたファイナルラップ。ところどころで中須賀のインを伺うが中須賀のテールに食らいつく。最終シケインでアウト側にラインを取るが中須賀が抑えて今季初優勝を飾る。やはり鈴鹿は強い。2位に野左根。新チャンピオン誕生の瞬間だ。3位表彰台に渡辺一樹。

全日本ロードレース最終戦鈴鹿 レース1の上位10位は以下の通り

優勝:#1 中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#3 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3位:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
4位:#17 清成 龍一 Keihin Honda Dream SI Racing
5位:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
6位:#33渡辺一馬 Keihin Honda Dream SI Racing
7位:#72 濱原颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
8位:#71 加賀山就臣 Team KAGAYAMA
9位:#75前田恵助 YAMALUBE RACING TEAM
10位:#44関口太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE

Photo & text : Toshiyuki KOMAI

「非常に長い14周でした。野左根選手は緊張していて走りのリズムが崩れるかな、と思っていたのですが、ブロックラインを上手く使ったり、タイヤのマネジメントも最後までしっかりやっていたので抜きどころがありませんでした。貫禄のある隙のない走りでした。本当は自分が前に出て引っ張ろうと思ったのですが、自分にも余裕が無くてラスト2周で前には出ましたが後ろから離れなかったので厳しいレースでした。今日の野佐根選手はチャンピオンを獲得すると言うのが第一目標だったと思うのですが、明日はそんなプレッシャーも無い状態で向かってくるのでより高いレベルのバトルができると思います。そして素晴らしいバトルで野左根選手を世界に送り出してあげたいと思います。」

「チャンピオンを獲った瞬間はホッとしたというのが正直な気持ちです。ですがゴール後、中須賀選手が喜んでいたのをみて嬉しさを実感してきました。今回中須賀選手とは違う柔らかめのタイヤを選択したので序盤から前に出てマージンを稼ぎたかったのですがなかなか差を広げることができませんでした。チャンピオンがかかっていてプレッシャーはありましたが、自分は優勝を目指していました。中須賀選手にクロスラインで抜かれたときは全くクリーンで自分は全くのノーリスクでした。改めて中須賀選手の凄さを痛感しました。

明日は新しいチャンピオンとして臨み、また日本での最後のレースとなるのでみんなの前で良いバトルを魅せたいと思います。」

「スタートを失敗して一瞬焦ったのですが予選までの自分のペースを考えれば普通に走れば3番手のポジションにまでは戻れる、と落ち着いて走ろうと思いました。最初の1-2周でタイヤを使い切ってしまうのも勿体ないですし。タイヤマネジメントしながら少しずつ追い上げていき、先頭グループの後ろには追いつけました。しかし後ろから中須賀選手と野佐根選手の走りを見ていてどこで勝負を仕掛けようかと考えていましたが、結局仕掛けられずに終わってしまい、悔しい気持ちが強いです。明日のレースに向けてやれることがあると分かったので明日は前のふたりに勝負を仕掛けてひとつでも上のポジションで表彰台に登りたいと思います。」