ポールポジション:渡辺一樹!レース1優勝:中須賀克行
レースウィーク3日目。JSB1000クラスは公式予選と決勝レース1が開催された。ポールポジションは渡辺一樹(YOSHIMURA SERT MOTUL)が獲得。午後に行われた決勝レースは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が優勝、2位に清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、3位に渡辺一樹。
今大会は2レース制。公式予選のベストタイムがレース1のグリッド、セカンドタイムがレース2のグリッドとなる。午前中に行われた40分間の公式予選。大方の予想通り中須賀が早々に1分48秒646に入れてリーダーボードのトップに立つ。しかし、予選終盤にタイヤを変えてアタックにでた渡辺一樹が1分48秒587をマークしてトップに立つ。このウィークで初めて48秒台に入れた。
昨日まで不振にあえいでいた清成が48秒台に入れてきた。昨夜から今朝にかけてサスペンションのセットを大きく変え、清成の走りに合わせたマシンに仕上げたと言う。原因不明の挙動はまだ治らないがその上でセットを組み直し清成が乗りこなした。
力みすぎてリズムが狂ってしまったという中須賀は思うようにタイムが伸びず最後のアタックで1分48秒481にいれたが予選3番手。清成が1分48秒403で2番グリッド。最後のアタックで1分48秒330をマークした渡辺一樹がポールポジションを獲得した。これにはヨシムラの吉村不二雄社長も大喜びしたと言う。
午後2時5分、23周による決勝レース1がスタート。ホールショットは清成が奪う。渡辺一樹、中須賀、亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)と続いて1コーナーに進入する。
4コーナー立ち上がりで岩田悟(Team ATJ)がハイサイド、岩田のマシンが名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)のフロントに接触、バランスを崩した名越のマシンは縦回転しながらタイヤバリアを飛び越える。名越にケガは無かった。
V字コーナー進入で濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)が亀井雄大のインから2番手で立ち上がる。
オープニングラップは清成が制する。以下、亀井、濱原、中須賀は4番手、渡辺一樹5番手、中富伸一(Waveinn-R)、岩田、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、関口太郎(ANMEI Team TARO PLUSONE)の上位10台。
2周目の5コーナー、第1アンダーブリッジ先のS字コーナーで、濱原、亀井をかわして中須賀が2番手に浮上。ここから清成と中須賀の接近戦が始まる。
5周目の1コーナーで渡辺一樹が亀井のインを突いて3番手に浮上。しかし先頭グループの2台から2秒239後方の位置となってしまう。
清成と中須賀は1分48秒台のラップタイムで周回する。清成はウィーク初日こそ49秒1まで伸ばしたが金曜日には50秒を切ることができなかった。それが今朝の予選から48秒台に入れる速さを取り戻した。木曜日のセットに戻してさらにアジャストを行った。チームが清成の走りに合わせてセットを組み直した。
清成は「どんなことがあっても48秒台のラップタイムは死守する」と考えながら走っていた。
しかし徐々にタイヤが厳しくなってくる。中須賀は背後から清成の様子を伺っていた。スタートでトップに立てたら逃げ切るつもりだったが、清成に先行されたため後ろから走りを見極めることにした。背後からコーナー毎にアタマを出し、プレッシャーをかける意味と、自分がどのタイム、どの距離だといけるのか、の間合いを計りながら走行を続け、16周目の2コーナー立ち上がりで清成をパスしてトップに浮上する。
清成をパスした中須賀は1周で0.384秒の差をつけると20周目には1秒977までその差を広げ、そのままトップチェッカー!今シーズンを優勝で飾った。昨年の開幕戦の転倒で負ったケガで1年間苦しんだため、この開幕戦は慎重に臨んでいた。幸先の良いスタートに先ずはひと安心していた。
渡辺一樹も中須賀、清成とほぼ同じ48秒後半でラップする。13周目には1分48秒782と清成よりも速いベストタイムをマークするも、オープニングラップで5番手に落ちたことが響いた。5周目に3番手に浮上するもその間にトップグループとの差を広げられてしまい追いつくまではいけたが追い抜けなかった。
4位に濱原、5位に亀井、6位に岩田、7位に秋吉耕佑(MURAYAMA.TJC.RT )8位に関口、9位に児玉勇太(Team KODAMA)10位に加賀山、の上位10台であった。
優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
「今年に入って流れが少し悪かったのでその流れを断ち切るためにもこのウィークは走行時間を増やして自分のリズムを作ることに集中しました。レースウィークに入ってから清成選手と走る機会が無くてどんな仕上がりなのか気になっていましたが、土曜日までには仕上げてくるとは思っていました。案の定、今日の序盤はアベレージも速くて着いていくのに必死でした。お互い速いところ、遅いところが違うので思った以上にタイヤの温存もできませんでした。残り3周くらいでスパートをかけようと思ってましたが”行けるところでいこう”と考えを変えました。昨年の開幕戦では転倒してしまい出鼻をくじかれてしまったので、今年は優勝でスタートできて非常に嬉しく思います。」
2位:清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)
「スタートを上手く切って自分のリズムで走ることを考えていました。テストから昨日まで調子が悪かったのですが、今朝は自分の希望を聞いてもらったセットで試行錯誤を行い、ギリギリ間に合ったかな、という感じです。
レース展開は読めませんでした。スタートから逃げようと思ったのですが中須賀選手、渡辺選手がついてきて、そうこうしているうちに自分のタイヤがタレてきてしまいました。正直あのラップタイムで勝てるとは思ってませんでしたが何かしらできると思いペースを守りたかったのですが、後半にズルズルと離されてしまいました。明日の決勝レース2も厳しい闘いになると思いますがスタートを決めて逃げ切れれば、と思います。
3位:渡辺一樹(YOSHIMURA SERT MOTUL)
「今回1日走行が多かったこと(特別スポーツ走行)が自分にとってプラスに作用しました。先行開発も兼ねているので初日・二日目はいろいろと試していました。その中で決勝レースに向けたパッケージが見つかり、予選はそのパッケージが上手く機能したと思います。決勝レースは序盤の混戦に巻き込まれて順位を落としてしまったのが自分にとって苦しいレースにしてしまったな、と思っています。ラップタイムペースは上位と変わらずに走れていたと思うのでトップ争いに絡めなかったのは残念です。但、事前テストに参加しないでこの位置にいられるということは非常にポジティブに思っています。」
全日本ロードレース開幕戦もてぎ決勝レース1の上位10台は以下の通り。
優勝:#7中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#2清成 龍一 Astemo Honda Dream SI Racing
3位:#14渡辺 一樹 YOSHIMURA SERT MOTUL
4位:#3濱原 颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
5位:#11亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
6位:#6岩田 悟 Team ATJ
7位:#18秋吉 耕佑 MURAYAMA.TJC.RT
8位:#9関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
9位:#13児玉 勇太 Team KODAMA
10位:#10加賀山 就臣 Team KAGAYAMA
Photo & text : Toshiyuki KOMAI