中須賀克行、開幕4連勝を飾る。2位に清成龍一、3位にHonda Suzuka Racing Teamの亀井雄大!
JSB1000クラスの決勝レース2が開催された。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が優勝ダブルウィンを飾る。これで開幕4連勝。2位に清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、3位にチーム員全員がホンダ鈴鹿製作所の社員であるHonda Suzuka Racing Teamの亀井雄大。
朝からの好天であるが最終コーナー側から1コーナーに向けてかなり強い風が吹いていた。ホームストレート上では追い風となる。12:40、16周による決勝レース2がスタート。ホールショットは今回も清成が奪う。濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)も好スタートを決め2番手で1コーナーに進入する。3番手岩田悟(Team ATJ)、4番手中須賀、で2コーナーを立ち上がる。バックストレートで中須賀が岩田をパスして3番手浮上。オープニングラップは清成が制する。以下、濱原、中須賀、岩田、亀井、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、秋吉耕佑(MURAYAMA.TJC.RT)、日浦大治朗(Honda Dream RT 桜井ホンダ)、名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、國峰啄磨(TOHO Racing)の上位10台。
清成、中須賀のトップグループに濱原が食らいつく。2周目のラップタイムは2分7秒141。清成、中須賀と同じだ。前戦もてぎで、序盤にトップグループとの差を広げられてしまったので、今回は最初からペースを上げて付いていく走りに切り替えた。3周目のホームストレートで中須賀に抜かれたがその後も中須賀の背後にピタリとつけて走行を続ける。しかし強い追い風の影響もあり5周目の2コーナーでオーバラン、その隙に亀井にパスされて4番手となる。その後はラップタイムペースをあげることができず「序盤からペースを上げて闘うとき、レース後半に向けてタイヤマネジメントの重要性を学べた」と濱原。
昨シーズンには出ていなかった症状に開幕戦から悩まされている清成は2分7秒1〜2で周回を重ねる。このウィークも乗り出しから厳しい状況が続いており、毎セッションセットを変えて臨むが思うようにタイムが伸びない。その清成の背後にピタリとつける中須賀。中須賀の方がタイムを持っているが今回は序盤から前に出ることを止めた。
四輪の走行により路面コンディションが昨日から再び変化していた。アクセルを開けたいところでラバーに乗ってしまいトラクションがかからない。序盤から前に出てしまうと後半にタイヤが保たない、と判断した中須賀はタイヤを温存させて後半に勝負を仕掛ける作戦に変更した。清成の後ろから走りを見極めつつ勝負どころを探る。
亀井は単独3番手走行。前戦もてぎでもトップグループに絡む好走を見せていたが終盤にエンジンブローで惜しくもリタイア。エンジンを組み直し、セットやパーツの組み合わせを変えて鈴鹿に臨んだ。レース1から車体姿勢を大きく変えたところ朝フリーで良いフィーリングを得た。3周目に2分6秒960のベストタイムをマークする。
レース1で加賀山との熾烈な表彰台争いを繰り広げながらも最終ラップの130Rで転倒を喫した岩田。今日はTカーで臨んだ。オープニングラップは4番手で戻ってくるが、セットアップができていないTカーではペースが上げられず我慢のレースを強いられる。徐々に順位が下がって8位でフィニッシュする。
加賀山は激しいチャタリングと言うよりフロントが跳ねる症状が酷くなり、完走を目指す走りに切り替えざるを得なくなった。レース1で表彰台に登り、その流れのままレース2を闘いたかったが7位フィニッシュとなった。
13周目、中須賀が動いた。ホームストレートで清成のイン側に並んで1コーナーに進入、清成が被せてくるが僅かにふくらんだ隙を突いてトップに浮上する。そうなれば中須賀の独壇場。一気にペースを上げて2分6秒台を連発。そのままトップチェッカーを受けてダブルウィン。開幕から4連勝を飾る。2位には悔しい清成。
そして、3位に亀井がJSB1000クラスで初の表彰台を獲得した。
4位には、Honda Dream RT 桜井ホンダから鈴鹿8耐参戦することになった日浦。スーパーモト(モタード)の2019年、2020年チャンピオンを獲得。「今回は自分の経験値を増やす目的で参戦しました。レースラップタイムの向上が課題でチームと一緒に対策を講じています。鈴鹿は好きなコースですし、スーパーモトでチャンピオンを獲得した経験がJSBにも応用ができています。スピードレンジこそ違いますがマシンの操り方は通じるものがあります。」
5位に濱原、6位に名越、7位に加賀山、8位に岩田、9位に秋吉、10位に生形秀之(S-PULSE DREAM RACING・ITEC )の上位10台であった。
優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
「やはり路面コンディションは変わっていました。しかも強い追い風で非常に難しいコンディションでした。路面コンディションが変わったことで序盤に抜いてアベレージを上げた走りではタイヤを使ってしまうので温存させて終盤に仕掛ける作戦に変更しました。しっかりとマージンを確保した上で勝負をしかけ、抜いてからはタイヤを使い切る気持ちでプッシュしました。アドバンテージのある持ちタイムを持っていたからできたことですし、マシンが自分のコントロール下にあったからです。そこまでマシンを仕上げてくれたチームに感謝しています。ウィークを通して路面コンディションに対応した走りができたことが勝因だと思います。」
2位:清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)
「本当はもっと一発もアベレージタイムも上げられたと思うのですが自分が乗り切れず昨日と同じレース内容でした。昨日のレース1からセットを大きく変えてみましたがマシンの状態は変わらず、加えてかなり強い追い風だったので非常に厳しい展開となりました。作戦は考えず常に全力で走っています。スタートは今日も決まりました。ホールショット賞を作って欲しいくらいです(笑)。前で走るのも、後ろについて走るのも全力です。ですが今回は自分に持ちタイムがありませんでした。これはマシンだけではなく自分が乗り切れてないことも原因のひとつですので反省しています。次戦SUGOまでにはマシンも人間もしっかりと調整して臨みたいと思います。」
3位:亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)
「前戦もてぎで感触が良かったのでその改廃セットで今大会に臨みました。ウィーク中にいろいろと試してみたのですが一進一退で、今朝の朝フリーまでは表彰台に登れるとは全く思っていませんでした。昨日のレース1からセットを大きく変えて走った朝フリーのフィーリングが良かったです。決勝レースは序盤から攻めて少しでも逃げ切れれば表彰台のチャンスもあるかな、と考えていました。加えて周りのミスもありなんとか表彰台に登れました。終盤に先輩である日浦大治朗選手にえげつない追い上げに遭い、心臓がバクバクしました(笑)。このレースを通じてレースラップを高いアベレージで走るための問題点が見えてきたので、次戦SUGOに向けて対策を講じたいと思います。」
全日本ロードレース第2戦鈴鹿 決勝レース2の上位10台は以下の通り。
優勝:#7中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#2清成 龍一 Astemo Honda Dream SI Racing
3位:#11亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
4位:#41日浦 大治朗 Honda Dream RT 桜井ホンダ
5位:#3濱原 颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
6位:#25名越 哲平 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
7位:#10加賀山 就臣 Team KAGAYAMA
8位:#6 岩田 悟 Team ATJ
9位:#18秋吉 耕佑 MURAYAMA.TJC.RT
10位:#20 生形秀之 S-PULSE DREAM RACING・ITEC
Photo & text : Toshiyuki KOMAI