波乱の雨のレースを制したのは榎戸育寛！ST1000で初優勝を飾る
昨日の好天から一転、天気予報通り朝から雨。午前中に行われた公式予選では岡本裕生（bLU cRUニトロレーシング51 YAMAHA）が2番手に0.557秒差をつけてポールポジションを獲得。ただ１人1分1秒台に入れた。2番手は前田恵助（bLUcRU伊藤レーシングBORGヤマハ）、3番グリッドに渡辺一馬（Astemo Honda Dream SI Racing）のフロントロー。
20周の決勝レース1がスタート！ホールショットは岡本が奪う。セカンドロー：4番グリッドの榎戸育寛（SDG Motor Sports RT HARC-PRO.）が好スタートを切り、スルスルっとアウト側から2番手で1コーナーを立ち上がる。トップ走行の岡本がオープニングラップの最終コーナーで白線に乗ってしまい転倒。場内から悲鳴が上がる。2周目の同じ場所で前田も転倒、ここで赤旗が掲示される。
20周のまま仕切り直しの再スタートとなった。再スタートまでの時間で懸命にマシンを修復する岡本と前田のチーム。ピットロード出口封鎖のギリギリのタイミングで岡本がコースイン。しかし、電気系のトラブルでエンジン回転数が上がり切ったまま戻らなくなり、エンジンを切ってS字コーナーにマシンを停めた。
ポールポジションと2番グリッドが空いた状態で20周による仕切り直しの再スタート。ホールショットは渡辺一馬が奪う。ここでも好スタートを切った榎戸がS字コーナーでトップを奪う。
オープニングラップは榎戸が制し、渡辺一馬、豊島 怜（speedHeart DOGFIGHT RACING）、星野知也（TONE RT SYNCEDGE4413 BMW）、作本輝介（Astemo Honda Dream SI Racing）、南本宗一郎（AKENOSPEED･YAMAHA）、藤田拓哉（JDS DOGFIGHT RACING YAMAHA）、梶山知輝（RankUp Aprilia）、渥美心（TONE RT SYNCEDGE4413 BMW）、柴田 義将（OGURA CLUTCH with RIDEIN+TPFS）のオーダー。
「序盤から飛ばして後続との差を広げようと考えていた」という榎戸が2番手以下との差を広げ始める。強い降りとなった雨の中、1分2秒台でラップ、5周目に1分2秒417のベストタイムをマークする。7周目には2番手渡辺との差を4秒8にまで広げて単独トップ走行を続ける。
2番手争いは、渡辺、豊島、作本の3台。この中で気を吐いたのが作本。5周目の1コーナーで豊島をかわすと渡辺の背後に迫る。テール・トゥ・ノーズの接近戦となると10周目の1コーナーでついに捕らえて2番手に浮上する。
セカンドグループのトップに立った作本、ここからさらにペースを榎戸と同じ1分2秒台に上げる。13周終了時点での榎戸と作本の差、6秒9。残り7周でこの差は厳しいと思われたが、ここで「バイクと自分がマッチしなくなってミスをして、集中が切れてしまった」という榎戸のペースが上がらなくなる。16周目には1分3秒5、17周目には1分4秒台にまでペースダウン。対する作本は1分2秒台を連発。その差はみるみる迫り、1秒4差でファイナルラップを迎える。
第2ヘアピンでは榎戸の背後に迫り、バックストレートではテール・トゥ・ノーズ、そのまま榎戸が逃げ切りST1000クラス初優勝を飾る。その差、なんと僅か0.090秒。作本はファイナルラップになんと1秒台の1分1秒748のファステストラップをマークした。3位に渡辺一馬。Astemo Honda Dream SI Racingは2位3位を獲得した。
榎戸育寛記者会見
「予選よりも決勝の方が雨量が多くコンディションかなり違っていたので、まず前に出て自分がペースを作っていかないとダメだと思っていました。後半に何が起きるかわからないので序盤から攻めていこうと考えました。終盤はメカニカルな部分も含めライダーとマシンのマッチングが合わなくなり、そこにミスも加わり集中力が途切れてしまいました。後ろから迫ってきているのは気づいていたので攻めるところは攻めないと、と結構ハラハラしていました。初優勝は嬉しいのですがミスもあり課題点も多いので複雑な気分です」
作本輝介記者会見
「予選ではセットを大きく外してしまい10位という位置でした。そこからチームと話し合い仕様変更しました。それが良い方向に向かいペースを上げることができたのですが、スタートしてからの序盤に前に出ることができず、その間に先頭との差が開いてしまいました。トップ（榎戸）に問題が起きてペースが下がったのは幸運でしたが（優勝できず）残念です。明日の決勝レース2は天候がどうなるか分かりませんが勝てるように精一杯走りたいと思います」
渡辺一馬記者会見
「事前テストからタイムも出てなくて最終コーナーでは転倒もあったりして良い流れが作れませんでした。昨日のART合同走行もタイムは悪かったですしレースに対して不安は感じてはいました。雨のレースは嫌いですが、今回はその雨に救われた部分はあると思います。予選でフロントーに並べることができましたし、悪い流れの中で表彰台に立てたことは最低限の仕事はできたのではないかと思っています。マシンのセットは良い方向に進んでいますので明日ドライでも機能してくれることを期待しています。今日よりも上の位置でゴールできるようにチーム一丸となって頑張ります。」
全日本ロードレース第4戦筑波 レース1上位10台は以下の通り
優勝：榎戸 育寛 SDG Motor Sports RT HARC-PRO.
2位：作本 輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
3位：渡辺 一馬 Astemo Honda Dream SI Racing
４位：豊島 怜 speedHeart DOGFIGHT RACING
５位：南本 宗一郎 AKENOSPEED･YAMAHA
６位：星野 知也 TONE RT SYNCEDGE4413 BMW
７位：藤田 拓哉 JDS DOGFIGHT RACING YAMAHA
８位：渥美 心 TONE RT SYNCEDGE4413 BMW
９位：梶山 知輝 RankUp Aprilia
10位：伊藤 和輝 日本郵便 HondaDream TP
Photo &text : Toshiyuki KOMAI
