中須賀克行がポール・トゥ・ウィン!6勝目を飾る。2位:名越哲平、3位:日浦大治朗、共に初表彰台!
梅雨明けした鈴鹿サーキットは朝から真夏の太陽が照りつける。午前中に行われた予選で中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)がアタック1周目になんと2分5秒606をマーク。このウィーク初めての5秒台。「この路面コンディションなのでタイヤの美味しいうちに最初から決めるつもりでアタックした」という。セカンドタイムも5秒台に入れる5秒858でダブルポールポジションを獲得した。
予選2番手は加賀山就臣(Team KAGAYAMA)2分6秒台に入れる2分6秒468。ウィークに入って尻上がりに調子が上がってきた。セカンドタイムも6秒台に入れてレース2番グリッドを獲得する。
亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)も6秒台に入れて予選3番グリッドと獲得。自己ベストにはとどかなかったが2分6秒830をマーク。だがセカンドタイムが伸びず2分7秒8で8番グリッド。
ジリジリと照りつける太陽に路面温度は50度を超え鈴鹿8耐さながらのコンディション。13:50、14周による決勝レース1がスタート!ホールショットは加賀山が奪う。亀井が良いスタートを切り、やや出遅れた中須賀を抑えて2番手で1コーナーに進入する。
秋吉耕佑(MURAYAMA.TJC.RT)、名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)と続いてS字に進入、その先の逆バンクで濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)が名越のインから5番手に浮上する。
バックストレートでスリップから抜けた亀井が加賀山をパス、トップでコントロールラインを通過してオープニングラップを制する。中須賀もホームストレートで加賀山をパスして2番手浮上、以下、加賀山、秋吉、濱原、名越、柳川明(will raise racing RS-ITOH)、清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、大久保光(EVA RT初号機 Webike TRICKSTAR)と続き、予選5番手だった日浦は10番手と出遅れてしまった。
プライベーターのHonda鈴鹿レーシングが中須賀の前でトップを4周する。しかし、5周目のMCシケイン立ち上がりでハイサイド転倒。すぐ後ろを走っていた中須賀のフロントタイヤが接触、あわや中須賀も転倒かと思われたがなんとか回避した。これで中須賀がトップに立つ。その後方では加賀山の背後に名越が迫り、さらに濱原、日浦と桜井ホンダの2台が続く。
亀井の転倒でセーフティカーが導入された。セーフティカーランは4周続き、残り6周で再スタートが切られた。セーフティカーラン明けのリスタートに定評がある加賀山、中須賀の背後にピタリとつけるがここは中須賀が抑える。中須賀は徐々に後続を引き離して行く。
加賀山を先頭とする2番手争いは、名越、濱原、日浦の4台に絞られた。先頭を走る加賀山のペースが上がらない。予選では6秒台に入れ2番グリッドを獲得したがレース中盤以降リアタイヤが厳しくなってきた。そうなると再びチャタリングの症状が出てきて我慢の走りを強いられる。
シーズン開幕からブリヂストンタイヤの使い方に苦戦していた名越。鈴鹿8耐合同テストから感触を掴み、このウィークに入ってから「自分で潰す」ことのコツを掴んだようだ。どのセッションも一番にコースインをして抜かれたらそのライダーにしっかり着いていき、タイムを上げることに貪欲になった。改めて自分はチャレンジャーだからなんでも取り入れると言う考え方に変えた。10周目のバックストレートで加賀山のスリップから前に出て2番手に浮上する。
セカンドグループにオープニングラップで14番手まで順位を落とした岩田悟(Team ATJ)が追いついてきた。12周目のスプーンカーブ、濱原が加賀山のインを突くがクロスラインで2台並んで立ち上がりバックストレートへ、そこでなんと日浦がスリップを利用して2台をごぼう抜き、3番手に浮上する。そして岩田がホームストレートで加賀山をパスして5番手に浮上。
中須賀は2分6秒台、7秒台のラップタイムで独走態勢を築く。序盤でトップに立てたら自分でペースを作って後続をひき離そうと考えていたが、スタートで出遅れてしまったのでタイヤマネジメントを図りながら落ち着いて走ることに集中した。2位に5秒571の大差を付けてポール・トゥ・ウィン!今季6勝目を挙げる。なんと明日のレース2で早くもチャンピオン獲得の可能性が出てきた。
ファイナルラップ。名越と日浦、濱原と岩田がテール・トゥ・ノーズとなる。岩田がS 字で濱原を刺して4番手浮上。名越と日浦の激しい2番手争いは名越が制し日浦が3位。両名ともJSB1000クラス初表彰台を獲得。
優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見
「予選はタイヤのおいしいうちにタイムを出そうと思っていました。でももうちょっとタイムを上げたかったですね。2本目も狙いましたがクリアラップがとれず5秒8でした。赤旗が何度も出て集中力を保つのに苦労しましたがダブルポールポジションを獲れて良かったです。
決勝レースは路面温度が50度以上と予選よりも上がり、ウィークを通して予選のタイムでラップするのは無理だと分かったのでタイヤのライフのマージンを持ちながら周回する戦略でした。SC明けの一周目はしっかりタイヤが温まってからタイムを上げていきました。タイヤマネジメントをしながらしっかりと集中して走れたことが優勝に繋がったと思い嬉しいです。
今回伝統のカラーで走ることが誇りであり同時にプレッシャーにもなっていたのですが、そのカラーリングのお披露目を優勝という形でファンの皆さんに報告できたことは非常によかったなと思いますし、明日に繋がるいいレースになったかなと思います。」
2位:名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)記者会見
「前回まで課題だったタイヤの使い方や、レースタイヤをうまく使えない部分はここにきて解消されたと思います。この時期のJSBマシンは鈴鹿は鈴鹿8耐でも走っているのでその経験値が自分を助けてくれたのかなと思います。序盤にペースを上げられず集団の中で上手く抜け出せませんでした。他のライダーと速いところ遅いところが違うので自分の走りのリズムが掴めなかったのですが焦らず落ち着いて自分の走りに徹しました。前に出てからは自分のリズムで走れました。最後はちょっと厳しかったですが2位に入れてすごく満足しています。今日のレースは、これからのレースにも生きてくるのではないかと思っています」
3位:日浦大治朗(Honda Dream RT 桜井ホンダ)記者会見
「ウィークの入りから調子が良かったのですが、一発のタイムが出せずにいました。その中で予選で自己ベストの2分6秒台に入れられたのは嬉しかったです。決勝レースではスタートで失敗してかなり順位を落としてしまったのですが、そこから着実に上げていくことに集中しました。さらにセーフティカーが入ったことが前との差を縮めるにも体力的にも助かった部分はあります。濱原選手と加賀山選手を抜いてからは自分のペースで走れて名越選手に追いついたのですが最後の勝負で負けてしまいました。でも自身初のJSB表彰台で嬉しく思います。」
全日本ロードレース第5戦鈴鹿 レース1上位10台は以下の通り
優勝:中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:名越哲平 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
3位:日浦大治朗 Honda Dream RT 桜井ホンダ
4位:岩田悟 Team ATJ
5位:濱原颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
6位:加賀山就臣 Team KAGAYAMA
7位:柳川明 will raise racing RS-ITOH
8位:児玉勇太 Team KODAMA
9位:大久保光 EVA RT初号機 Webike TRICKSTAR
10位:山口辰也 TOHO Racing
Photo & text : Toshiyuki KOMAI