覚醒した岡本裕生が圧勝で3連勝!2位水野涼、手負いの中須賀克行は表彰台獲得!

2024/09/30

「STOP the 岡本裕生」と言う合言葉が出てきそうなくらい岡本の勢いが止まらない。全日本ロードレース第7戦の決勝レース、赤旗中断で2レース制となったが2レース共後続を引き離して圧勝。オートポリスから3連勝を飾る。

13:50、24周の決勝レースがスタート。ホールショットは岡本が奪う。野左根航汰(Astemo Honda Dream SI Racing)、水野、中須賀と続いて1コーナーに進入する。予選9番グリッドだった岩田悟(Team ATJ)が5番手にジャンプアップ、予選5番手の伊藤和輝(Honda Dream RT桜井ホンダ)は7番手にドロップするも前半セクションで津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)をパスして6番手。

オープニングラップは岡本が制し、野左根、水野、中須賀、岩田、伊藤、津田、名越哲平(SDG Honda Racing)、長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)、高橋巧(日本郵便Honda Dream TP)の上位10台。

序盤の飛び出しに定評がある野左根が積極的に仕掛ける。2周目のヘアピンでインを刺すがクロスラインで抜き返される。その野左根に水野が襲いかかる。4周目のヘアピンでインに飛び込むとそのままパス、2番手に浮上する。

岡本は2周目に1分30秒3に入れると4周目には1’30″274のファステストラップを叩き出し逃げにかかる。一方野左根は2周目に1’30″479のベストをマークするが水野に抜かれた4周目には31秒台にドロップ。水野は4周目に1’30″721、岡本を追いかけたいがその差が徐々に広がってくる。

するとアドウッドコーナーでオイルが出たため赤旗中断となる。

6周終了時点の順位がグリッドとなり、約30分の中断後15周による第2レースとのアナウンスが入る。

レースモードを一度バラして再び集中力を高める。岡本は「レース1のスタートが決まり、後続を離していたのでもったいないな、と思いましたが、30分間の中断中に落ち着いて切り替えることができました」と言うが、中須賀は心中穏やかではなかった。

「マジか、と思いました。もう一度痛みを味わうのかと思うと辛かったですが、この怪我は自分のミスで招いたものですのでさらに一層の平常心を保つようにしました」

レース2も岡本がホールショットを奪う。野左根はアウト側に思い切り振って岡本に被せてくるが僅かに届かず、岡本がトップでシケインに進入する。3番手水野、4番手中須賀、5番手岩田はレース1と変わらず。

早くも岡本が逃げ始める。なんと2周目に29秒台に入れる1’29″889のファステストラップをマーク。3周目も29秒台でラップする。岡本の動きを見た水野、4周目のヘアピンで野左根を仕留めると2番手に浮上、追い上げにかかる。

トップ3台について行けない中須賀。1分30秒台前半の3人に対して30秒台中盤から後半。やはり怪我の影響が出ている。アクセルとブレーキ操作をする右腕が思うように動かない。だがこの男に諦めると言う概念は無い。次第に感覚がなくなってくる右腕を抱えながらもラップタイムペースは落ちない。さらに野左根のペースが落ちてきた。そして8周目のホームストレート、ついに野左根を捉えて3番手に浮上!満身創痍の状態ながら表彰台圏内に上がってきた。

岡本が1分30秒台の速いペースをキープしながら独走を続け、そのままトップチェッカー!今季4勝目、オートポリスから3連勝を決めた。

「レース2のスタートも決まり、自分のペースで走ることに集中しました。前半はプッシュしましたが後半は後続との差を確認しながらコントロールして走りました」と余力を残しての走り。

「事前テストからチームとのコミュニケーションがしっかりと取れているのでセットアップの進み方がいつもより早かった気がします。そこが今シーズンに入ってからの大きな前進だと思います」

2位は水野涼「レース1もレース2もスタートで前に出られなかったことが敗因です。レース1の方が若干アドバンテージがあるかなと思ったのですが、レース2では周回数が短くなり、岡本選手が一段ギアを上げたスピードについていくことができませんでした」

「勝つことを目標にしているのでもちろん2位は悔しいですが、今ある状態の中で全てを出し尽くして戦ったのでオートポリスの時よりは笑顔になれました。」

「走るたびに進化を感じて一発のタイムもアベレージも刻めたことはすごくポジティブに感じています。最終戦鈴鹿は耐久仕様で5秒台で走った実績があります。スプリント仕様にすればさらに速さが増すと思うので最後に勝って有終の美を飾りたいと思います」

3位は満身創痍の中須賀。「自分で自分の首を絞めたのですが厳しいレースウィークになりましたね。全日本後半戦が始まってからいろいろなプレッシャーを感じ過ぎてしまい、それが焦りとなって無用な転倒をしてしまった気がします。最終戦はその緊張感を楽しむくらいの気持ちに切り替えて、多くのファンの前で素晴らしいバトルをしたいと思います」

「今回も岡本選手が乗れていて最後まで自分の力を信じて出し切ったからこそ勝てたと思います。心からおめでとうと言いたいです」

岡本は今回も後続を引き離すレースを魅せた。それは強さの証だし、序盤の遅れや、後半のペースダウンと言う課題を克服して終始安定した速さを見せている。覚醒した岡本は手がつけられない速さと強さを持ったと言えよう。岡本を止めるのは誰か。残すところあと2戦。岡本、水野、中須賀、野左根のハイレベルなバトルに期待したい。

全日本ロードレース第7戦岡山 決勝レース 上位10位の結果は以下の通り

優勝:岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
2位:水野 涼 DUCATI Team KAGAYAMA
3位:中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:野左根航汰 Astemo Honda Dream SI Racing
5位:津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team
6位:岩田 悟 Team ATJ
7位:伊藤 和輝 Honda Dream RT桜井ホンダ
8位:名越 哲平 SDG Honda Racing
9位:高橋 巧 日本郵便Honda Dream TP
10位:長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI

Photo & text:Toshiyuki KOMAI