2025年全日本ロードレースが栃木県のモビリティリゾートもてぎで開幕した。今大会は5台のワークスマシンが参戦すると開幕前から話題であった。今年10年目を迎えるヤマハファクトリー。そして、ホンダワークスが帰ってきた。鈴鹿8耐に向けたテストがメインだが出るからには勝ちを狙ってくるだろう。スズキはCN(カーボンニュートラル)チャレンジとしてワークス体制で臨む。AutoRace Ube Racing Teamは2024年ワールドスーパーバイク(WSBK)チャンピオン:トプラク・ラズガットリオグルと同じスペックのBMW M1000RRを投入する。昨年黒船旋風を巻き起こしたDUCATI Team KAGAYAMAのパニガーレV4Rは2年目のシーズンを迎える。
これだけのファクトリーマシンが揃うのは近年では珍しい。
総合トップは水野涼(DUCATI Team KAGAYAMA)1’47.716、ただ一人47秒台。前週の事前テストでも連日トップタイムをマーク。ドゥカティ・ワークスマシン2年目。マシンは2023年のチャンピオンマシンだがパーツは最新のものにアップデートされている。やはり速い。しかも一発のタイムだけではなくアベレージも速い。47秒台後半から48秒フラットでラップしている。
水野涼:「決勝を見据えたセットアップをします」
「先週のテストよりタイムは落ちていますしコンディションも悪くなっているのでフィーリング的には今ひとつです。四輪が走る2&4ではコンディションは常に変わりますね。テストからずっとトップを維持できているのでそれは素直に嬉しいです。さらにアベレージタイムも良いのでコンディションが悪い中でもセットアップを見つけていきたいです。明日の予選は一発のタイムというより決勝を見据えた走りに徹したいと思います。」
総合2番手は高橋巧(Honda HRC Test Team)1’48.161。やはりHRCが帰ってくると雰囲気が変わる。今年サスペンションをオーリンズに替えたのでそのベースセットが出ていないようだ。初日の点数は40点とかなり手厳しいが先週のテストよりタイムを上げてきている。
高橋巧:「全体としては40点でしょうか」
「時間が足りませんね。今年オーリンズに替えたのですがSHOWAで作り上げたマシンなのでまだベースセットができていません。タイムも上がってきているしユーズドタイヤでもタイムは安定してきましたが詰めるところはまだまだたくさんあります。鈴鹿8耐に向けたテストがメインですが出るからには結果を残したいですね。そしてホンダワークスの参戦で全日本に興味を持ってくれる人が増えることを期待します」
3番手は野左根航汰(Astemo Honda Dream SI Racing)1’48.165。先週のテストでも最後にタイムを上げて3番手に飛び込んできた。
「しっかりと確認できています」
「昨年は序盤に飛び出せても後半に失速することが課題でした。その解決策のひとつとして今日から新しいスイングアームを投入しました。その効果を確認できましたし進化していると思います。段階的にアップデートしていくことで何が良くて何が合わないのかを確実に確認することができるのでマシンも自分のライディングスキルも向上できると思います」
中須賀克行は4番手。今年から装着させたウィングレッド。加速時のメリットが一番だと感じていたのだがサーキットで実走したのが先週のテストが初めて。やはりテストコースと本番のサーキットでは違うようで中須賀が思い描く走りとデータで見る走りに乖離があり、そこを埋めるのに時間を費やしており、本人は「歯がゆいです」と言っていた。しかし決勝に向けて合わせてくるのが中須賀とファクトリーチーム。明日の予選でどこまで詰めてくるか楽しみだ。
全日本ロードレース第1戦MOTEGI 2&4レース ART 合同走行上位10位は以下の通り
1:#3 水野 涼 DUCATI Team KAGAYAMA 1’47.716
2:#5 高橋 巧 Honda HRC Test Team 1’48.161
3:#4野左根 航汰 Astemo Honda Dream SI Racing 1’48.165
4:#2中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 1’48.230
5:#31浦本 修充 AutoRace Ube Racing Team 1’48.355
6:#6名越 哲平 SDG Team HARC-PRO. Honda 1’48.881
7:#7津田 拓也 Team SUZUKI CN CHALLENGE 1’49.112
8:#8岩田 悟 Team ATJ 1’49.337
9:#10 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI 1’49.522
10:#20津田 一磨 Team BabyFace 1’50.004
Photo & text: Toshiyuki KOMAI