「年少者にモーターサイクルスポーツを通じて社会性や親子のコミュニケーション、向上心、自立心、規律、助け合いの精神を育み、心身の健全な発達を促すと ともに競技力向上をはかること」を目的に開催されている「MFJロードレースアカデミー」の2015年度最後のスクールが開催されました。会場はMotoGP日本グランプリを開催している栃木県のツインリンクもてぎ。
校長は元国際A級ライダー・五百部徳雄(いおべのりお)氏。年間アカデミー生徒8名を指導するのは元WGP125ccクラス世界チャンピオン2回の坂田和人氏と2014年全日本ロードレースST600クラスチャンピオン・小林龍太氏。1DAYアカデミーと呼ばれる年齢制限のないクラスは毎回インストラクターが変わり、最終回はTeam KAGAYAMAで加賀山就臣選手の女房役としてチームを支えている武田雄一選手です。
次世代を担うちびっ子ライダーを徹底的に指導する「MFJロードレースアカデミー」の主旨に賛同してずっと協賛しているブリヂストンから山田宏さんが緊急参加。オトナ顔負けの走りをする生徒達に混じって汗を流していました。
最終カリキュラムは「終了レース」と称して生徒達とインストラクター達のレースが行われました。午前中に行われた予選。予選タイムを見た坂田インストラクターが驚きます。「年間アカデミー生徒は全員(2分)35秒台に入れている!」春の入校時から比べると5秒速くなっているとのこと。レースの世界で5秒のタイムアップはものすごいことです!しかも一発狙いのタイムではなく、一年間を通して学んできたことを自ら考え、技術的にも精神的にも鍛え上げられたスキルを伴って達成したタイムです。その成果は誰よりも生徒自身が一番実感して喜んでいると思います。
坂田インストラクターの厳しい指導はこの日も健在。むやみに厳しいのではなく「二度三度同じ事を言っても実行できない」時に鬼インストラクターに変貌します。「せっかく速い素質を持っているのにそれを活かせないのはもったいないし、見ていて悔しいから」と坂田インストラクター。
ライディングテクニックはもちろん、生徒達の行動も指導します。白線に揃えて並べなさい、と年初から言い続けてきましたが、ラインを見ずにマシンを駐める生徒達をみて怒ります。「一つのことに集中して他を忘れては全体が見えなくなる」と。ちびっ子達にレースに必要なスキルはもちろん日常生活に必要な道徳心・モラル・礼節まで厳しく指導します。だからアカデミーの生徒達はみんな礼儀正しく元気です。大きな声で挨拶する子供たちを見ていると清々しい気分になります。
そして夕方行われた終了レース。たまたま居合わせたレースアナウンサーの柿沼佐智子さんから全日本ロードレースを思わせるレース実況のサプライズがありました!坂田インストラクターは最後尾グリッドからさらに10m以上後方からのスタート。ハンディキャップとのことです。「2周もあればトップに立てますよ!」との言葉通り、1周目には4番手、2周目にはトップでコントロールラインを通過します。武田インストラクター、小林インストラクター、澁田インストラクターもレーシングライダーとしての血が騒ぐのか、大人げない(笑)ガチバトルを展開。しかし最後は生徒達に路を譲り一年間の締めくくりの卒業レースは終了しました。
ちびっ子達の心身を共に鍛える「MFJロードレースアカデミー」の今年のプログラムは全て終了。キラキラに輝くまなざしと真っ直ぐな心のちびっ子達の今後が楽しみです。
photo & text : koma